CL準決勝「アーセナル対ビジャレアル」第2戦  「6日間」の結果と見えざる手!

■「この6日間のフィジカル管理と審判のジャッジで今期が決まる」と言った私ですが…

「この6日間で今期が決まる」。まさにヴェンベルが言う通りなのですが、もっと厳密にいえば「この6日間のフィジカル管理と審判のジャッジで今期が決まる」というのは言い過ぎでしょうか?http://doroguba.at.webry.info/200604/article_19.html

第1戦を終えたときに、このように書いたのですが6日後の結果が出ました。先週末のプレミアリーグのスパーズ戦は不本意ながらドロー、そして今朝行われたCL第2戦ではビジャレアルに攻められながらも引き分けて、見事にCLファイナル進出! この2戦の結果はベンゲル的にはどう評価しているのでしょう? 満足? 不満足? ってことで、今朝のビジャレアル戦を中心にアーセナルの「6日間」を振り返って見たいと思います。

まずはスパーズ戦についてですが…すみません、試合は見ていません結果は1対1のドローで終わったわけですが、スパーズのゴールに対してこのようなコメントが出ていたのが興味ぶかったりします。

現地時間22日に行なわれたイングランド・プレミアリーグで、1対1と引き分けたアーセナルとトテナム。アーセナルのジウベルトとエブエが倒れているにもかかわらず相手がプレイを続け、そのまま先制点を挙げたことに対し、アルセーヌ・ヴェンゲル監督が怒りのコメントを行なった。ロイター通信が報じている。
 ベンゲル監督はイングランドの複数のメディアに対し、「恥ずかしいことだ。(トテナムの)キャリックは、ふたりが倒れているのが目に入り、一瞬ためらった。それでも、トテナムはベンチからはそれが見えなかったと言っている。こんな嘘をつかれるとは、とても残念だ」「(プレイを中断してくれれば)この国ではきちんと相手にボールを返すのに」などと怒りのコメント。
 対するヨル監督は「得点シーンに問題はない。ベンゲルはひどく興奮していたがね。でも、あのゴールは入るべくして入ったもの。我々は前半3、4度の決定機があったからね。アーセナルのファンだってそれは認めるだろう」と意に介せず。また「私の位置からはよく見えなかったが、うちの選手たちは『ジウベルトとエブエは一度起き上がったけど、ダヴィッツがボールを持ったのを見て、もう一度倒れた』と言っている」と述べ、ベンゲル監督の非難をかわした。http://sports.yahoo.co.jp/hl?c=worldsoccer&a=20060423-00000085-ism-spo

このシーン見てないので何とも言えないところがありますが、ただ言えることは「主審が笛を吹くまでプレイを止めない」というのはサッカー選手にとっては基本であるということ。もちろん暗黙の了解で「プレイを切る」こともあるわけで、ベンゲルはその点について文句を言っているのでしょうが、たとえ選手が倒れていても審判の笛が吹かれてない状況でスパーズの選手がプレイしたことは、ルール上は間違ったことをしていないと思うわけですただ、もしもこのシーンで審判が笛を吹いて「試合を止めて」いたら…? こういう状況で試合を「止める」「止めない」の判断は審判の裁量によるわけですが、「止めない」判断を下されたアーセナルはある意味「審判のジャッジ」に泣かされたと言えるのかもしれません。な~んて「この6日間のフィジカル管理と審判のジャッジで今期が決まる」に強引にこじつけているわけですが、ついでにもう1つの「フィジカル管理」についてもこじつけて考えてみますと…。そうです。この試合ベンゲルはなんとアンリ、セスク、エブエをスタメンから外して臨んでいたんですよね。それは、たぶんCL準決勝セカンドレグのビジャレアル戦を考えてのものであったと思うんですが、この「フィジカル管理」を考えての選手起用法と、スパーズのゴールに影響を及ぼした「主審のジャッジ」に泣かされて勝ち点3が必要であったスパーズ戦をものに出来なかったと言うのは、言い過ぎでしょうか?

