CL決勝トーナメント「バルセロナ対チェルシー」第2戦雑感  4-2-3-1と完敗とプレミア王者

 チェルシーのジョゼ・モリーニョ監督はバルセロナに賛辞を贈った。
「デル・オルノが退場になった第1戦で、すべては決まっていたと思う。11対11ならわれわれが勝っていただろう。だが、バルセロナは素晴らしい試合をした。まったく異なる2チームの戦いだったが、われわれは普段通りのプレーができなかった。次に進むチームはバルセロナに決まった。準々決勝はテレビで観ることになるだろう」http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/eusoccer/headlines/20060308-00000012-spnavi-spo.html

完敗でしたね。ロナウジーニョのゴールはすばらしかったですし、バルセロナの守備もすばらしかったと思いますが、それよりもチェルシーが「攻めあぐねた試合」って解釈するのが適当なんでしょう。

■スタメン:ダフ、ロッベン、ジョーコールが揃い踏みの「4-2-3-1」。ワントップはドログバ

スタメンはバルセロナは第1戦と同様でしたが、チェルシーは変えてきました。FWをドログバにして、グジョンセンでなくてダフを投入。SBには予想通りギャラスが入りました。GKチェフ、DFフェレイラ、カルバーリョ、テリー、ギャラス、MFマケレレ、ランパード、2列目にジョーコール、ロッベン、ダフ、ワントップにドログバの「4-2-3-1」という布陣でした。



                   ○チェフ

     ○フェレイラ   ○カルバーリョ   ○テリー    ○ギャラス

            ○マケレレ   ○ランパード

    ○ジョーコール        ○ロッベン      ○ダフ

                   ○ドログバ

ドログバ&ギャラス起用は想像したとおりでしたが、まさか「4-2-3-1」にするとは思ってませんでした。まぁ優秀なウイングを抱えるチェルシーなわけで、その「ストロングポイント」に賭けたってところなんでしょうか??

■前半①:バルセロナの現実的な戦いにチェルシーが苦戦! カウンターよりもポゼッションを優先すべきであった!?

前半はお互い「慎重な戦いぶり」という感じがしました。バルセロナは第1戦でリードしているわけで、ここで無理して攻める必要はなく、攻撃は基本3トップの個人技に任せてチーム全体としては「チェルシー攻撃陣にスペースを与えない」ことに気をつけて戦っているように感じました。このあたりの「現実的な勝利を意識した試合運び」は今シーズンのバルセロナの強さの秘訣!? 昨シーズンのCLで対決したときのような「攻撃あるのみ」みたいな姿勢ではなく、「勝利を第一に考えた」大人の試合運び(?)にチェルシーは苦しむことになります。

「選手たちは大きな仕事をしてくれた。チェルシーという非常に危険なチームが相手だったが、真剣な姿勢で困難を克服した。最後まで集中力が途切れず、戦術面でのいくつかのミスを除けば完ぺきだった。うまく相手を抑えてくれたDF陣に感謝しているが、それだけではなく選手とサポーターの全員に礼を言わなければならない」http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/eusoccer/headlines/20060308-00000011-spnavi-spo.html

対するチェルシーは予想通り「ドログバへの放り込み」を主体に攻撃を仕掛けますが、バルセロナのMFエジミウソン、CBプジョル&マルケスがこの「放り込み」にきっちりと対応。チェルシーはうまく前線で基点が作れず、攻撃の形が作れません。ドログバがもう少しがんばってポストプレイができれば申し分なかったんでしょうが、まぁバルセロナのDF陣もドログバの高さは想定済み(?)だったんでしょう。

さていきなりですが、ここでこの試合のモウリーニョが考えたと思われる「チェルシーの攻撃の狙い」について考えてみたいと思います。ポイントは「4-2-3-1」という布陣にあったと思っているのですが、通常の「4-3-3」からこの「4-2-3-1」へ変えた理由は何であったのでしょうか? 考えられる理由はたぶん、カウンター攻撃で2列目のウイング3人のスピードを生かす攻撃をするってことだと思うのですが、結果的にはこの狙いは失敗だった気がしてます。その理由は以下の3つ。
①、バルセロナがカウンターをケアした守備をして、3人のスピードを生かせなかった。
②、カウンター攻撃がなくポゼッションからの攻撃ではウインガーよりもゲームメイカーを置いたほうが機能したと思ったから。
③、中盤がランパード&マケレレしかいないのでうまくポゼッション攻撃できず、単純な「ドログバの放り込み」攻撃からしか活路が見出せなかった。

