CL決勝「リバプールVSミラン」雑感  ベニテスの「賭け」が優勝に導く!

結果的には、ベニテスの賭けが勝利へ導いたということなんでしょう。

CL決勝戦「リバプール対ミラン」はPK戦のうえ、リバプールが大逆転で優勝となりました。前半を3-0で終えた時点でもうミラン優勝で決まりと思っていたのですが、後半まさかの同点劇&延長戦&PK戦。まさに奇跡という感じの勝利! 今シーズンのCLでのリバプールは、どこか「神がかって」勝っていたという感じでしたが、最後の最後も劇的な形で勝利し優勝となりました。試合開始前に0-0の展開となったらつまらないので、得点が入るおもしろい内容の試合を期待と書いてましたが……。まさか3-3で両チーム合わせて6得点も入るとは、正直、夢にも思ってませんでした。

これまでと違って「守備」よりも「攻撃」を選択したベニテス采配

リバプールのラファエル・ベニテス監督は、1トップのミラン・バロシュの後方のポジションに、予想外にもハリー・キューウェルを起用してきた。しかし、それ以外の先発メンバーは通常と変わらない。中盤はジェラードとシャビ・アロンソを中央に、左右にヨン・アルネ・リーセと準決勝で殊勲の得点を挙げたルイス・ガルシアが入る。過去4試合で1失点しか許していない守備陣は、CBジェイミー・キャラガーとサミ・ヒーピアを中心にした4バックだった。http://jp.uefa.com/competitions/UCL/fixturesresults/round=1972/match=1086988/Report=RP.html

なぜに中盤にハマンでなく、FWにキューエルを起用? 試合開始前のスタメンを見てそう感じた人は私だけではなかったハズ。戦前の予想通り4-2-3-1 か4-3-3といった「ハマン、シャビアロンソ、ジェラード」の3人の中盤の選手を起用するとばかり思っていたので、このキューエル先発の4-4-2システムで臨んだベニテスの采配は度肝を抜かれました。このキューエル先発としたベニテスの本当の目的はわからないのですが、「守備を固めて守るのではなく、攻撃に比重を置いて攻めて勝つ」という狙いだったのでしょう。ユベントス、チェルシーに対しては堅守という戦術で倒してきたベニテスでしたが、決勝戦の対ミラン必勝法のキーワードはそれとは違って「攻撃して勝つ」という戦術だったわけです。「リバプールは今までと同様に守りを固めてくるだろう」というミランの裏を突いた戦術だったのか、それともミランの戦力を分析した結果「守備よりも攻撃」というデータに基づいた戦術だったのか、それともとにかく先制点を上げ主導権を握るための秘策だったのわかりません。答えがどれにせよ、ともかく第三者から見たら「奇策」「賭け」とも言えるような戦術をベニテスが採用したわけです。ですが前半、このキューエル戦術が完全に裏目に出てしまいます。

前半:開始早々のミランの得点で、ベニテス采配が後手後手に!

前半早々の57秒。FKから、なんとまさかのミラン先制。これで完全にリバプールが後手に回ってしまいます。決勝戦という舞台のためか、リバプールの何人かの選手には堅さが見られ本来の動きができてなかったというのもありますが、先制点を取ったあともミランが主導権を握って試合を進めることになります。奇策「キューエルトップ下」はまったく機能せずに、逆にミランのカカに好きなようにやられてしまい、ベニテス采配は完全に裏目に出てしまいます。DF最終ラインと中盤の間にできたスペースいわゆる「バイタルエリア」を、カカ、シェフチェンコ、クレスポにおもしろいように使われミランに追加点を許してしまうことになるわけです。ミランの2点目、3点目は、いずれもカウンターからカカのスルーパスが基点となって生まれたものでしたが、これらの得点は「ミランの十八番」ともいえる形でのゴールでした。



●フィナン     ●キャラガー  ●ヒーピア   ●トラオレ ←最終ライン
  ○クレスポ                   ○シェフチェンコ
                                          ↑  
                 ↑                      危険なスペース
                ○カカ                      ↓

      
          ●シャビアロンソ   ●キューエル      ←中盤

プレビューで書いたとおり、最終ラインの手前でカカに前を向かせてドリブルさせたら決定的なチャンスを作られてしまうということです。39分の2点目はカカから右サイド、オフサイドラインぎりぎりを突破したシェフチェンコへスルーパス→クレスポ→ゴール。44分の3点目は、またもカウンターから今度はセンターランン近くから前を向いたカカが長い距離のスルーパスをクレスポへ。ゴール! いずれもカカのパスが基点となっての得点でした。本来なら中盤にハマンを起用して、このカカのドリブル&パスを封じるべきところを、それをせずにキューエルを起用して得点を狙いにく戦術は、もろくも失敗に終わったわけです。少なくとも前半は。ちなみにそのキューエルは怪我で23分に交代してました。うーん。これでは、なんのための「奇策」だったのかと言う感じです(笑)。

後半:「4-4-2」から「3-5-2」へ ベニテス采配が当たる!

後半、ベニテスが修正してきます。フィナンに代えて、ここで中盤ハマンを投入。なんと3バックです。並びはこんな感じ?