そして迎えたCL第2戦のビジャレアル戦。アーセナルは守備の要センデロスを怪我で欠くものの、ほぼベストメンバーで臨むことになります。

■ビジャレアル戦のベンゲルの戦術プランは!? 木村氏の分析と比較してみると…

ボール支配はアーセナルの出方にもよる。この試合の終盤のように引いて待ってくるようだとビジャレアルの支配率は上がるだろうが、守備陣を崩すための有効な支配ができるかどうかは疑問だ。
 このやり方をベンゲルが選択した場合、アーセナルは11人全員が自陣に引きこもるコンパクトなゾーンディフェンスを敷いてくる。マンツーマンではないので敵にフリースペースを創らせない。ゾーンの短所はマークの受け渡しミスが起きることだが、なにせ狭いスペースに人数をかけて守るので、大穴は開かない。ボール周辺の人の密度が高いから、ミスはただちに修正可能なのだ。しかも、引きこもりっぱなしではなくトラップミス、パスミスに乗じて高速カウンターをかけてくる。ビジャレアルにとって失点は決勝進出断念を意味するため、極端な前掛かりになることもできない。
 私はベンゲルのプランが最初から引きっぱなしということはないと思う。若いチームだけに「引いて行こう」では精神的に受け身になってしまいかねないからだ。時間帯によって「前に出る」「引く」を入れ替えてくるのではないか。前半、後半とも最初の20分間が前に出る時間帯、続く20分間が引いてくる時間帯、ラストの5分間が再び前に出る時間帯だ。あまりに機械的なプランニングに思えるかもしれないが、アーセナルのすべてのベースである体力の消費と回復の波を考えると、自然とこういうペース配分にならざるを得ない。レアル・マドリー戦、ユベントス戦、そしてこの日のビジャレアル戦と、ほぼ同じ流れで戦ってきている。http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/eusoccer/0506/spain/column/200604/at00008795.html

おなじみ木村さんのコラムから。「私はベンゲルのプランが最初から引きっぱなしということはないと思う」と木村氏は分析してましたが、その予想は外れてしまったというところでしょうか? この試合のアーセナルの戦い方を木村氏の言葉を借りて言えば、「自陣に引きこもるコンパクトなゾーンディフェンス」?CL仕様のアーセナルについてはこのブログでも何度か書かせてもらってますが、この試合でも同様に「4-5-1」から「引いたゾーンディフェンス」からの「カウンター」狙いであったように見えました。で、その結果、ビジャレアルは第1戦と違って「ポゼッション」が可能になり、リケルメを中心とした攻撃で攻めてくることになります。

「若い選手たちの頑張りはとてもうれしいし、誇らしく思っている。だが、正直に言うと、試合内容には少々失望した。相手に押し込まれてしまった。おそらく心理的な面で少し疲れていたのだと思う」http://sports.yahoo.co.jp/hl?c=worldsoccer&a=20060426-00000018-spnavi-spo

失望したとベンゲルは言っているみたいですが、イメージ的にはもう少し「攻撃したかった?」もしくは「攻撃的なプレッシングをしたかった?」というところでしょうか? 第一戦でみせたような「鬼プレッシング」は影を潜めてましたが、これはベンゲルが意図したところではなく、単に「疲労」からそうなっていただけということなんでしょうか。

■アーセナルは守備一辺倒でしたので、ここからはビジャレアルの攻撃について、ビジャレアル視点で!

というアーセナルの守備を受けて、第1戦よりは確実に攻撃が「機能」したビジャレアル。ここからはビジェアレアル視点で試合を追っていきます。

この日のビジャレアルは、お馴染みリケルメを中心としたパスワークから「フォルランへのクサビパス&ポストプレイ」でバイタルエリアで基点を作って、中央突破&サイドバックの攻撃参加を絡めた「サイドからの崩し」で攻めてました。まず前半17分。リケルメが左サイドを突破して、中央へグラウンダーのセンタリング。このセンタリングにゴール前に上がっていた右MFセナがGKの前で受けて、後方から上がってきた右MFのソリンにバックパス。そのボールをソリンがダイレクトでシュートを打つもGKの正面。惜しくもゴールならずというシーンがありました。



                      ドイツ正GK

      MFリケルメ(センタリング     MFセナ(ポスト)
        ↑
                  MFソリン(シュート)


このプレイと、ビジャレアルのよさが出ていたと思うんですが「MFリケルメ」がセンタリング上げて、「MFセナ」が繋いで、「MFソリン」がシュートという、演出者がすべて「MF」というのがポイントと言えるでしょうか? 後方からのポジションチェンジによる攻撃参加で崩しているんですが、この攻撃参加の「流れ」というか「ポジションチェンジからの崩し方」が非常にスムーズでうまいんですよ。このシーンでもアーセナルの「左サイドの後ろのスペース」をうまく使っていたんですが、FWフォルラン&ギジェルモ・フランコが動いて作ったスペースを、MFがうまく活用していたように見えました。簡単にいえば「FWとMFの連携がよかった、スペースの活用がうまかった」ということなんでしょうが、これって簡単に見えて実際は難しいプレイであると思ってます。何が難しいかって、MFの選手の「リスクを冒して攻撃参加する意識」がそうだと思うんですよね。上のシーンではMFセナがゴール前まで上がっているわけですが、もしかりにリケルメがとんでもないミスしてしまいアーセナルにカウンター食らったら、それこそ一大ピンチなわけですよ。それ(カウンター)が頭によぎって「ビビって」ゴール前に上がれなかったり、または上がるタイミングが悪かったりポジションが悪かったりして「ゴール前にいても使われなかったり」、動くのが面倒くさくて(疲れていて?)上がれなかったりするMFの選手が、この世の中に五万といるわけです。もちろん誰でも「闇雲に攻め上がる」なんてことは出来ないわけで、チーム戦術として「攻めたあとの守備をカバーする人」などが決まっているから攻め上がれるという要素あるとは思いますが、まぁそれがあっても「リスクを冒せる意識」がないとできないプレイであるのは確かでしょう。で、ビジャレアルにはそれができる選手がいるということです。あっ、もちろんアーセナルにも、それができる選手が「たくさんいる」わけですがね。

