プレミアリーグ第25節「WBA対チェルシー戦」雑感 ケンカサッカーでの勝利と稲本とモウリーニョ

ある意味、昨シーズンのアウェーでのブラックバーン戦を思い出させる「ケンカサッカー」となったこの試合。モウリーニョの派手なパフォーマンスが炸裂してましたが、こういう「フィジカルを駆使した激しいケンカサッカー」では、ある意味、選手以上にエキサイトして燃える監督であることを再確認しました。いやいや、すばらしい。人によっては大人気ないと映るかもしれませんが、個人的にはこういう熱い監督は好きですね。ほらジーコも、怒ると熱いじゃないですか。その昔東欧遠征のハンガリー戦でしたっけ、某選手が交換したユニフォームを審判(でなくて相手選手だったか?)に投げつけたなんてこともあったわけですが、そういう行為が言い悪いは別として、「熱い」監督のパフォーマンスってのは、個人的には好きですね。ってことで「熱血」モウリーニョが吼えたWBA戦を振り返ります。

■スタメン:ランパードが怪我で離脱もギャラスがSBに復帰の4-3-3

スタメンですが、ランパードが怪我で中盤はマケレレ、グジョンセン、エシエンの3人。その代わりといってはなんですが、ギャラスがSBで復帰しました。WGはロッベン&ダフ。ワントップはドログバの4-3-3.対するWBAは4-5-1(4-4-2)? 稲本は中盤右サイドでスタメン出場してます。

■前半①:WBAが優勢! 中盤の人数を増やした、すばやい前線からのプレッシングがチェルシーを苦しめる!

前半はWBAペースのように見えました。WBAの守備の意識が高く、中盤のスペースを消したゾーンディフェンスからの「すばやい前線からのプレッシング」にチェルシーは苦戦します。司令塔ランパードがいなかったこともあったと思いますが、チェルシー自慢のウイング陣にうまくボールがつなげず、なかなか攻撃の形を作れなかったように見えました。で、WBAの前線から中盤のプレスに苦しむチェルシーは、ワントップのドログバのフィジカルを生かした「クサビのボールを当てるポストプレイ」&「中央ウラのスペースへ放り込んでドログバを走らすプレイ」でチャンスを伺いますが、それも功を奏さずゴールを生み出すことができません。攻めあぐねるチェルシーとは逆に、WBAはカウンターから何度か決定的なチャンスを演出。前半5分には右サイドFKからFWキャンベルがドンピシャヘッド。GKチェフがすばやい反応で防ぎ事なきを得ますが、決定的なシーンでした。さらに前半12分。今度はGKチェフがパンチングでクリアしたボールが中途半端で、WBAのウォールワークにループシュートを打たれ、これまた「あわや失点」というシーンを作られてしまいました。

というわけで、ほとんどチェルシーの攻撃について触れてませんが(笑)このまま前半が終了します。WBAの戦術にしてやられたとでも言いますか、チェルシーの低調なパフォーマンスが目立ちました。ってWBAの守備は「戦術」って言うほどのものでもなく、単に「中盤に人数増やして前線から厳しく当たりにいって、サイドはチェルシーのウイングを2人で見る」っていう、プレミアの中堅&下位のチームがよくやる守備戦術であった気もしまいたが、まぁそれを忠実にWBAの選手たちがこなしていたのを評価すべきでしょうか?

■前半②:稲本の前半の守備をチェック! ソーンからマンマークへの対応と、プレッシングの良さで貢献

その「評価すべきWBA」の一員である稲本も、守備では当然すばらしいパフォーマンスを見せてました。「ゾーンディフェンス」と「マンツーマンディフェンス」の使い分けというか、状況判断が特にすばらしかったと思った次第です。WBAの守備は4枚のDFに3枚(5枚か?)のMFの2ラインでゾーンを形成して守るのが基本で、稲本もその「2ラインのゾーン」を形成して守備していたわけですが、例えばカウンターで攻められ守備陣形が整っていない場合などは「ゾーンでなくマンマーク気味に守る」必要があるわけです。

前半23分にこんなシーンがありました。チェルシーがカウンターからMFグジョンセンが中央でボールを持ってドリブルしチャンスを伺うのですが、その時、後方からエシエンが前線のバイタルエリアに向かってスルスルっと攻め上がる「オフザボールの動き」を見せます。ここで、もしエシエンにパスが通ればビッグチャンスになったと思ったのですが、そのエシエンの「オフザボール」の動きを察知した稲本が、マンマーク気味にエシエンに追尾してパスを出させなかったんですよね。


