マンチーニのサッカースタイルを考察②:状況に応じた最終ラインの動きと、トップ下対策!

マンチーニ:一言で説明するのは難しい。あえて言えば「さまざまな状況に対応して、正しく動き、正しいポジションを取れるようになること」。大切なのは、状況にあわせて自然に動けるようになることさ。だから、機能するまでに時間がかかるんだ。
WSD:最終ラインの上げ下げや、カバーリングの約束事も、そこみ含まれているのですか?
マンチーニ:もちろん含まれている。重要なのは、2ライン(中盤をDF)の間隔があきすぎないようにすること。そこで相手にスペースを与えないようにすること。2ラインの間で前を向かれるのが最悪なんだ。
WSD:最終ラインは、高めに設定するのが理想ですか? あえて低めに設定しておいて、カウンターに狙いを定める。そういう選択肢も理論上ありえますが?
マンチーニ:2ラインの距離を短く保てば、高さには関係なく、守備の局面で大きな問題をかすむだろう。もちろん、その後の攻撃を考えれば、チーム全体を高く保つほうがベターに決まっている。ボールを奪う位置が高ければ高いほど、相手のゴールに近いところで攻撃を始められるわけだしね。ただ、そういうサッカーを実際やるには、ボールを奪われたあとのフォワードの動きがカギになる。即座にプレッシャーをかけられるかどうかだね。前線でプレッシャーがかからないのに、ラインを上げるのはリスキーだ。
ワールドサッカーダイジェストNo.204(10.6号)「CALCIO解体新書」インテル編より
マンチーニのサッカースタイルを考える第2回。今回は守備について。ってことで、さっそくマンチーニのインタビューを無断掲載したのが、上の部分です(ワールドサッカーダイジェスト編集部のみなさん、度々すみません。問題ある場合には削除します)。マンチーニの守備についての基本コンセプトについてなんですが、個人的には非常に納得と言うか賛同できるといいますか。マンチーニの考え方って、我が応援するチェルシーのモウリーニョにも通じるものがあるように感じました。

■リトリートそれともプレス? 状況に応じた、正しい動き、正しいポジションとは!?

このマンチーニが言うところの「状況に応じた、正しい動き、正しいポジション」について、シモーネ氏がもうちょっと具体的に言及してます。

オフサイドトラップを採用してないインテルの場合、ボールを奪われたらリトリーとしながら相手を迎え撃つのが基本となる。ただし、単純に後退するのではなく、相手のボールホルダーが背を向けている状況、あるいはタイトにマークされている状況ではラインを押し戻し、ボールホルダーがフリーで前を向いた状況、あるいはマークが緩い状況ではリトリートと、細かいラインの修正がしっかりとできていた。ワールドサッカーダイジェストNo.204(10.6号)「CALCIO解体新書」インテル編より

インテルではないのですが、先日行われたプレミアリーグの「リバプール対ユナイテッド」戦でこんなシーンがありました。中盤でルーニーがインターセプトしてユナイテッドが速攻! 3対3の状況となるのですが、リバプールが状況に応じた、正しい動きを見せて、このピンチを防いでました。まず、ルーニーが中央でドリブルを仕掛けるのですが、このときユナイテッドは右にC.ロナウド、左にニステルローイがポジションをとってました。で、中央にリバプールが3人。こんな感じ。




                  …………ペナルティエリア………


              ↑            ↑         ↑
              ●ギャラガー(?)  ●ヒーピア(?) ●フィナン(?)
       ○ニステル                                   ○ロナウド


                               ○ルーニー
で、このときリバプールの3人はルーニーに対してボールを奪いに行かないで後退(リトリート)します。これはシモーネ氏が言うところの「ボールホルダーがフリーで前を向いた状況」なわけで、うかつに飛び込んで交わされると数的不利になるし、ロナウド、ニステルローイをケアしていたこともあるから、リトリートは正解だったと思います。で、後退しますが、ペナルティエリアあたりで止まってルーニーを待ち、ルーニーがスピードダウンしたところを後ろからフォローにやってきたジェラードがルーニーにタックルをかまして事なきを得ることになるわけです。

           
                    …………ペナルティエリア………
               ●ギャラガー(?)  ●ヒーピア(?) ●フィナン(?)
       ○ニステル                                   ○ロナウド
                             
                            ○ルーニー
                           ●ジェラード
                           ↑
このシーン、リバプールの守備陣の対応は正しかったと思います。リトリート→ペナルティエリアで踏ん張る。そしてMFのジェラードのサポート。最終ラインのDFの状況判断もジェラードの労を惜しまない忠実な動きも文句なしだったと思います。もしこれが中途半端にプレスに行ってしまっていたら、例えば北アイルランド戦のイングランドの失点や、ボロ戦のアーセナルのシガンの守備みたいになっていたと思う次第です。まぁわかりませんが。要は守備をこなすには「状況に応じた、正しい動き、正しいポジション」が必要で、やみくもにプレッシングしたりコンパクトにしたり、最終ラインを上げればいいってもんじゃないですよってことです。例に挙げたのがインテルの守備でなく、リバプールの守備ってのが説得力ないですが、マンチーニの言うところの「状況に応じた、正しい動き、正しいポジション」の例として挙げさせていただきました。たぶんインテルの守備陣も同じ状況だったら、こうしていたことでしょう? って強引すぎですか?

