チャンピオンズリーグ「ユベントス対バイエルン戦」雑感  パオロ・ロッシとユベントスの関係

■パオロ・ロッシといえば82年W杯イタリア優勝の立役者ですが…!

 ファビオ・カペッロは、ダビド・トレゼゲを称賛した。
「彼のようなキックをできるものは少ない。パオロ・ロッシを思い出す。ペナルティエリア内での彼は水を得た魚のようだ。一つチャンスがあればそれを最大限に生かすことができる」
 また、カペッロは相手チームの力も強調した。
「このチームは本当に強い。弱点はない。どのチームにとっても、倒すのは難しいだろう。よく団結していて、全員がよく走り、苦しくても頑張っている。FKも怖い」
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/eusoccer/headlines/20051103-00000012-spnavi-spo.html

なぜにパオロ・ロッシと思ったのですが、ユベントスつながりなんですね。素人目にはトレセゲとパオロ・ロッシの共通点は思いつかないのですが、まぁどちらも決定力があるって言えばそうなのかもしれません。

CLのユベントス対バイエルン戦は、そのトレセゲの2ゴールでユベントスが勝利したのですが、ユベントスとしてはミラン戦のイヤな敗戦を払拭する勝利であったというところでしょうか。ってことで試合を見ていて気がついたことをいくつか。

■デルピエロの起用法にみる、カペッロの思惑&カペッロの凄さ

まずユベントスについて。この日のフォーメーションはいつもの4-4-2でなく3-5-2でした。昨シーズンもネドベドが不在の時など、このシステムで戦っていたわけですが、この柔軟性があるところがユベントスの強さの1つと言えると思います。で、そのユベントスの3-5-2で興味深かったのは、デルピエロをトップ下の位置で使っていたことでしょうか。このデルピエロのトップ下起用は、よくやっているのでしょうかね? ふだんあまりユベントスの試合を見てないので勉強不足で申し訳ありませんが、正直あまり機能しているようには見えませんでした。デルピエロをどう使うかというのがカペッロの手腕の問われるところだと思っているのですが、後半頭からそのデルピエロをスパッとネドベドに交代するあたりに「カペッロの思惑」とか「カペッロの凄さ」を感じた次第です。同様に後半途中にカモラネージを投入するのですが、調子が悪いとみたのか、ためらいもなく引っ込めてムトゥを投入するあたりにも「カペッロの凄さ」を感じてしまいました(まぁ、カモラネージ投入が失敗であっただけという話もありますが)。
「よく団結していて、全員がよく走り、苦しくても頑張っている」
自分のチームについてカペッロはこのように言ってますが、それは選手たちが自然とそうやっているわけではなく、カペッロ自らが「そういうチームに仕立てている」というのは言うまでもないところです。

■CLバイエルン戦のゴールシーンから見えた、ユベントスの凄さ!

ゴールシーンについて。
【1得点目】1点目は後半から入ったネドベドが演出しました。イブラヒモビッチがサイドに開いてポストプレイ。それによって空いた「バイタルエリアのスペース」にネドベドが走り込んでパスを受け、毀れ玉に反応したトレセゲが見事なシュートを決めたというものでした。このイブラヒモビッチが開いて→ネドベドが飛び込むという形はユベントスの攻撃の1つの形なんでしょう。ちなみに前半にはこの「2トップが空けたスペース」を3列目からヴィエラが攻撃参加して使うシーンもありました。



  ○イブラヒモビッチ                   ○トレセゲ

             ↑        ↑
           ○ネドベド     ○ヴィエラ

という感じで、2トップと2列目、3列目が絡んだユベントスの攻撃はすばらしいわけですが、この攻撃を止めるのはかなり至難の業であると感じました。それはチェルシーの守備陣でも同様。まぁそもそも今のチェルシーの守備陣は、誇れるほど固くはないわけですが(笑)。
【2得点目】ユベントスがボールポゼッションの攻撃からヴィエラが浮き玉のスルーパスをDFの裏のスペースへ。ここに走り込んでいたトレセゲがワンタッチでDFの股間を抜いたシュートでゴール。ヴィエラのパスセンスとトレセゲのオフ・ザ・ボールの動き&フィニッシュの正確性&技術の凄さがでたゴールでした。



○バイエルンSB

          ●トレセゲ→    ※ここのスペースメイク&使用


                    ○バイエルンDF    ○バイエルンDF
  
                              ●ヴィエラ

特にすばらしかったのが、トレセゲのバイエルンDFの裏のスペースを狙った動きでした。この動きはクレスポも得意としてますが、一度、相手DFの視界から消えて自らスペースを作って(サイドに位置するとか)、その自ら作ったスペースを利用するというヤツです。でポイントはただ何も考えずにスペースを作っているのではなくて、「自らシュートを打つイメージ」を持って「シュートを打ちたい場所」にスペースを作って、「シュートを打てる位置」でパスを受けて、シュートを枠に打って決めるということです。

つまり、動きや考えすべてが「自らシュートを打つ」ということに直結しているということ。

こういう動きも、いわゆる湯浅氏が言うところの「インテリジェンスと強固な意志」と表現できる思うのですが、いかに???