話が脱線しました。さらに前半40分にこんなプレイがありました。今度は右サイド。サイドで基点を作り、サイドバックのハビベンタがオーバーラップからセンタリング。このセンタリングにFWギジェルモ・フランコがニアで、頭でドンピシャで合わせますが、GKレーマンがファインセーブシュートが少しずれていたらゴールという、ビジャレアルにとっては非常に惜しいシーンでした。

このシュートを放ったギジェルモ・フランコという選手。ホセマリに変わって起用されたメキシコ人で、この試合で初めて見たんですが(たぶん)、決定力がもう少しほしかったというのが正直なところでしょうか? スカパー解説の川勝氏も言ってましたが、最初の絶好のシュートシーンで「枠を外してしまった」のが、この試合のビジャレアルの「決定力不足」を象徴していたような気もします。たぶんペジェグリーニ監督は彼の「高さ」を買って先発に抜擢したんでしょうが、その狙いは「半分当たり」「半分外れ」という感じでしょうか。

後半、そのフランコの頭を生かした攻撃からビジャレアルが2度チャンスを掴みます。後半48分にハビベンタのアーリークロス、後半52分にはMFセナからのアーリークロスにそれぞれ合わせてヘディングシュートをするのですが、DFに競り勝っていたもののゴールを割ることは出来ませんでした。DFに競り勝てる「ヘディング力」はありそれはペジェグリーニの起用に応えるものでしたが、その「精度のなさ&決定力なさ」は期待に背くものであったという感じか? 怪我のセンデロスに変わってソルキャンベルが起用されていたんですが、センデロスに比べて「高さに強くない」という感じに見えたのは、残念ながらキャンベルが衰えたってことなんでしょうかね。続く64分。ゴール前で、今度は「ポストプレイ」でフランコが頭で競り勝つのですが、そのボールを受けた絶好のシュートtyナスにファルランがなんとシュートミス! こういう「ミス」って連動するものなんですよね。まぁレーマンのポジショニングもよかったと思いますが、フォルランのシュートミスと言っていいでしょう。

この後、選手交代&疲れによって「中盤がなくなった」ビジャレアルが攻められなくなるんですが、迎えた後半終了間際にドラマが待ってましたソリンの右サイドからのセンタリングにFWホセマリとDFクリシが競るんですが、ここでクリシが、なんとファウルしてPK。後半終了間際に、ビジャレアルが絶好の同点のチャンスを掴みます。PKキッカーはリケルメで、ゴールを守るはレーマン。言わずと知れた「アルゼンチン代表のエース対ドイツ代表の守護神」対決であったわけですが、結果はご存知の通りでした。

■「6日間のフィジカル管理と審判のジャッジ」から言えば、アーセナルの今期は終了であったと思うわけですが…

冒頭で「この6日間のフィジカル管理と審判のジャッジで今期が決まる」と書きましたが、この最後の「PK判定」は非常に微妙なものであったと思ってます。審判によって「ファウルを取ったり」「取らなかったりする」類のものであったと。で、PK判定は間違いなく「ビジャレアルにとって有利」であったわけです。そして普通の「流れ」ならば、リケルメがこのPKをなんなく決めて同点にしていたと。そうなれば「アーセナルの今期の行方」がわからなくなったわけですし、試合の「流れ」的には同点にしたビジャレアルが試合をモノにしていた可能性が大であったと思うわけです。その「絶体絶命のピンチ」を救ったレーマンのPKを止めたパフォーマンスは、ほんとうにすばらしかったと思いました。昨年までのレーマン(笑)なら、間違いなく止められなかったと思うのですが、今のレーマンは昨年とは別の人が「入っている」と思えるくらいのパフォーマンスを見せているわけで。この「神がかったパフォーマンス」がアーセナルを決勝の舞台へ導いたというのは、誰もが異論のしないところであると思う次第です。

