コンフェデ杯「日本代表VSブラジル代表」雑感   バイタルエリアの守備とボランチの人数の関係

引き分けで終え健闘したと評価すべきか? それとも予選敗退という結果がでなかったことを叩くべきなのか? 正直、評価は人それぞれだと思うし、どちらで考えても正しい気がします。ブラジルはほとんどメンバーを落とさず「勝ち」にきましたし、本気であったと思います。むしろ、ホッキジュニオールが外れて、穴がなくなった感も(笑)。日本代表と「力の差」は、歴然とあったような気もします。中村のゴール&FKはすばらしかった。大黒もよく詰めた。ブラジル代表相手に2得点できたのは純粋に評価したいです。ですが、それ以上の得点(3点とか4点)を「決定力不足」と言われ続けていた日本代表に望むのは、酷だと思うんです。2得点取れて万々歳! 上出来なわけです。なので攻撃に関しては、まぁギリシャ戦などの比べるとほとんどいい形は作れなかったし、流れの中からの得点はありませんでしたが上出来だったと思うんです。ですが問題は守備。まぁほぼベストメンバーのブラジル代表相手に2失点というのは、力の差を考えれば&ふつうに考えれば上出来なような気もします。ただ日本代表がブラジルに勝つためには、日本の得点力から考えれば「得点の取り合いで勝つ」ことは難しく「とにかく守って失点を少なくし僅差で勝つ」という方法しかなかったように思うんですよね。と、まぁこれはあくまで個人的な考えです。当のジーコはブラジルに勝つために、どういうプランで試合に臨んだのかってことです。

■ジーコのブラジルを倒すためのシナリオはどうだったのか? 攻撃的? 守備的?

こういう状況になって、亡くなった兄の言葉が思いだされて仕方がない。「どうしても1点で泣くんだ」と。(ゴールを)取れる時に取っておかないと1点で泣くということは、他の試合でもそうだった。1点を取っておけばシチュエーションはまったく変わっていたということで、1点の重みを痛感した。http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/japan/confede05/column/200506/at00005161.html

ジーコの試合後のコメントから。ブラジル戦をどういうプランで戦おうとしていたのかは語られてませんが、要は「取れる時に取っておかないと1点で泣く」という言葉が示すとおり、失点を抑えることよりも得点することににプライオリティを置いていたということでしょう。まぁこのブラジル戦、日本は引き分けではグループリーグ敗退だったので「とにかく点を取って勝つ」ことが必要だったわけですが…。ジーコ的には日本代表が攻撃的にいってブラジルと得点の取り合いの上、「1点多く取って勝つ」というプランで勝機があると考えていたのでしょうか? ジーコがどのように考えていたのか本当のところはわかりませんが、「4-4-2」で臨んだところから考えても守備的というよりも攻撃的にいって「打ち勝つ」という考えだったのでしょう。ホッキジュニオールがいるしブラジルの守備はそれほど強くないので、ある程度得点できると考えていたのか? それともバランスを重視したのか? 出たとこ勝負のノープランだったのか? いろいろ推測できますが、ともかく結果的に「ブラジルと得点の取り合い末に敗れた」ってわけです。

後半、パンチの殴り合いみたいになったときに、向こうの連携も乱れてきてた。ブラジル相手だからといって、ただ引くんじゃなくて殴り合いに持ち込めば、向こうも崩れる。中村俊輔のコメントhttp://sports.yahoo.co.jp/soccer/wld/headlines/ism/20050623/spo/12372400_ism_00000042.html
「殴り合い」=「点の取りあい」すればブラジルも崩れるとは中村のコメント。確かにそうかもしれないですが、その方法がより勝利につながる方法なのか、もしくはそういう戦い方しかできないのかジーコ&中村選手にぜひとも聞いてみたいです。まぁ殴り合いで負けたと言うのはあくまで結果論です。守備的に戦っても勝てなかったかもしれないですし、惨敗していたかもしれませんが…。

■ペナルティーエリアの前で自由にやらせないために必要なのは!?

(ディフェンスラインについて)相手が高いレベルでも、引いてばかりでは駄目だと思う。ジーコからも(ハーフタイムに)ペナルティーエリアの前で自由にやらせるなと指示された。ラインを下げずにできたことはよかったと思う川口能活コメント http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/japan/confede05/column/200506/at00005163.html
日本がガチガチ行って、ブラジルのパス回しを封じるくらいのプレスを立ち上がりからかけないといけない。このチームは立ち上がりに様子を見てしまう。それで見ている内に後手後手になってしまう。田中誠のコメントhttp://sports.yahoo.co.jp/soccer/wld/headlines/ism/20050623/spo/13014900_ism_00000046.html

「ジーコからも(ハーフタイムに)ペナルティーエリアの前で自由にやらせるなと指示された」と川口のコメントからもわかるように、この試合、日本代表はバイタルエリアの守備に問題がありました。田中が言うように、確かに前半プレスが甘かったところがあったかもしれません。では、前半からなぜガチガチにプレスにいけなかったのか? 気持ちの問題か? それとも戦術の問題か? 予想以上にブラジルのパス回しがすごくて、戦前に思っていた感じでプレスができなかったということか? 福西のコメントが、それに対する1つの回答になっているように感じました。

「ボールを奪えないというのは感じた。中盤ではそれほどプレッシャーがなかったので、前には行けた。前線に当てることで、僕らは前を向いてプレーできたというのはある。ただ、前半の最後の方でずっと回されたので、それをどうチームとして取りにいくのかというのはやりたかった。後半は、追い込むところは追い込むというのができたけど。1対1になるとどうしてもやられるんで、どこで数的優位を作るかってことはハーフタイムに話した。」福西崇史のコメントhttp://sports.yahoo.co.jp/soccer/wld/headlines/ism/20050623/spo/12594300_ism_00000049.html

