プレミアリーグ第9節「チェルシー対ボルトン」雑感  モウリーニョ流・超攻撃的「フラット3」が炸裂!

■昨シーズン唯一負けたマンチェスターシティ戦は、ちょうど一年前。嫌なジンクスがありましたが…

 チェルシーが昨シーズンリーグ戦で唯一負けたマンチェスター・シティ戦が、ちょうど一年前だったというのを試合前に知り、ちょっぴり嫌な感じで観戦したボルトンとの一戦。前半早々にボルトンに先制され、その「嫌な感じ」が頭に少しよぎったのですが……、ということで試合を振り返ってみます。

■ダフのみならずロッベン&クレスポも不在。ギャラス&デルオルノのSBは、リバプール戦同様に高さ対策!?

チェルシーのスタメンですが、おなじみの4-3-3ながらもダフの怪我に加えてロッベンがベンチ外で、両サイドウイングははショーンライトフィリップス(SWP)とジョー・コールが先発。またサイドバックはリバプール戦同様にギャラス&デルオルノが起用されてました。これはたぶん「ボルトンのロングボール」対策ということで、パウロフェレイラよりもギャラスを起用ということだったと思っているのですが?? まぁ単純にデルオルノが復帰したけど、ギャラスも使いたいということでフェレイラを外しただけかもしれませんが。一応、図にするとこんな感じです。



【チェルシーのスターティングラインナップ】
                 ●チェフ

           ●カルバーリョ   ●テリー
   ●ギャラス                     ●デルオルノ 
                  ●マケレレ

         ●エシエン        ●ランパード

   ●SWP                        ●ジョーコール

                ●ドログバ 
  
対するボルトンですが、期待した中田英はスタメンでなくベンチスタート。中盤はノーラン、ファイ、スピード。FWは中央にデイビスで両サイドにヤンナコーロス&ディウフという布陣。試合は開始早々、そのボルトンの3トップの見事な連携による「まさかの先制点」で火蓋を切ることになります。

■前半①:ボルトンの高さでなく「パスで崩され」失点! 今シーズン初のDF陣の明らかなミス!?

前半4分。右サイドのスローインからデイビスがカルバーリョに競り勝って落としたボールをディウフがペナルティエリア内キープ。チェルシーはギャラスが対応するものの、中央へスルーパスを流されてしまいます。この「テリーとデルオルノの間を通されたスルーパス」が、逆サイドのヤンナコプーロスに渡り、このボールを落ち着いて流し込まれてボルトンが先制。ボルトンの「高さ」を警戒していたチェルシーDF陣ですが、高さでなくパス回しで崩されての失点となってしましました。失点の一番の原因はテリーとデルオルノのポジショニング&対応のまずさだったと思いました。特にデルオルノはあの状況では単にラインを上げるのではなく、引いてしっかりとヤンナコプーロスをケアするべきであったと思いました。まぁディウフのパスがすばらしかったこともあったと思いますが、きちんと対応していれば防げた気もします。チェルシーらしくない守備陣の対応ミスによる「崩されての失点」であったと思うのですが、幸いなことに失点した時間は前半早々。ここからチェルシーが反撃に出ます。

■前半②:ボルトンの守備にランパード&エシエンが苦戦。守護神チェフのミスも!?

前半10分に右サイドのSWPからのクロスにデルオルノがヘディングシュート、16分にはCKからのこぼれ玉にジョーコールがミドルシュート。このように何度かチャンスは作るものの、ボルトンの「引いて中盤のスペースを消す守備」にランパード&エシエンが苦戦。結果、中盤があまり高い位置で攻撃に絡むことができず、チェルシーの攻撃自体はあまり機能してないようにも感じました。逆に中盤でパスをインターセプトされボルトンにカウンターを食らったり、サイドからの放り込みに守備陣が苦戦するような場面も。この日は、どうもGKのチェフの動きがイマイチのように感じました。特にロングボールの対応が悪かった。DFとの連携ミスやキャッチミスが多々ありました。まぁそれでもなんとか追加点を奪われないで防いでしまうところがチェフの凄さではあるのですが、この日の出来は悪かったです。