【前半23分:稲本のエシエンへのマンマーク守備】

                       ↑    ↑
                       ↑    ↑
                      ●稲本  ↑
             ○グジョンセン       ↑
              (ボールを持つ)     ○エシエン
                             (オフザボールの動き)
で、グジョンセンは結局ドログバへのパスを選択しゴールにはならかったわけですが、ここでエシエンへパスを通させなかった稲本の「マンマーク対応」は正しい状況判断であったと思った次第です。そして前半30分にも見事な守備を見せてました。得意の前線からのプレス守備をグジョンセンに対して行っていたのですが、プレスするタイミングもよかったですし、サイドへの追い詰めかたも見事でしたし、何よりもその粘り強い「当たり」は見事でした。
【前半30分:稲本がグジョンセンにプレッシング】
                   ↓
                 (プレッシング)
                   ↓
                ←←●稲本
             ←←○グジョンセン(パスを受けるもSBへパス)
                    ↑
                    ↑  

この稲本の鬼プレスにグジョンセンは前を向けず、サイドへパスしてしまうのですが、プレスからボールこそ奪えなかったもののチェルシーのゲームメイカーであるグジョンセンを自由にさせない稲本の守備は見事でした。さらに前半40分にも、すばらしい稲本の守備が。ハーフウェイライン付近でカウンター気味にロッベンがボールを受けドリブルするのですが、その時点でWBAの中盤は人数か少なくロッベンに対して1人しか対応できる選手がいませんでした。で、そんな危機を察知した稲本が全力で戻ってロッベンを追います。で稲本が守備に戻ってWBAの守備がロッベンに対して「2対1の状況」を形成。その結果ロッベンは囲まれてボールを奪われてしまうのですが、稲本の献身的な「守備対応」が功を奏したシーンであったと思いました。


【前半40分:稲本がロッベンを追ってインターセプト】          
                  →●WBAの誰か

                  ↑      ○ロッベン
                 ●稲本      ↑
                  ↑        ↑
                  ↑

もし稲本が戻れなくてロッベンが「1対1の状況」であったら、チェルシーがチャンスを迎えていたのは間違いないでしょう。ってわけで、状況をみたマンマーク対応にプレッシングと「稲本の守備の良さ」も目立った前半であったわけですが、もちろん稲本だけがよかったわけではありません。稲本に限らずWBAの選手全員が同じような意識を持ったすばらしい守備をしていたように思えました。まぁこの時期の「残留争いをしているチーム」は、時としてこのような気合の入ったすばらしいパフォーマンスを見せるわけですが、WBAも同様であったというところでしょうか?

■後半①:モウリーニョが活を入れチェルシーが再生! WBAに負けないプレッシングで応戦すると…!?

後半。モウリーニョに活を入れられたのかハーフタイムから戻りが遅かったチェルシーですが、その甲斐あってか前半とは見違えるような動きを見せます。簡単に言えば、「WBAに負けないようなプレッシング」を展開し、前半よりもガツガツ行くようになるわけですが、その「闘志あふれるプレイ」がすぐさま功を奏します。後半51分に前線からのプレスからチャンスを作ります。パスを受けた稲本に対して、グジョンセンとダフが素早いプレス。稲本はこのチェルシーの厳しいプレスにパスコースを塞がれ、左SBへパスを戻そうとしますが、このボールをダフにカットされドログバの元に。バイタルエリアでボールを拾ったドログバがそのままドリブルで中央突破してシュート。このコントロールされた正確なシュートがゴール左隅を捉えチェルシーが先制します。


【後半51分:チェルシー1点目】
            ↑
           ○ドログバ(拾ってシュート)

                ●稲本 ←○ダフ(プレス)
              (インターセプト)

                ↑
                ○グジョンセン(プレス)

■後半②:稲本がミスして失点! ボールのないところでの動きはすばらしかったですが…!?

