モウリーニョのコラムから考える、ジーコとトルシエの「3-5-2」

>一方3バックは5バックのように簡単ではない。ハイレベルなサッカーとなるになると、3バッ
>クはリスクが大きい。3人のDF全員が高度な知性を持ち、難解な決まりごとを理解する必
>要がある。
>両サイドに出来てしまうスペースを埋める方法は2つしかない。非常にスピードがあって読
>みの鋭い選手を後方に置くか、あるいは3人でラインを形成し、オフサイドトラップを活用しな
>がら効率的に前に押していくか。どちらも難しい方法だ。

 ワールドサッカーキング004号の、モウリーニョの連載日記「勝利の方程式」からの引用です。
いつも立ち読みでは申し訳ないので、今回はきちんと購入しました。なので少し引用させていただきます(笑)。

■モウリーニョの考える「3バック」「5バック」を、日本代表で考えると?

 今回のコラムで「3バックと5バック」について述べているのですが、これが非常におもしろい。興味深い。チェルシーの基本は「4バック」なのですが、状況に応じて「5バックと3バック」を採用しているとモウリーニョは語ってます。5バックはCLバルサ戦の「最後の7分間」で採用し、「3バック」はカーリングカップの決勝(&あとたぶんCLのベスト4セカンドレグもそう)リバプール戦で後半の最後のほうでシステム変更して採用しているとこのコラムで語ってます。まぁ詳しい内容については、ぜひともワールドサッカーキングを買って読んでいただきたいのですが、注目すべきは「5バック」と「3バック」を明確に分けて考えているところ。使用しているところ。語っているところです。
 上で引用している文章はそのうち「3バック」に関してのものですが、読んでピンと来た人はその通り。元日本代表監督だったトルシエが日本代表で行っていた「フラット3」に近いものが、モウリーニョ的な「3バック」システムだということです。でもう一方のモウリーニョの考える「5バック」ですが、こちらはまぁ簡単に言えばジーコジャパンが採用している「3バック」に非常に近いんですよね。
 つまりモウリーニョ流の守備理論で日本代表を表現すれば、以下のようになるってことです。
    ●モウリーニョ流「3バック」=トルシエ「フラット3」
    ●モウリーニョ流「5バック」=ジーコジャパン「3バック」

■モウリーニョの3バック論は「フラット3」に近い!

 要はモウリーニョの考える「3バック」「5バック」という考え方事態は、単純なもの。3人だけで最終ラインを守るか、5人で守るかってこと。例えば、トルシエの「フラット3」では左右アウトサイドに張るWBと言われるポジションの選手がバランスをとって、攻撃時にはサイドハーフとして中盤の選手となり、守備時にはSBの選手としてDFの選手になるというような「中盤の選手の守備」については取っ払って語っているということです。もちろんモウリーニョの「3バック」でも、状況によっては中盤の選手がDFラインに入って守備することもあるんでしょうが、基本原則的には「3人」だけで守るって考え方がポイント。3バックのサイドに開いたスペースは「身体の能力」でカバーするか、もしくはオフサイドトラップを積極的にかけて「サイドスペース自体を使わせない」って守り方がモウリーニョの3バックディフェンス。最終ラインを高くしてオフサイドトラップ活用という面では、トルシエの「フラット3」の考え方非常に近いですが、サイドに開いたスペースのケアは最終ラインの3人だけでなくアウとサイドに位置するWBが下がって守るってところが若干違うわけです。
 
 【モウリーニョ流3バック】                     【トルシエフラット3】
 ※オフサイドトラップ戦術                    ※オフサイドトラップ活用
 ※3人でサイドスペースもカバー               ※サイドは片方のWBがカバー

         ○チェフ                               ●楢崎  
    
  
○フェレイラ   ○カルバーリョ  ○テリー       ↑    ●松田  ●宮本 ●中田  ↑
                                  ●WB(市川)             ●WB小野
                                  ↓                       ↓