「6日間のフィジカル管理と審判のジャッジ」という私的なポイントから言えば、この試合のアーセナルは明らかに「負け試合」でした。フィジカルの影響からか、ほとんどカウンター-を繰り出せずにビジャレアルに一方的に攻められて、最後に微妙なファウルをPK判定されたアーセナル。「6日間のフィジカル管理」は失敗に終わり、「審判のジャッジ」にも見放されたと言っても過言でないでしょう。ですが、それでも負けなかった。決勝トーナメントへ進出したのは、単に私があげた「6日間のフィジカル管理と審判のジャッジ」がアーセナルの運命を左右するようなポイントで無かったからでしょうか? まぁそうかもしれませんが、私的には「負け試合」をひっくり返した「運」というか「何か」がアーセナルにある気がしてならないわけですよ。そう、昨シーズンのリバプール同様に。

思えば昨シーズン、リバプールにビックイヤーをもたらしたのは奇跡の3ゴールであり、PK戦での「デュデクのパフォーマンス」でした。決勝戦と準決勝という違いがあるにせよ、リバプールとアーセナルが何か被って見えてしまうんですよね。デュデクにせよ、レーマンにせよ、それまではどちらかというと「(笑)系GK」であったというのも、妙な共通点であったりするわけで。というわけで、CL決勝へ駒を進めたアーセナルですが、昨年のリバプール同様に「奇跡」を起すのか注目ですね。

■ビジャレアルについて;今シーズンはすばらしい結果を出しました。よくやりました!

最後にビジャレアルについて。この試合の結果は残念でしたが、今期はすばらしい結果を残せたと言えると思います。思えば今期のビジャレアルはCL予備選のエバートン戦で見たのが始まりでしたが、まさかここまで残るとは夢にも思ってませんでしたよ。その時に書いたものがこれです。

攻撃について。この試合を見た限りですが、前に見た時以上に「リケルメ中心」のいいポゼッションサッカーをしていると思いました。アルゼンチン代表でもよくパートナーであるソリンがいるというのもリケルメにとって大きいと思った次第です。ビジャレアルの攻撃はこのリケルメ&ソリンを中心とした中盤でのパス回しが基本だと思いました、スペインのチームによくある「4-2-3-1システム」といったウイングを置いてないところがポイントのような気もしました。2年目に見た時はウイングシステムだったのですが、エバートン戦を見る限りは、それをやめて「自由にポジションチェンジ」してパスを駆使して崩す「ポゼッションサッカー」のがリケルメが生きるような気がしました。そんな自由なポジションチェンジが威力を発揮したのが、決勝点となった2点目のゴールシーンでした。中盤での華麗なパス回しから左サイドにいたはずのソリンが右サイドにポジションチェンジしてフリーでボールを受けてセンタリング! そのボールに中盤から上がってきたホシコがダイビングヘッドでゴールという感じだったのですが、ソリンの大胆なポジションチェンジ&センタリングがすべてでした。またフォルランとフィゲロアの2トップもリケルメ&ソリンと合っているように感じました。特にフィゲロアは、この試合の1点目を取ったわけですが、そのシュートまでの動き&シュートはすばらしかったと思いました。コンフェデ杯でアルゼンチン代表としてはイマイチでしたが、この日のようなプレイができればレギュラーになれるかもしれませんね。ちなみにフォルランはもとマンチェスターユナイテッドの選手であったのは有名ですが、このフィゲロアも1年ですがバーミンガムシティにいたんですよね。って確か、フィゲロアはバーミンガムで生活や言葉の違いで悩んでいたかで、ほとんど試合に出れずに去ってしまったように記憶しているのですが、エバートン戦の活躍でイングランドの地で見事に汚名返上したと言う感じなのかもしれませんね。http://doroguba.at.webry.info/200508/article_7.html

上では「リケルメが生きるポゼッションサッカー」への変更を良い点としてあげたんですが、約1年経ったこのアーセナル戦では逆にドリブルで崩せる「ウインガータイプの選手」が1人いればおもしろかったのになぁって思いました。まぁそういう「ウインガー」と「リケルメ」を同居させるのは難しい気もしますが、ドリブルで局面を切り崩せる選手がいれば、アーセナルのDFをもっと慌てさせることができたのではなかったかと思うわけですよ。まぁ今のビジャレアルは良くも悪くも「リケルメのチーム」なので、ウイングなしでOKなのかもしれませんが。そういえば、この予備選ではフィゲロアがいたんですよね。アルゼンチンへ帰ったんでしたっけ? 今何しているんだろう? この試合は見たのでしょうか?
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