「ジーコ セレソンに自由を」を読んで ジーコの理想とする代表チームモデルとあの名将の関係

■増島みどりさん著「ジーコ セレソンに自由を」(講談社刊)を読んで…

増島みどりさんが書かれた「ジーコ セレソンに自由を」(講談社刊)を読みました。

おもしろかったです。

「監督の意思に従うためのサッカーなどしてはならない」「相手の分析に勝つのはセレソンが自分で考えた創造的プレーだ」などなど、ジーコのサッカー哲学みたいなものがぎっしりと詰まっているすばらしい本なので、ぜひ読んでもらいたいのですが、ここではその中からちょっと気になった箇所を紹介させていただきます。

■ジーコが理想として掲げる代表チームとは…!?

気になったところ。それは、ジーコが兄エドゥの対談しているところで出てくるんですが、ジーコは「98年フランスワールドカップでのオランダ代表の組織が理想」みたいなことを語っていることろなんです。その時のオランダ代表はFW部門、MF部門、DF部門という感じで、それぞれの箇所に「専門コーチ」がいて、それを統括する形で監督という存在がいて、そのような組織=監督のスタンスが理想だと言っているんですよね。で、その時のオランダ代表の監督が誰かと言いますと…。そうです名将フース・ヒディンク。現オーストラリア代表の監督である、あのヒディンクです。ヒディンクが監督の頃のオランダ代表チームの構造が理想って言っているんです。まさか、ジーコの口から「ヒディンク」という言葉、「オランダ代表」と言う言葉がでてくるとは思ってなかったんで、ちょっと驚きでした。まぁ、そのインタビューを受けた当時は、まさかドイツW杯でヒディンクが監督するチームと同じグループリーグに入るなんて思ってなかったんでしょうが、ちょろっと因縁みたいなものを感じてしまいました。

■で、ヒディンクについてなわけですが…

さて、このジーコの理想と言う「98年のオランダ代表の組織」ですが、ヒディンクは同じような「組織体型」を韓国代表にも持ち込んでいたのはご存知でしたでしょうか? 私は当時の韓国代表について興味なかったんで知らなかったんですが、ネットで調べていたら、こんなの出てきました。

つまり、ヒディンク監督のもとでスタートした新生・韓国代表は、監督1名、コーチ3名、GKコーチ1名、テクニカルコーディネーター1名、技術諮問1名の7名のスタッフで構成されることになったわけだ。これに試合分析などを担当する技術委員会スタッフを加えると、その数は10名を超える。一部スポーツ紙は「ヒディンク師団」と呼んでいるが、まさにかつてないほどの大所帯である。http://soccer.cplaza.ne.jp/archives/korea/n1-66/ko65.html

これって、まさに「98年のオランダ代表」と同じ形? で、このヒディンク率いる韓国代表が98年のオランダ代表に続いて、ベスト4という結果を出したのは言うまでもないところなわけですが(審判の判定が怪しいところも多々ありましたが)、その秘訣はこのジーコも認める「大所帯の組織スタッフ」の存在なのかもしれません。で、気になるのは今回のヒディンク率いるオーストラリア代表の「スタッフ」「組織」なわけですが、やはり「大所帯」なんでしょうかね? ニーケンスがアシスタントコーチとなったニュースは聞いているのですが…!?!

■で、ヒディンク監督がオーストラリア代表でどんなサッカーするか!?についてなわけですが…

ってわけで、ジーコもある種その手腕を認める(?)ヒディンク監督なんですが、ジーコ日本代表との試合ではどのような戦い方をしてくるんでしょうか? まぁ蓋を開けてみないとわからないところですが、こちらのコラムにそのヒント的なことが書かれていたりします。