■ジーコジャパンの「3バック」は、モウリーニョ流「5バック」に近い訳

 一方で、モウリーニョの考える「5バック」ですが、ジーコの「3バック」に近いというのは、まぁ極端に言えばというところもあります。ジーコジャパンにおけるWBというポジション(サントス&加持のところ)を、どう捉えるかにもよると思います。モウリーニョがバルサ戦で採用した5バックは、右からSBグレンジョンソン、CBにカルバーリョ、フート、テリー、左サイドバックにギャラスという5人。そのうち4人がマンマーク気味にバルサの攻撃陣についてテリーがリベロ的に「余る」という戦術だったと書いてます。ラインを高く設定しないでオフサイドトラップを狙わず、基本的にはマンマーク。さらにリベロ的に1人余らせるってところが肝です。ジーコジャパンに置けるWB(サントス&加持)をモウリーニョ「5バック」におけるSBに置き換えて考えると、どうですか? まんまそっくりだと思いませんか?? まぁジーコの3バックでも状況によって、3バックの左右のセンターバック(例えば、中澤と田中)がサイドに大きく開いてサイドのスペースをケアすることもありますが、基本は真ん中の守備陣。3人のDFのうち2人がマンマーク気味について、残りの1人がリベロ的に余るってのが基本です。両サイドの開いたスペースはサントス&加持の両アウトサイドのプレイヤーが下がって守るってのがジーコ3バックの基本なわけです。そもそもジーコは、3バックの時のアウトサイドプレイー(WB)にSB的な選手を想定して起用しているフシがあります。よく試合中に「3バック」→「4バック」というシステム変更しますが、その場合CBを1人削って2人にしWBのサントス&加持などの選手がそのままSBの位置に下がるという単純な変更が多いです(まぁ西をWBに起用することもありますが)。たぶん、ジーコの中ではWB=SBに近いのであって、WB=サイドハーフもしくは攻撃的MFではないってことです。よく中田英を「3-5-2」の右サイドにって言う人もいますが、ジーコ的にそうすることは「中田をサイドバックにコンバート」することに近い感覚なのでそうしないのではと思ってます(でも最近、確かイラン戦前のインタビューで小野、中村でもWBの経験があるのでできる発言とかしているので、もしかしたら違うのかもしれませんが)。

【モウリーニョ流5バック】                      【ジーコ流3バック】
 ※4人がマンマーク%サイド                  ※WB&CBでサイドカバー
 ※CB1人が余る                         ※マンマーク&CB1人余る

          ○チェフ                             ●楢崎  
    
          ○テリー                             ●宮本
     ○フート    ○カルバーリョ         ↑     ●田中    ●中澤  ↑
○SBジョンソン           ○SBギャラス   ●WB加持              ●WBサントス
                                                         

 まぁ、言いたいことはですね。モウリーニョ流「5バック」と、ジーコ流の「3バック」の考え方が似ているということです。もっと言えば「同じ」ってこと! だって、ジーコの3バックはオフサイドトラップを活用して、サイドのスペースも3人でケアするなんてことはしないでしょ? えっ? どこもそんなモウリーニョ流の3バックなんてない? Jリーグの主なクラブが採用する3バックも、モウリーニョの5に近いですって? まぁそうかもしれないですね。ハハハ(汗)。まぁ、あくまでモウリーニョがいうところの「3バックと5バック」ということですよ。モウリーニョが言うこと&やることが正しいってわけでないですし、もちろん「3バック」「5バック」なんて監督や見る人によってそれぞれだと思いますよ。

■「5バックでは中盤を支配することはできない」byモウリーニョ

 ですがねぇ。モウリーニョが、以下のようにも述べているのがこれまた非常に興味深いんですよ。

>誤解しないでほしいのは(3バックと5バック)は、まったく別のものであるということだ。3バッ
>クは非常に高度な戦術だが、5バックは単純だ。中央にDFを3人置き、両サイドにもDFを加
>えるた5バックでプレイすると、簡単に守備を強化することが出来る。-中略-。ただし、この形
>では中盤を支配することは出来ない。最初から引き分けを狙う場合か、一時的に守備を強化
>したい場合に適した方法である。

「この形では中盤を支配することは出来ない」。
「最初から引き分けを狙う場合か、一時的に守備を強化したい場合に適した方法」。

 まぁあくまでもWBというポジションをどう捉えるかなんでしょうけど、ジーコジャパンでWBの2人がSBとしてDFラインに吸収されて中盤がなくなり、FWと最終ラインの間がぽっかりなんてシーンを思い出したりしませんか? 頭によぎりませんか? もちろんWBが高い位置にポジションを取れて中盤の選手として機能し、最終ラインが3人でさらに中澤の積極的な攻撃参加からセンタリングなんてシーンもあります。それに「4-4-2」よりは各々の役割が明確になるので、「3-5-2」の方が特にサイドからの攻撃が機能するとも思います。ですがジーコの「3-5-2」の場合、攻守の切り替えという面において特に「守備→攻撃」の切り替えで、どうしても「中盤の支配」に弱点があるのも事実だと思うんですよ。

「この形では中盤を支配することは出来ない」。
「最初から引き分けを狙う場合か、一時的に守備を強化したい場合に適した方法」。

 まぁ、そういうことです。「5バック」→「3バック」へのスムーズな切り替えは、簡単ではないと思うんですよね。「3バック」と「4バック」を使い分けるジーコジャパンと一般的に言われてますが、モウリーニョの言葉を借りればちょっと違うということ。

 で個人的にはこう考える次第です。ジーコジャパンに必要なのは「3バック」と「4バック」の使い分けではなく、「5バック」と「3バック」の使い分けではないかってね。

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