このシーン、チェルシーのプレッシングがすばらしかったとは思いますが、ダフにカットされた稲本のプレイはやっぱ問題ありだったでしょう。SBへのパスをカットされてしますのですが、まぁ軽率なプレイであったと思いました。あのシーンで、稲本が一番避けなければいけないのは「パスカットされてそのままチェルシーに攻撃されること」なわけで、ボールを取られそうと判断したら、それこそ前線への放り込みや、サイドへ大きくクリアしてボールを取られないようにすべきであったと思うんですよね。

前半の稲本はたしかにすばらしかったですよ。ですが、それは守備の主に「ボ-ルを持っていないときの動き」でありました。確かにサッカーでは、このボールがないときの動きは重要です。選手が試合中にボールを触る時間なんて5分もないわけで、ほとんどの時間帯ではこの「ボールがない状態」。それが大切なのはわかりますが、ただ私的には「ボールをもった時の動き」は、それ以上に重要であると思うわけですよ。で、この日の稲本は「ボールの無いときの動き」=主に守備ではすばらしかったですが、「ボールがあるときの動き」=主にポゼッションからの攻撃はよくなかったということでしょうか。ジーコ日本代表でも同様ですが、稲本にはこのあたりの「ボールポゼッション時のプレイ」をもっと磨いてもらいたいですね。パスにせよ、ドリブルにせよ、シュートにせよどれも大事であると思いますが、ボールを奪われていけないところでのその対応と、ボールキープ力はプレミアのセントラルミッドフィルダーには不可欠な要素であると思います。ぜひともがんばってほしいです。

まぁ稲本のことはこれくらいにしておいて、ゴールを決めたドログバ。復活を感じさせる見事なゴールでした。この選手のいい時は、このシュートのような「コントロールした冷静な強いシュート」を打てるんですよね。この試合ではこのシュート以外でも、ポストプレイ&ウラに抜けるプレイの相手DFの前後のスペースをうまく突くプレイもキレているように感じました。たぶんバルサ戦も出ると思うのですが、この試合のようなすばらしいパフォーマンスを期待したいです。

■後半③:ロッベンが退場して、モウリーニョが派手なパフォーマンス!? 試合は荒れた展開へ!

って、わけでチェルシーが先制しますが、ここから試合はより激しいものになります。前半にもマケレレがハードタックルを食らわされ「あわや怪我」というシーンがあってお互いのチームが一触即発という感じであったのですが、後半62分にロッベンが「かにバサミ」タックルをかまして一発退場。試合はここから、さらに荒れた展開へと突入します。

 チェルシーのモウリーニョ監督がまた騒動を起こした。ウェストブロミッチ戦で後半17分にFWロッベンが退場になった判定に激怒し、放送禁止用語を連発。挑発するように主審に拍手を送り、FWドログバがファウルを受けると副審に飛びかかりそうになるなど大荒れだった。試合後も会見出席を拒否し、英メディアからは総スカンだった。http://www.nikkansports.com/ns/soccer/p-sc-tp0-060306-0018.html

って、わけでモウニーニョの行為も、この荒れた試合に一役買うわけですが(笑)、まぁ審判のフエがいい加減であったというか試合をコントロールできてなかった面も多分にあったと思います。上で触れているドログバが受けたファウルも明らかな「レイトタックル」であったわけですが、イエローカードすら出なかったのはちょっと気になりました。まぁ、個人的にはこういう「厳しいフィジカルの戦い」はプレミアリーグの売りの1つであると思っているのでこれはこれでOKだと思うのですが、さすがに怪我につながるようなプレイはいけないと思います。そういう危ないプレイに対しては審判がきちんとジャッジしないと、もう試合が試合でなくなってしまうと思うんですよね。確かに、こういう荒れた試合をコントロールするのは難しいとは思いますが、プレミアリーグの売りでもある「激しさ、ファイトするプレイ」を奨励するなら、もっと審判がきちんとしないといけないと思いました。まぁもちろん審判だけのせいではないですが。

■後半④:WBAが攻撃陣を増やして勝負に出る!? それに対してモウリーニョの策は!?

ロッベン退場で1人人数が多くなったWBAは後半71分に勝負に出ます。エリントンとカヌを投入して攻撃の人数を増やし「攻撃的」に出ます。さぁ、ここでモウリーニョはどう出るか? この試合の大きなポイントであったわけですが、その答えは…グジョンセンを下げてジェレミ投入。ギャラスをCB、パウロフェレイラを左SBに変えた「5バック」にして守備を固めて逃げ切るというものでした。


【後半73分:チェルシーのフォーメーション(5バック)】
               ○ギャラス      ○フート     ○テリー
    ○ジェレミ                                   ○フィレイラ