■守備戦術の変更!? バイエルンの「引いたプレッシング」守備は脅威である

バイエルンミュンヘンについてもちょいと。昨シーズンのCLの決勝トーナメントでチェルシー戦で見た以来のバイエルン戦の観戦となりましたが、DF戦術が変わったように見えました。昨シーズン見た感じでは、前線からの積極的な「プレッシング」による守備戦術がバイエルンのやり方であると思っていたのですが、このユベントス戦の守り方はある程度引いてゾーンで待つという、昨シーズンのリバプールやチェルシーやミランが採用していた「引いたプレッシング」スタイルであったように感じました。

まず守備は、高い位置でのライン保持とプレスを放棄し、自陣に引くいわゆる「引いて守る」やり方だが、ただゴール前に人を集める「引きっぱなし」ではない。この点はこれまで何度か触れたことがあるが、あらためて振り返ってみる。
「引きっぱなし」が、シュートやセンタリングをされようがズルズルと後退するだけなのに対し、「引いて守る」とは、自陣に人数を割いて数的有利を作る守り方であり、いつかは足を止めて前に出てボールを奪いに行かねばならない。下がることは守備ではない。下がってインターセプトするプランがあってこそ、守備なのだ。どんなに押し込まれても、中盤と最終ラインの2列が適正な距離(2~5メートル)を保っている点に注目したい。
 ここでいう「適正な距離」とは、前の選手が抜かれても間髪おかずに出て行ける距離であり、競り合ってこぼれたボールを敵に奪われる前にクリアできる距離であり、奪ったボールをプレスをかわし安全に展開できる距離である。遠過ぎるとカバーリングが間に合わないし、近過ぎると1プレーで2人が抜かれたり、ボールやマークの譲り合いが起きる、インターセプト後のパスやドリブルの物理的な障害にもなる。
 ペナルティーエリア前後で最終ラインが足を止め、中盤のラインが適正な距離を保って“人の網”をつくり、ボール周辺に寄せて網の目を密にして、ボールを奪う。2本のライン間の距離がゼロ、中盤が吸収されてラインが1本になる危機的な状況(前後のカバーリングが消滅するため)に、陥ることはほとんど無い。http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/eusoccer/0506/spain/column/200511/at00006505.html

スポナビのコラムで木村氏がチェルシーの守備について書いたものですが、ユベントス戦のバイエルンの守備はまさにこれと似た感じのスタイルでした。個人的には、プレッシングのみならず、こういう戦い方ができる今年のバイエルンは非常に脅威に感じたのですが、もしチェルシーが今シーズンバイエルンと対戦したら昨シーズンのようにはいかないだろうなって思った次第です。

■チェルシーの守備! 昨シーズン見せた「引いたプレッシング」でしが今シーズンはできてない!?

ちなみに上の木村氏のコラムは例の「モウリーニョ対クライフ」について書かれているのですが、「今季もバルセロナ対チェルシーの直接対決を心待ちにしている」というのは私も同感です。ぜひとも実現してほしいですが、チェルシー的にはとにかくグループリーグ突破を決めないと話にならないわけで(笑)。もう1つちなみに。木村氏はチェルシーのサッカーのことを「引いて守る」「カウンター」と形容されてます。確かにそういう戦い方もしますが、そういうスタイルしかできにあわけでないとも思う次第です。
というか、むしろ今シーズンはそういう「引いて守る」スタイルのサッカーができなくなっている気がするのは私だけでしょうか? 

■最後に再びパオロ・ロッシと、いえば…!

さて冒頭で名前がでていたパオロロッシ。82年のW杯でブラジル相手にハットトリックをして、その後もゴールを決めてイタリア代表の優勝を導いたFWであったわけですが、実はそのW杯直前に八百長事件に巻き込まれて2年間の出場停止を食らっていたのは有名な話なわけです。時代は繰り返すとでも言いますか、つい最近セリエAではまた八百長疑惑が上がっていたりすのですが、もしかしたらカペッロがパオロ・ロッシの名を出したのはそちらつながりであったりして(笑)。そんなわけないですね。失礼。
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