1級の講習を受けて、林氏が驚いたことがある。それはオランダ人の「戦術狂い」ぶりだった。戦術の教本は、フォーメーションの章だけで厚さ5cmになっていた。オランダ人は3大システムを、4―3―3、4―4―2、3―5―2と定義する。このそれぞれを、さらに細かく分ける。DFはマンツーマンなのか、ひとりリベロが余るのか、余るならDFラインの前か後ろか。MFが3人なら、中盤は三角形か逆三角形か──。とにかく細分化する。 次にやるのは、そのシステム同士を戦わせることだ。4―3―3と4―4―2が戦ったら、どこが長所でどこが短所になるか。こうマークをつり出したら、こう飛び出すべきじゃないか……。授業ではそんな議論が延々と続く。システム対システムの組み合わせと、その長所と短所が頭に叩き込まれているのが、一流のオランダ人監督なのだ。林氏が続ける。 「ヒディンクの采配がマジックと言われますが、その基本はこの講習にあります。彼は試合の流れで、相手の弱点を見つけると、そこを突くのに最も効果的なシステムへ変更する。全パターンが頭に入っているからこそ、突然のシステム変更ができるんです」http://number.goo.ne.jp/2006/e/column/000207/

「戦術狂い」「戦術マニア」? すべてのオランダ人がそうなのかどうかわかりませんが、ヒディンクのすごさは相手の欠点を的確に突くところでしょうか。上では「試合の流れで相手の弱点を突く効果的なシステムに変更できる」と書いてますが、そういえばウルグアイとのプレイオフでもキューエルを前半に途中交代で起用したんですよねぇ。ってわけで、ヒディンクはジーコ日本代表相手にも同様な戦い方=突然のシステム変更で挑んでくる可能性は大なんですが、それに対してジーコがどう対処するのか注目かもしれません。

まぁ、ただ、ジーコは上で紹介した増島さんの本の中で、「相手の分析に勝つのはセレソンが自分で考えた創造的プレー」という主旨の発言をしているんですよね。なので、ヒディンクの策に対して、あえて「無策」で挑むというか、日本代表の選手が「創造的なプレイをしやすいシステム」で迎え撃つことになるのかもしれません。それは「3バック」だろうが「4バック」だろうが関係ない、ジーコが日本代表に植えつけた「自由という名の創造的なサッカー」!?

ジーコ日本代表の「創造性」VSヒディンク・オーストラリア代表の「分析力」

このような対決となったら非常におもしろいと思いませんか? 楽しみではありませんか? ワクワクしませんか? 絶対に見逃せないと思いませんか? え、日本代表の創造性じゃヒディンクマジックには勝てない!? ヒディンクの分析の前では手も足も出ない!? 確かにそうなる可能性もあるかもしれませんが、ジーコ日本代表なら「何かやってくれる」気がしませんか? 私はジーコの本とか読むとそう思いますし、それはこのコメントなどからも感じるんですよね。

ブラジルの強さは監督が誰であろうと自分で判断するという強さです。私はその気質を日本代表に取り入れたかったのです。自分の大まかなプランを選手たちに渡して「あとは自分たちでやりなさい」と。自分たちでやらなければなりません。私の顔色を伺わずにね。今ではチームにその強さが浸透してきて選手たちがどんどん動いています。このことはとても嬉しいことなのです。それと、ブラジル人はミスを恐れないんですよ。
個人技で状況を打開する?
その通りです。それにミスしたからってどうってことはない。
日本はまだまだやれるはずです。技術のある選手がそろっているんだから。まだミスに対する恐れや萎縮があります。しかし、もちろん時間はかかりましたけれど、今では大体おおまかなプランに基づいて選手たちは自分たちでこなしていけるようになっています。
http://saposta.cocolog-nifty.com/zico/2006/05/interview03.html

ちなみに、冒頭に紹介した増島さんの本「ジーコ セレソンに自由を」内でジーコはこのようなことを言ってます。チッタとジュニオール氏をスタッフに入れたのは、対戦相手の指揮官の試合中の采配を分析するためであると。
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