                ○マケレレ          ○エシエン

                         ○ジョーコール

                    ○ドログバ

この布陣、今期よく見せた「3バック」とは違います。ジェレミ&フェレイラはほとんど上がらないSBという感じで最終ラインを5枚した守備固めでした。「1点を守りきる」モウリーニョの狙いはそこであったと思うのですが、そういえばワールドサッカーダイジェストのCL「チェルシー対バルサ」戦の分析で、先取点取ったあとのチェルシーが守りに入らなかったのが敗因であると書かれていたのですが、モウリーニョがそのバルサ戦の反省を生かして「5バック」にしたのかは不明です(笑)。まぁ攻撃力あるバルサ相手には守備固めよりも攻撃的にいくのが効果的で、攻撃力のないWBA相手には守備固めがベストって判断であったのかもしれませんが、このモウリーニョの「守備固め策」が、意外な方向へ試合を傾けます。

■後半⑤:チェルシーが追加点! またしても前線からのプレッシングが決まったわけですが…

後半74分。またもや前線からのプレッシングが決まり、ゴールが生まれます。マケレレのすばらしいプレスからドログバがインターセプトしてジョーコールへパス。2対2の状況から、ジョーコールがゴール前へ上がったドログバへパスするもこれが通らず、再びジョーコールの元へ。今度はジョーコールが思いっきりシュートしたボールは相手DFの股間を抜けてゴール。なんと「5バック」にして守備を固めたチェルシーが追加点を上げます。派手なガッチポーズをかますベンチのモウリーニョ。本当にうれしかったと思いますよ。審判にフラストレーションがたまっていたことなどもあると思いますが、ロッベンが退場し5バックにして「守備」を固めて逃げ切りを図る苦しい展開であったわけで。守備を固めてカウンターというのは想定していたと思うのですが、まぁあまり追加点は期待してなかったと思うんで(笑)、このゴールは想定外の出来事で、そりゃうれしかったのではないかと思ったんですが、…まぁ、そんなことなく「したたかいに追加点を計算」していたのかもしれませんがね。

この2点目で勝負ありでした。最後にカヌにゴールを許しますが、慣れない5バックの乱れを突かれたというところでしょうか? ギャラスとフートの連携はダメダメでしたが、フートに5バックのセンターやらせるのはちょっと無理があった気も。まぁここ2試合のフートの守備は「まずまず」ではありましたがね。

■総括:プレミア特有の「激しいサッカー」を勝ち抜けるスタイルをモウリーニョが採用!? 対バルサ戦は!?

「そろそろ現実を受け入れる時期だ。チェルシーが順位を落とすことはないだろう。彼らは本当に失点しない。それが圧倒的な強さの秘密だよ。とにかく2位確保を目指して戦わなければならん」http://sports.livedoor.com/football/world/topics/detail?id=3441341

ついにファーガソンもこんなこと言ったみたいですが、この日の勝利でまた一歩プレミア制覇へ前進したのは間違いないでしょう。それよりも、この勝利は冒頭で書いたように「ケンカサッカー」で勝ったところが大きかったように思えました。良くも悪くもプレミアリーグにはこういうスタイルが存在し、そういう試合展開でも勝利できないと優勝は厳しいわけです。で、そういうプレミア特有の「激しいサッカー」を勝ち抜けるためのスタイルを、モウリーニョがチェルシーで採用しているってのも改めて感じた次第です。さぁ、次はCLバルセロナ戦。チェルシーがこの試合で見せたような「プレミアリーグ仕様」でいくのか、それとも「対バルセロナ戦」の秘策で臨むのかは注目したいところです。

チェルシーの選手団が空港出口に姿を現すと、待ち受けていた熱烈なバルササポーターは大ブーイングでアウェーの洗礼。中でも、これまで様々な言動でバルサを挑発してきたモウリーニョ監督には、よりいっそう大きな罵声を浴びせ、「通訳」コールで挑発した。(※モウリーニョ監督は以前バルサに通訳として雇われていたことがある)
そのモウリーニョ監督は、メディアの投げかける質問にも終始無言を貫き、足早にバスへと乗り込んだ。そしてバスの中では皮肉な笑みを浮かべながらバルササポーターに向かって拍手を送り、逆に挑発する姿を見せていた。http://sports.livedoor.com/football/world/topics/detail?id=3450915

まぁこの周囲の状況的には険悪で「WBA戦の再現」っぽい感じもしますが、バルサが「ケンカサッカー」を仕掛けてくるとは思えないわけで…。
人気blogランキングへ
週刊ブログランキング
↑読んでおもしろかった人はクリック願います。
稲本潤一 1979-2002

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0