●キャラガー   ●ヒーピア     ●トラオレ

        ●シャビアロンソ ●ハマン
●スミチェル                    ●リーセ
              ●ジェラード
                    ●ルイスガルシア
          ●バロシュ

ルイスガルシアとジェラードの位置はあやふやですが、だいたいこんな感じの3-5-2にシステム変更してリバプールは後半に臨むことになります。そしてそしてその采配がものの見事に的中! 53分、リーセの左からのアーリークロスをジェラードがヘッドでゴール! このアーリークロスからの攻撃は前半にもあり、その時はヒーピアのシュートは惜しくもGKジダに弾かれてしまいましたが、もしかしたらベニテスの言う「ミランの弱点」はアーリークロスに対するミランCBの対応を指していたのかもしれません。ついで55分。今度はスミチェルのミドルシュートで2点目。なんとこれで1点差。そしてそして、またまたその直後の59分。ガットゥーゾがファウルでリバプールがPKを獲得。シャビ・アロンソが一度は弾かれたが押し込みなんと3点目。同点!!! この6分間、リバプールはまさに神がかってました。ミランの選手もファンも信じられなかったことでしょう。私も当然。リバプールが中盤を厚くしたことで、ミランのディフェンスのマークがずれたとか、コンディションの問題で後半動きが落ちたとか、その結果セカンドボールが拾えなくなったいろいろな要因があるのかもしれませんが、ともかく6分間で3得点は奇跡です。それ以上でも以下でもない(笑)。まぁもしかしたらミランの「4-3-1-2」に対して「3-5-2」がはまったとかあるのかもしれません(ミランのカカ、シェフチェンコ、クレスポに対しては、バイタルエリアを消すことがすべてで、最悪サイドのスペースは突かれても問題なしだったということ)。それでも0-3から一挙に3点上げて同点というのはふつう考えられません。まぁこれが、今年のリバプールなんですけどね。チャンピオンズリーグでの。

同点に追いつき試合はこう着状態へ。まぁイケイケのリバプールですがさすがに無理しなくなります。次の1点が勝負を決するわけですから。後半85分。ミランのアンチェロッティが動きます。おなじみセルジーニョ&トマソンを投入。サイド攻撃に活路を見出しますが、試合はそのまま延長戦へ。

延長戦&PK戦:リバプールが流れに乗って優勝!

延長戦は無得点で終わり、試合はPK戦決着となるわけですが、ジェラードを右サイドにしてセルジーニョに対応させたベニテス采配はさすがでしたし、それに応えたジェラードもすばらしかった。足を痛めながらギリギリのところでピンチを防いだCBキャラガーの闘志&ディフェンスもこれまたすばらしかった(この人、ほんと今シーズン成長した)し、セルジーニョからのクロスをドンピシャであわせたシェフチェンコのシュートを防いだGKディデクは神がかっていたわけです。というわけで延長戦でもリバプールが光ってましたが、そのままの勢いでPK戦もリバプールが制した感じです。まぁディデクのあのキッカーが蹴る前のヘンテコな動きは、うるさい審判なら「アゲイン!蹴りなおし」させていたような気もしますが(確か、キーパーは蹴る前に足を動かすのはダメだったような。もうそういうのないのでしたっけ?)、ファインセーブを連発! 最後はシェフチェンコが外しリバプール優勝! まさかこんな展開になるとは!

総括:ベニテスの賭けが勝つ! ミランの敗因は!?

冒頭で述べたように「結果的には、ベニテスの賭けが勝利へ導いた」ということだと思います。前半の3失点は予想外だと思いますが、試合を打ち合いに持っていったベニテスの作戦が功を奏したということなのでしょう。キューエルはダメダメでしたが、代わりに出たスミチェルがゴールしたのは、やっぱ「攻撃的システム」で試合をスタートした結果です。ハマン先発なら出てませんよスミチェル。負けてしまったミランのアンチェロッティ監督は信じられないでしょうね。3-0から負けるとは思ってもなかったのでしょう。

私たちは素晴らしい決勝を戦ったと思う。敗戦には値しないが、受け入れなければならない。選手は誇りに思うべきだと思う。あのような形(PK戦)で負けたのは苦痛だ。6分間にすべてを失ってしまった。チームは120分間よく戦っただけに、なぜあのようになったのか説明できない。PK戦は運。技術ではなく心理面が左右する。チームの中で最もPKのうまい3人が決められなかったら、どうすることもできない。ミラン・アンチェロッティ監督http://jp.uefa.com/competitions/UCL/fixturesresults/round=1972/match=1086988/Report=RW.html

「チームは120分間よく戦っただけに、なぜあのようになったのか説明できない。」まぁ確かに説明できないってのはわかります。ですが結局のところ、昨年のリアソールでのデポルティボ戦の敗戦の問題と今回の敗戦の問題は、同じような気もします。つまり昨年の問題は解決しされてなかったということです。ミランはいいチームだと思います。強いと思います。チームとしてかなり完成していると思います。リバプールと10回やったら、ほとんど勝つと思います。ですが、もしかしたらチャンピオンズリーグなどのカップ戦を勝つには、そんな「いつもどおりの普段着の戦い」をしているだけでは難しいのかもしれません。昨年UEFA杯を制し、今年CLを制したベニテス。そして同様にUEFA杯&CL杯を制しているモウリーニョ。この2人の戦い方に、もしかしたらカップ戦を制する秘訣のようなものがあるのかもしれないですが…、まぁ今回のミランの敗戦は、戦術うんぬんという話でなく単にツイてなかったということだけなのかもしれませんがね。
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