 あくまで結果論ですが、個人的にはダフでなくてグジョンセンのがよかった気がしてます。グジョンセンMFの4-3-3の方が中盤でのパスの選択肢が増えて、ドログバのポストプレイも「放り込み」だけでなくグラウンダーのクサビのパスを駆使した形とかできたと思うんですがねぇ。ってわけで「3人ウイング」のスピードに賭けたモウリーニョ采配でしたが、その結果、チェルシーは中盤がうまく作れずDFラインと前線が真っ二つに分かれたような感じになってしまったように感じました。この試合、チェルシー得意のカウンターはほとんどできなかったのはモウリーニョ的には大誤算であったのではないでしょうか? ただ、一方でモウリーニョが「4-2-3-1」にした理由はバルサのメッシ対策であったような気もしているんですよね。今シーズン、ロッベンは確かに守備をがんばってますが、守備はダフのがうまいと思うんです。でダフをその「メッシ対策」で出場させたと考えると、なんとなく納得できるんですよね。ただダフを入れるとなると、その代わりに誰かをベンチに置かなければならない。しかもこの試合ではゴールを上げる必要があるわけで、そう考えると得点力のあるジョーコール&ロッベンは使いたい。で考えた結果がグジョンセンをベンチの「4-2-3-1」であったのではないかと。このあたりは推測ですが。

まさかモウリーニョもメッシが怪我で途中交代となることまでは考えてなかったでしょうが、前半25分にラーションと交代となります。この試合のメッシですが一度、左サイドでロナウジーニョとワンツーから抜け出してシュートというシーンを見せましたが、第1戦ほどのインパクトを残せずに交代となってしましました。もし怪我がなくてフル出場していたら活躍していたかもしれませんが、どうだったんでしょう?

■前半②:ロナウジーニョが基点となったバルサの攻撃!? ゴールよりもキープ力がポイントであった!?

で、この試合でバルセロナの攻撃の基点となっていたのが天才ロナウジーニョでした。その抜群のボールキープ力から前線左サイドで基点となり、そこからセンタリングやワンツー、SBジオとのコンビを駆使してチェルシーDF陣を崩していたのが印象的でした。なによりもすばらしかったのが、そのボールキープ力ですね。ロナウジーニョのところでボールが収まり数秒キープできることで、バルサのほかの選手が攻め上がれ、結果としてバルサの「ポゼッションサッカー」を可能にしていたように見えました。まぁリードしているバルサ的には、ゴールできなくてもボールを回して「ポゼッション」できればチェルシーに攻められることなく時間を稼げるわけで、そういう点から考えてもこの試合でのロナウジーニョの役割はすばらしかったと思う次第です。チェルシー的にはもしかしたら、ロナウジーニョよりもメッシがボールを持ってもっと攻撃を仕掛けてもらったほうがよかったかもしれません。ロナウジーニョよりもメッシからのが「インターセプト」しやすかったようにも見えましたし、そうできれば狙いの「カウンター」ももっとできたような気もするのですが、まぁわかりません。そもそもこの試合、バルサはメッシにボールを集めてないように見えましたからね。最初っから「守備的にサイドのスペースを消すこと」&「ロナウジーニョのキープ力」を駆使して時間をうまく使うことを主眼にして戦っていたような気もするのですが、そのあたりどうなんでしょう?

■後半:ロナウジーニョのゴールよりも、2点取れなかったのがすべて? ミドルシュートが打てなかったのは必然!?