前半③:チェルシーのSWPが活躍! ボルトンの左サイドバックの穴に活路を見出すが…

という感じで、先制された後もボルトンに苦戦するチェルシーでしたが、ボルトンの弱点である「右サイド」に活路を見出します。この日のボルトンの左サイドバックは、ここ数試合同様にペデルセンでしたが、この選手はもともとはFW(ウイング)の選手。アラダイス監督がサイドバックにコンバートして起用されているわけですが、攻撃はいいものの守備はイマイチ。そんなペデルセンに対してチェルシーの右ウイングのSWPが積極的に仕掛けてチャンスメイクします。32分にSWPがドリブルでペデルセンを交わして、センタリングしてドログバがシュート! 惜しくもオフサイドになってしまったもの、このプレイで完全に「サイドの主導権」を握ることになります。続く32分にもSWPの個人技に突破を許すペデルセンでしたが、38分にはライン際のボールを軽率に扱いまたまたSWPに突破を許してしまいます。さすがのアラダイス監督もこのペデルセンの守備に頭にきたのか、ここでペデルセンを引っ込めて本職のSBガードナーを投入することに。チェルイシーとしては「ペデルセンという穴」を突いて同点に追いついておきたかったのですが、アラダイスの対応は迅速でした。まぁ、そもそもウイングが強力なチェルシー相手に、ペデルセンをSBの先発で使うのが何ですが…。

■後半①:モウリーニョ得意の戦術変更「3-3-4」という超攻撃的な「フラット3」が炸裂!

後半。チェルシーはやはり動いてきました。デルオルノに変えてグジョンセン投入。モウリーニョ監督得意の「交代によるフォーメーション変更」です。グジョンセンを入れた後半のフォーメーションは、こんな感じになりました。



【チェルシーの後半のラインナップ】
                   ●チェフ

         ●カルバーリョ  ●テリー  ●ギャラス
                         

                    ●マケレレ

            ●エシエン         ●ランパード

  ●SWP                            ●ジョーコール
               ●グジョンセン 

                       ●ドログバ   

数字にすると「3-3-4」? ワールドサッカーキングのコラムで、ウィガン戦は後半「3-3-4」に変えたモウリーニョは書いてましたが、それと同様だったように思えました。3バックにして、前線にグジョンセンを置くという超攻撃的な3バック。モウリーニョ流の「フラット3」という感じでしょうか? 対するボルトンもメンバーチャンジ。いよいよ中田英の投入です。スピードに変えて中盤にアラダイス監督が配します。このアラダイス起用の狙いは「攻撃的にする」ということか? それとも「スピードのコンディションを考えて」のものか? という感じで後半早々から両監督が動いてきたわけですが、その交代策はチェルシーに軍配が上がることになります。

■後半②:右サイドは「SWP&エシエン」、左サイドは「ジョーコール&ランパード」でサイド攻撃

グジョンセンが入ったことで、前線に基点が作れるようになったチェルシー。46分には右サイドをSWPとエシエンのコンビで突破。47分には左サイドからランパードがセンタリングを上げ、最後はSWPがシュートというシーンを演出します。右サイドは「SWP&エシエン」のコンビで、左サイドは「ジョーコール&ランパード」のコンビでサイドで数的有利を作って攻めるという、モウリーニョの指示があったように思えましたが、それだけでなく前線からのプレッシングも厳したチェルシーが完全にペースを握ることになります。
51分にチェルシーが同点に追いつきます。FKからランパードのシュート。GKのヤースケライネンがこぼしたところをドログバが押し込みゴール。ランパードのシュートも見事でしたが、詰めたドログバもさすがでした。FKそのものよりも、そのFKのファウルをもらうきっかけとなったエシエンの中央突破のほうが見事だったかもしれません。ランパードのクサビパスにドログバのポストプレイ。そのドログバからエシエンが攻撃参加してパスを受けて中央でファウルを受けたのですが、このエシエン縦横無尽な「攻撃参加」がこの得点を生んだという気もしました。

■後半③:チェルシーの攻撃陣が爆発! ボルトンの4バックの乱れは必然であった!?