「ボールを奪えないというのは感じた」&「1対1になるとどうしてもやられるんで、どこで数的優位を作るかってこと」たぶん、プレスが利かずバイタルエリアを使われてしまった理由は、これなんでしょう。要は「個人の守備能力」だけではボールを奪えないので、どこかで2人、3人と連携してボールを奪う守備=組織的なプレス守備をしないといけないっていういつもの理由です。この組織的なプレス、どこのチームにおいても守備をする上での重要なポイントなわけですが、これが日本代表の場合ギリシャ相手にはできたけど、ブラジル相手にはできなかったということです。なぜか?って、それは単純に言えば、ブラジルがギリシャうまいから。ボールを簡単には奪われない技術があるから。パス回しができるからです。単純明快。

■フォーメーションは関係ないっていうけど、本当にそうでしょうか?

ギリシャには通じたプレスがブラジル相手には利かない。ならどうすべきか? 個々の運動量を増やす? 個々の厳しさを増やす? まぁ、そうできるなら最初からそうしろって言いたいですし、今度対戦したらそれができてブラジルを封印できるのかもしれません。ですが、そういった個人の技量で考えてしまうと、ほんとうにそうできるのかって思ってしまうところもあるわけです。日本戦のブラジル代表のボランチは、アーセナルのジルベルト・シウバとバイエルンミュンヘンのゼ・ロベルトでした。まぁチ-ムブランドで語るなと言われてしまえばそれまでですが、日本代表の選手よりも数段レベルが高いです。福西や中田英がこれから一年がんばって、彼らと同じレベルの技術を身につけられるかと言われれば無理だろうと思います。まぁそれほど大きな差はなく、ちょっとした差かもしれませんが、そのちょっとした差が大きいというのが、またサッカーなわけです。じゃ、個の技術の差があるので試合で勝つことができないのか?って言われれば、それもまたNOなわけです。個では劣っても、11人のチームでまとまって、戦略&戦術などを駆使すれば勝つことができるのもまたサッカーなわけです。例えばフォーメーション。このコンフェデで日本代表は「3-4-2-1」と「4-4-2」の2つで臨んでます。この2つのフォーメーションですが、非常におおざっぱに言うと大きな違いはDFの数とFWの数の違いです。DF茶野を入れれば「3-4-2-1」、FW玉田を入れれば「4-4-2」。それ以外のメンツは同じだったりします。中田&福西のボランチは同様だし、中村&小笠原の2列目もしかりです。なので茶野を入れれば、後ろの枚数が増える代わりに前線の基点が減る。玉田を入れれば前線での基点が増える代わりに、後ろの枚数が減る。単純明快。どちらにするかは対戦相手との力関係やフォーメーションにもよるかもしれません。また単純に「攻撃的にいくか守備的にいくか」という点から考えて選択もあるかもしれません。そういった対戦相手との力関係&自分たちのチームの方向性を考えて11人を選んでピッチ上でコーディネイトすることが戦略&戦術の始まりだと思うんですよね。当たり前の話で恐縮ですが。

■ジーコはやらないでしょうけど、3ハーフを試してほしい

チェルシーやミラン、バルセロナなどクラブチームレベルでは、ここ数年「3ハーフ」システムを採用しているチームが増えている。このブログでもちょくちょく紹介してますが、この3ハーフが流行している理由の1つとしてミランのアンチェロッティが言うところの「4-4-2」システムに対するカウンターというものがあるわけです。

「3センターが今後主流になるのはわからない。現在の流れはあくまで相手よりも優位に立つための策として、新たに用いられたに過ぎないのではないか。これから先も、その繰り返しだろう。変わらないのは「選手ありき」という考え方だ。」(ワールドサッカーマガジン2005.2-3 アンチェロッティが明かす「3ハーフ」の秘密より)

単純に言えば、「4-4-2」の相手の中盤の2人(もしくは4人)に対して、中盤を3人(もしくは5人)にして数的有利な状況をあらかじめ作りやすくする考えから生まれたシステムということです。もっと言うと、危険なバイタルエリアで守備側が数的に有利な状況を作り出すために、とにもかくにも「中盤の守備にポイントを置いて」人数を増やしたシステムとも言える訳です。もちろん中盤に人数を増やす分、前線の人数は減りますがね。というわけで「ペナルティーエリアの前で自由にやらせるな」と言うなら、単純にそこで数的有利を作り出すようなフォーメーションをするというのがもっとも有効な手段だと思うってわけです。つまり「4-4-2」でもなく「3-4-2-1」でもない「4-5-1」もしくは「3-5-1-1」=「中田英&福西」のダブルボランチにプラスアルファでもう1人ボランチを置くというフォーメーションです。えっ? ブラジル戦の後半の中田浩二の投入がそうだって? って本当にそうなのか?

■バイタルエリアの守備の問題はあるが、失点自体はSBの守備力!?

というわけでバイタルエリアの守備とフォーメーションについてくどくど書きましたが、実はブラジル戦の失点自体は厳しいことを言えば加地&サントスのSBの守備力の弱さが原因だったような気もします。1失点目はカウンターからロナウジーニョに突破を許した加地がなんとかすべきだったようなきもするし、2失点目も加地がセンタリングを上げられ、サントスがマークできずシュートを打たれたという見方もできるとは思います。システム&フォーメーションといった戦術ももちらおん大事ですが、それを支えるのはやっぱピッチ上の選手の技術なわけです。

変わらないのは「選手ありき」という考え方だbyアンチェロッティ

 まぁそういうことです。W杯まであと一年。選手個人個人のさらなるレベルアップが必要なのは、言うまでもないところです。

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