後半。58分にクレスポとグジョンセンを投入します。流れを変える必要があったと思うので納得の交代ですが、ドログバ&クレスポの2トップも見たかったと個人的には思いました。交代したクレスポはなかなかの動きで、右サイドのジョーコールからのアーリークロスにあわやゴールというシーンなども演出してましたが、まぁこの試合ゴールは遠かったです。で、迎えた後半33分にロナウジーニョにゴールを決められてしまいます。ロナウジーニョのプレイがすばらしかったと思いましたが、こういうドリブル&シュートというプレイをチェルシーが逆にもっとすべきであったと思いました。この試合ランパードやジョーコールがミドルシュートを打つシーンがほとんど見れなかったわけですが、ワントップのチェルシーがゴールを量産するためには、2列目&3列目から攻めあがってミドルシュートというシーンをもっと演出しなければならなかったと思うんですよね。まぁ何度も言うようにバルセロナの守備がよかったことは確かですが、それだけでなくチェルシーが中盤を作れなかった、もっと言うと中盤でパスを回して前線で基点を作って「ランパードが攻めあがれるシーンを演出できなかった」のが最大の敗因であったと思う次第です。正直、バルサに1点取られても2点取れればとりあえずはOKだったわけで、極論で言えばロナウジーニョのゴール自体は「チェルシーの戦い方」自体にはあまり関係なかった。1失点までは想定の範囲内、それよりも「2点取ること」が大命題であったわけで。まぁ失点しないのに越したことはないですがね。

最後にフートを投入しパワープレイに出たモウリ-ニョですが、それが実ったのは終了間際。PKで1点返すことに成功します。あと1点返せば延長という状況までこぎつけますが、ここで万事休す。バルセロナがトータルスコア3-2で勝利となりました。

■総括:研究されるのは必然であった今シーズン。その打開策の遅れとプレミア仕様という関係!?

まずチェルシーの最後のPKゴールですが、まぁPKの判定は誤審でしたね。ある意味この戦いを象徴したような誤審であったと思いました。まさに誤審に始まり、誤審に終わったとでも言いますか。まぁそういう誤審を含めてサッカーであるとは思いますが、チェルシーにはそういう面では運がなかったような気もする次第です。もちろん、審判だけのせいでなくバルセロナのほうがすばらしいサッカーをした結果の勝利であったとは思いましたが、今シーズンのチェルシーは個人的に思うところでは「ポゼッションからの攻撃」に課題を抱えており、それが結局、完成せずにというか修正できずにここまできてしまったのが敗因であったと思う次第です。バルセロナはチェルシーをよく研究してました。その対策もバッチリでした。大人の戦い方もしてました。その一方でチェルシー的には、そういう相手の対策を打ち破る「新たな策」を最後まで見出せなかったってことがこの敗戦につながった気がする次第です。リーグ戦でも何試合か「チェルシー対策」に苦しんだ試合がありましたが、その時は「超攻撃的3バック」というオプションで打ち破ることに成功してきました。ただ、その「3バック」オプションもバルセロナという強豪相手には使いませんでした。たぶんリスクが大きすぎたってことなんでしょうが、今のチェルシー的には相手に引かれた場合のオプションはその「リスキーな戦術」しか持ち合わせていなかったってことです。

今シーズン補強したエシエンもショーンライトフィリップスもこの試合には出ませんでした。特にエシエンは出場停止であったわけですが、結局、この「エシエン出場停止」ってのがチェルシーの今シーズンのCLを象徴していたような気もします。先日のWBA戦でも語ったようにプレミアリーグでは「フィジカル重視」という傾向があります。ボルトンに移籍した中田英が自身のHPで「あまりファウルを取られない」と言っていたようにプレミアリーグの審判のフエは、他のリーグなどと比べて少しばかりフィジカルの接触について特殊な基準がある気がするのは中田英や私だけではないと思うわけです。エシエンが出場停止となり、第1戦でデルオルノが退場となり、第2戦ではドログバのポストプレイなどで何度も試合がストップしてました。まぁこれが「世界基準の笛」なんでしょうが、そのあたりの感覚の違いが今シーズンのチェルシーにマイナスに働いてしまったところもあるのではないでしょうか? 良くも悪くも今のチェルシーのスタイルはプレミアで勝つための最適な仕様であり、それがCLでの戦いにうまく還元されなかったところもあるのかもしれない。まぁ負け惜しみですが(笑)、このあたりの「チェルシーの仕様」についてモウリーニョが今どう考えて、来期はどうするのでしょうか?? エシエンの獲得は間違いなく「プレミア仕様」を助長するものであり、それは見事にはまったところもあったわけですがね。
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