■「4-4-2」VSトップ下問題!? 「3ハーフ」でトップ下をケアするチームが増えてますが…!?

WSD:4-4-2は構造的に、2ライン(中盤とDF)の間でプレーする相手のトップ下を捕まえるのが難しいシステムです。昨シーズンはミランのカカあたりに苦しめられたように思いますが、この弱みをカバーする特別な策はありますか?
マンチーニ:わたしは、カカをそれほど自由にした記憶はないけどな(笑)。昨シーズンの秋のダービーはまだ守備の組織が固まらずにいた影響もあって、3センターハーフの4-3-1-2で戦った。中盤の底に入ったアンビアッソがカカをケアする布陣だね。ディフェンスのメカニズムが定着してからは、すべて4-4-2で戦っている。積極的にサイドを使えるこのシステムこそ、インテル本来のサッカーができるからだ。
WSD:守備のメカニズムが定着してからは、具体的にはどのようにトップ下に対処してましたか?マンチーニ:難しいことはなにもない。センターハーフかセンターバックの近いほうの選手が捕まえる。それがすべてだよ。2ラインの間隔を短く保って、トップ下の動けるスペースを狭めるようにする。それができていれば完全にフリーにしてしまうことはない。ワールドサッカーダイジェストNo.204(10.6号)「CALCIO解体新書」インテル編より

4-4-2の守備に対しては、最終ラインと中盤の2ラインの間を「トップ下の選手が自由に動いてかき回す」のが有効と一般的に言われてます。そのトップ下対策(?)も考えてか、ミランやバルセロナ、チェルシーといったクラブが「3ハーフ」にして、DFと中盤の2ラインの間に選手を配してトップ下の選手をケアしたりバイタルエリアのスペースを潰すという戦術をとって「3ハーフ=最近の流行」っぽくなっているのですが、この3ハーフも完璧ではなく問題があるわけです。それは簡単に言えば、2ハーフから3ハーフにすることで「中盤の人数が増える」分、どこかのポジションで「人数が減る」ってこと。だいたいの場合は中盤に人数を増やす分、攻撃の人数を減らして「FWをワントップ」にする場合が多く、ワントップが機能しないと、中盤は安定する代わりに前線で基点が作れなくなるってことが起こってしまうわけです。この「帯に短し襷に流し」(?)って問題についてはコラムでシモーネ氏も言及してますが、DFに比重を置けば前線が苦しくなるし、逆に前線に比重を置けばDFが苦しくなるってのがサッカーのシステムであるわけで、手持ちの選手や戦術によってそのバランスを模索するのが監督の仕事であったりするわけです。たぶん。

マンチーニの理想は「4-4-2」! 3ハーフでなくてもスペースを消せば対応できる?

で、インテルに話を戻します。マンチーニの理想は「4-4-2」だと思います。両サイドのワイドににSHを置くってのは「攻撃」のところで言及しましたが、FWは2トップがベストなんでしょう。なので中盤のボランチは理想は「2枚」なわけです。なので3ハーフにしないで4人の中盤(ボランチは2人)で、トップ下を押さえることができればそれに越したことはないってわけですが、そのトップ下対策に対する回答が「コンパクト」というものでした。縦にも横にも「コンパクト」にしてトップ下が活躍できるスペースを消せば、センターハーフかCBのどちらかがトップ下のマークに付いても、マークで抜けた部分(中盤か最終ラインのどちらか)の数的不利な状況を補えるという考えです。
考え方は間違っていないでしょう。これはマンチーニに限らず4-4-2を採用するチームのほとんどが、同じような考えで「トップ下」をケアしようとするんでしょうが、常に「コンパクト」を保つというのはそんなに簡単なことでないのは確かなわけです。
この前のCL決勝のミラン対リバプールを思い出していただきたいのですが、前半2ボランチで臨んだリバプールはミランのカカにやられて3失点し、後半3ハーフに修正してます。まぁ前半のリバプールの守備がコンパクトでなかったので、カカにやられたのかもしれませんが、「2ハーフにして守備をコンパクト」よりも「3ハーフにして前線の人数減らす」ほうが安全でトップ下を押さえることができる可能性が高いと思う次第です。まぁ結局は、システムなんて対戦相手や状況によるものということと言ってしまえばそれまでですが。

総括:レアルマドリーから獲得した3人のプレイヤーが、インテルに足りなかった最後のピース!?

ってことで、ファンでもないのにインテルについてグダグダと書いてきましたが、マンチーニの掲げるサッカーはおもしろいと思ってますし興味があるんです。間違っているところもあるとは思いますが、そういった場合はインテルのファンの方々のやさしいご指摘をお待ちしてます。ちなみにインテルの守備戦術については2つのポイントをピックアップして見ましたが、今シーズンのインテルの「4-4-2」の守備がどれくらい機能するか注目してみたいですね。ってまぁ、あまり見る機会はないかもしれませんが(笑)。ちなみにフィーゴ、ソラリをマドリーから掻っ攫ってきた話は攻撃のところで言及しましたが、守備陣でもサムエルをマドリーから掻っ攫っていたんですよね。ルッシェンブルコが捨てた「フィーゴ、ソラリ、サムエル」の3人がマンチーニのサッカーにとっては非常に重要な選手で、マンチーニのインテルに足りなかった「最後のピース」だったというのは、なんとも興味深い話なわけです(笑)。
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※都合により、次の更新は27日予定です。次はアストンビラ戦について!?

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