W杯欧州予選「イングランド対北アイルランド戦」雑感 エリクソンとベッカムのボランチと3トップの関係

問題の背景にはエリクソン監督の人気重視の起用法がある。右サイドには新鋭W・フィリップスが台頭し、一部では「ベッカムより上」との評価もあるが、指揮官はあくまで貴公子の起用に固執。苦心の末ひねり出された答えが両選手併用の4―5―1だった。
 指揮官は「システムが今日の問題だったとは思わない。ほとんどの選手が所属クラブと同じ位置でプレーしていたんだから」と強調。しかし元代表主将のブッチャー氏は「ベッカムはお荷物だ。かつての実力はない。監督は彼を外すかどうか、重大な決断を迫られている」と反論する。試合後「このシステムは君にとっては最高だけど、ほかの選手は機能しないのでは?」と問われたベッカムは、「今はしっかりと負けを受け止めてチーム一丸となるしかない」と険しい表情だった。
http://sports.yahoo.co.jp/hl?c=worldsoccer&a=20050909-00000032-sph-spo

「ブロッコ・チェルシー」ではなく、「ベッカム+ライトフィリップス」という考え?

昨日スカパーで録画放送された、W杯欧州予選のイングランド対北アイルランド戦を見ました。試合結果を知っての観戦だったので、なんかイングランドの敗因を探るような感じになってしましましたが、やっぱフォーメーションの問題というのがあったと思う次第です。先日このブログで、ウェールズ戦のイングランド代表のシステムを評して「ブロッコ・チェルシー」という表現をさせていただきましたが、北アイルランド戦では同じ「4-5-1」(または4-3-3)システムながらもジョー・コールを外してオーエンを入れたエリクソン監督。「ブロッコ・チェルシー」という私の考え方が、まっこうから否定されたような感じですが、そもそもエリクソン的には「ランパード、ジョーコール、ショーン・ライト・フィリップス」というチェルシーの攻撃陣の組み合わせを意識しての「4-5-1」でなくて、ベッカムとライトフィリップスを同時に使うというのが一番の目的だったということなんでしょう。まぁ私がチェルシーファンなので、エリクソンが「ブロッコ・チェルシー」を採用したのではという穿った考え方をしていただけなんですがね。
さて、そのベッカムを中盤の底で起用するという「苦肉の策」ですが、これって日本代表に就任当初にジーコが採用した「黄金の中盤」というか「中村と中田英を一緒にピッチで使う」発想に似ていると思うのは私だけでしょうか? しかもベッカムも中田英も紆余曲折あって、代表チームでは本来のポジションでない「中盤の底」でプレイすることになったのは単なる偶然なのかもしれませんが、この2人の選手は各々、エリクソンとジーコにとって簡単にはスタメンから外すことができない選手であることは間違いないわけです(中田英の現在のベストポジションがどこであるのかは、いろいろな考え方があると思いますが)。

失点シーン。ベッカムは動かなかったのか、動けなかったのか?

話をイングランド代表に戻します。ベッカムを中盤の底に置き、ライトフィリップスをウイングとして起用して同時に使うというエリクソンの策ですが、結果的に考えれば北アイルランド戦では裏目に出た感じです。攻撃においてはベッカムとライトフィリップス事態はそれほど悪くはなかったと思いましたが、その周りの選手であるオーエン、ルーニー、ラインパード、ジェラードが生きず攻撃がかみ合わず、守備においては「ベッカムの中盤の底」でのミスが失点に繋がってしまいました。
失点シーンを振り返ってみます。アシュリーコールのスローインから始まっているのですが、なんかすべての選手がチグハグな感じでした。GKのロビンソンが蹴ったロビングボールはランパードが触れず北アイルランドに奪われ、前線のMFの選手(名前わからず)にパスを通されてしまいます。この北アイルランドのMFの選手からFWのヒーリーに決定的なスルーパスが通り得点となってしまうのですが、この時のベッカムの守備はいただけなかった。なぜかこの時、完全なるボールウォッチャーというか選手ウオッチャーとなっていたんですよねベッカム。動けなかったのか、それともゾーンで守るという意識があったために飛び込めなかったのかわかりませんが、ベッカムが北アイルランドの選手にプレッシングせずに自由にパスを出させてしまったのがイングランドが失点した最大の理由だったと思う次第です。まぁ最終ラインが安直にオフサイドトラップを狙って失敗したのも、その理由の1つであるとは思いますがね。ただこの時間帯ベッカムのみならず、イングランドの選手すべてがボールウオッチャーのようになっていたようにも思えました。プレミアリーグ開幕したbなかりでコンディション不良という問題や、攻撃がうまくいかないイラダチや焦りというものからきた「心理的な要素」というのがあったのかもしれません。心理面の影響と言えば、特にルーニーが顕著でしたが、こういう大事な試合では重要な要素なんですよね。ちなみに日本代表ではベッカム同様(?)に、中田英がホンジュラスとの親善試合でミスして失点に絡んでます。不慣れなポジションの影響ってのはあるのかもしれません。

ベッカムのポジションよりも、問題は3トップの組み合わせと連携? やっぱ「ブロッコ・チェルシー」でしょ?