このゴールでさらに勢いを増すチェルシー。3分後に勝ち越します。ギャラスからのクサビのパスをグジョンセンが独特の柔らかいタッチのちょんと方向を変えるだけのパスをドログバへ。ボルトンのオフサイドトラップをかいくぐったドログバがそのまま中央へドリブルしGK&DFを引き付けてランパードへヒールパス。これをランパードが落ちいていて決めてチェルシーが逆転。このシーン図で書くとこんな感じですが、ボルトンの守備陣のラインコントロールの乱れがすべてでした。





 ●ベンハイム       ○ドログバ                      ●ガードナー
                    ↓         ↓
   ○ジョーコール        ●ジャイディ  ●エンゴティ     ○SWP
                               ○グジョンセン 
                               ↑

グジョンセンに対してCBエンゴティが対応するのですが、もう片方のCBジャイディがエンゴティの動きに合わせてラインを上げてしまいます。ですが両SBのガードナーとベンハイムはラインを上げてないので、その結果、中央でドログバがフリーでオンサイドにしてパスを受けさせてしまっているわけです。まぁボルトンのDFのラインコントロールミスと書けばそれまでですが、なぜにコントロールミスが起こったのかと考えますと、それは①前半はワントップでどちらか1人が当たって1人がカバーすればよかったボルトンのCBが、後半はグジョンセン&ドログバの2枚となりそれぞれが対応しなくてはならなくなった。②ガードナーとベンハイムの両SBはチェルシーの「エシエン&SWP」、「ランパード&ジョーコール」のコンビに制圧され、迂闊にラインを上げてることができなかった。もしくはラインを上げて背後にスペースを作ることで裏を取られたくなかった。という2つの要素が絡んでのラインコントロールミスであったと思う次第です。まぁジェイディが、オフサイドトラップを狙わずにちゃんとドログバを見るべきであっただけと言えばそれまでの気もしますが。

このゴールで完全に試合の実権を握ったチェルシーですが、勢いは止まりません。58分に今度はサイド突破を図りますが、SWPに裏を取られたボルトンの右SBガードナーが「故意のハンド」をしてしまい一発退場となります。ペーダーセンに代わって守備の強化のために起用されたガードナーでしたが、その役割を果たすことはできませんでした。

この退場で勝負あり。その後ランパードがFKを決めて3点目、さらにCKからドログバのボレーシュートが炸裂して4点目。トドメはグジョンセンが今季初ゴールを決めて5点目を奪い、そのままタイムアップ。5-1という大差でチェルシーが逆転勝利。見事、開幕から9連勝という結果となりました。

■総括:今期3度目の「モウリーニョの積極采配」での勝利! モウリーニョの頭脳&ベンチ&ユーティリティの関係!?

チェルシーの後半の爆発はすばらしかったですが、これはおなじみのモウリーニョの積極采配のおかげでしょう。格下相手には「リスクを冒しても攻撃的にいって勝ち越し」そして、勝ち越し後「守備を固めて勝ち点をゲット」というモウリーニョのやり方はさすがです。これで今期3度目? まぁそういう積極采配ができるのも、他のチームが羨むような豪華な「交代要員」がいるからであるのは言うまでもないところですが、それだけでなく「SB&CB」ができるギャラスや「FW&MF」ができるグジョンセンというユーティリティプレイヤーがいるからというのも大きな要素であるのは見逃してはならないところ。ちなみにこの日ベンチに入っていた第3のFWカールトンコールがついに今シーズン初起用されたわけですが、このカールトンコールだってアストンビラやチャールトンではレギュラーFWだったわけです。それを考えてもチェルシーの選手層の厚さがわかるというもの。ダフ&ロッベン&クレスポを欠いても「5点」取れたというのは、すばらしかったでえすし自信になったとも思う次第です。まぁFKがらみ得点&退場者が出たというのもありましたが。

対するボルトン。中田英はほとんど見せ場を作ることができなかったわけですが、後半早々のこのアラダイス監督の中田英起用は結果として裏目に出てしまったようにも感じました。チェルシーの「リスクを冒した攻撃」に対して完全に「受身」に回ってしまったわけですが、チェルシーのフォーメーション変更に対する対応が出来てなかったというのが敗因でしょう。カンポの怪我など「守備の選手」がいなかったということもあるんでしょうが、後半ほとんど攻撃できなかったのは、中田英投入うんぬんという話でないのは確かでしょう。まぁ中田英にとっては「不運」であったということなんでしょうが、この敗戦についてどう感じているのかは知りたいところ。
きっとチェルシーに「セリエA的」な匂いを感じてくれたと思うのですが、いかに?
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