攻撃についてです。北アイルランドの守備陣ががんばっていたこともあると思いますが、結局はワントップにオーエンを据えたイングランドが「ノーアイデア」だったと言うことなんでしょう。オーエンの良さはスピードであったり、俊敏さであったり、スペースを生かした動きだったりするんでしょうが、「4-5-1」のワントップにはあまり適してないと個人的には思ってます。ニステルローイとかドログバみたいに、前線でポストプレイができるフィジカルを持つような選手の方がワントップに適していると思う次第です。もちろんオーエンも何度かポストプレイはしてましたが、相手DFに対してあまり脅威を与えるまでにはいかなかったように思えたんですよね。そしてこの試合でジョーコールの代わりに左サイドに入ったルーニー。マンチェスターユナイテッドでも左サイドのウイング的なポジションでプレイすることもあるルーニーですが、オーエンともライトフィリップスとも合ってないように思えました。ルーニーはトップ下的なプレイもできるパス能力もあるすばらしい選手だとは思いますが、サイドでのプレイはあまり得意でないように思えるんですよね。ボールを触って調子を上げるタイプですし、例えばサイドに張ってライン際で勝負したり、相手の裏のスペースに抜けるようなボールがないところの動きもそれほど得意としてないわけです。とにもかくにもオーエン、ルーニー、ライトフィリップスの3人がうまく絡めず、各々が孤立してしまったように見えたのですが、それがこの日のイングランドの攻撃陣の最大の問題であったと思う次第です。つまりベッカムの中盤での起用事態が悪かったわけであんく、それに伴う「オーエン、ルーニー、ライトフィリップス」の3トップの組み合わせがよくなったということです。この前線の3人がかみ合わなければ、当然、その後ろから攻撃をサポートするランパードとジェラードも攻撃に絡むことはできません。確かにこの2人がコンディション不良のところもあったとは思いますが、その問題よりも3トップの連携の悪さのほうが問題であったと思うということです。

エリクソンにとって「オーエン、ルーニー、ベッカム」はアンタッチャブルな存在?

後半にエリクソンはライトフィリップスに変えてジョーコールを投入しますが、正直、この2人を変えてもあまり状況は変わらかったように思えました。個人的にはルーニーかオーエンを下げてジョーコールを投入し、ウェ-ルズ戦と同様にライトフィリップスとジョーコールの「チェルシーウイングコンビ」にしたほうが機能したと思うのですが、これまたチェルシーファンならでは妄想と言われてしまえばその通り(笑)。だってライトフィリップスとジョーコールを左右に置いたほうがバランスいいと思いますし、息もあっていると思うんですけどね。
どうもエリクソンにとってオーエンとルーニー、それにベッカムの3人がアンタッチャブルな存在となっているような気がしてならないのですが、これまたチェルシーファンの被害妄想なのかもしれません。まぁ誰が監督にせよこの「国民的なヒーロー」を簡単に外すことはできないと思いますし、「チームの歯車」よりも「名声」で選ぶなのが代表チームのあり方なのかもしれませんがね。
その後1点取られてジェラードとランパードを下げてデフォーとハーグリーブスを投入するんですが、これもどうなんでしょう?? 確かにランパードとジェラードはコンディション的に厳しかったのかもしれませんが、今のイングランドから中盤なくしたら、それこそオーエンは生きませんよ。まぁ本調子のルーニーなら中盤がなくても独力でゴール決めれる可能性はあるように思えますが、オーエンとデフォーは望み薄です。まぁ、じゃどういう交代がよかったかと言われると厳しいのですが、少なくともランパードかジェラードのうち1人は残しておくべきだったと思う次第です。まぁすべて結果論ではありますがね。

「名声」を取るのか、「ブロッコ」を取るのか? それとも両方をうまく組み合わせることができるのか? それが問題だ

ベッカムを中盤の底においた「4-5-1」で2戦戦ったイングランドですが、今後どうするのか? さらに継続して「4-5-1」で行くのか、それとも「4-4-2」に戻すのか? エリクソンの采配に注目したいですが、個人的には「オーエン、ルーニー、ベッカム」の3人を軸にするのか、「ライトフィリップス、ジョーコール、ランパード」の「ブロッコ・チェルシー」を軸にするのか、エリクソンはどちらかを選択すべきだと思う次第です。

かつてのフランス代表はエメジャケが監督だったころ、ジダンを中心とするためにカントナを切った話は有名です。もしかしたら今のエリクソンに必要なことはその「カントナ切り」なのかもしれません。イングランド代表にとって、誰がカントナなのかは人それどれってことで。

PS:明日、チェルシーはサンダーランド戦。今シーズン最初の国際Aマッチデー明けということで注目したいですが、昨シーズンは鬼門だったんですよね。昇格組のサンダーランドと言えども侮れないです。

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