親善試合「クロアチア代表対オーストリア代表」雑感  2トップの連携とリアクションサッカー 

■親善試合の情報は役に立たないかもしれませんが…、クロアチア代表を見て


ジーコ監督も「親善試合(の情報)は役に立たない。手の内を隠すこともある。確実な情報は大会が始まってからだ」と同じ意見。クロアチアの快勝劇にもどこ吹く風だった。http://sports.yahoo.co.jp/hl?c=japansoccer&a=20060525-00000070-nks-spo

ジーコが言うとおり「役に立たない情報」の可能性大ですが、クロアチア対オーストリア戦を見ました。クロアチアの4ゴールはすばらしかったですし強かったと思いましたが、ニュースなどで騒がれているほどすごくは感じなかったというのが正直なところ。まぁ、クロアチア代表の「穴」を探して観戦していたんでそう感じただけかもしれませんし、4点も取った「決定力」は言うまでもなくすごいのですが、戦い方次第では十分に付け入る隙あり=勝てると思えたんですよね。

で、それはどういう戦い方かと言いますと…、ズバリ「引いて守ってカウンター」という戦術! 要はこの試合でのオーストリア代表と同じ戦い方をすれば、クロアチアを苦しめることができるかもって思えたんですよね。えっ、オーストリア代表は4点も取られているじゃないかって!? 確かにそうなんですが、まぁそれはクロアチアの攻撃が良かったということ以上に、オーストリアの個の守備の出来が悪かったのが影響している気がするんです。もっと厳しく守備していれば、いい試合になったと思えたんですよね。もちろんクラスニッチの出来がすばらしかったというのもあると思いますがね。ってことで、ゴールシーンを中心にクロアチア代表の攻撃について思ったことを書いてみたいと思います。

■システム:クロアチアはおなじみ「3-5-2」でスタート!

まずシステム&フォーメーションですが、前半はお馴染みの「3-5-2」でした。図にするとこんな感じ? ボランチと2トップの位置は適当です(ここ試合中はかなり流動的のように見えました)。



【クロアチア代表スタメン:3-5-2】
            ○CB:シミッチ    ○CB:R・コバチ    ○CB:トマス

                  ○MF:トゥドール   ○MF:N・コバチ 

      ○WB:スルナ                       ○WBバビッチ
                        ○トップ下:クラニチャル
             
                ○FW:クラスニッチ    ○FW:プルショ

で、このシステムから前半よく見られた攻撃の形は、ボランチから左サイドのプルショの斜め前方のスペースへのロングフィードというかスルーパスで「サイド」で基点を作って、センタリングを入れてゴールを狙うというものでした。

■クロアチア1点目:プルショが左に流れて、クラスニッチが決める! 2トップの連携は要注意なわけですが

【クロアチア1点目】先制点は、これの変形!? ボランチでなくて左WBのバビッチから「縦」にスルーパスが出され、プルショがうまくオフザボールの動きで「左サイド」を突破。ダイレクトでセンタリングを入れて、それをクラスニッチがゴール前で受けてシュートして決めてます。



                                    ○バビッチ
                                    ↓
                                    ↓
   ●SB     (クラスニッチ)  (プルショ)  ●SB   ↓
              ↓                     ↓
          ○クラスニッチ →●CB     →→●CB ○プルショ 
                           ※左サイドのスペースを突いてセンタリング

下手くそな図にするとこんな感じです。プルショの「オフザボールの動き」と「センタリング」は見事でしたし、クナスニッチの「ゴール前でのトラップ」「体の使い方」「シュート」も見事だったんですが、オーストリア代表の守備側から見ると右SBのポジショニングは曖昧でしたし、プルショの対応についたCBはマークが緩かったですし、もう1人のCBはクラスニッチに簡単にシュートをさせすぎであったように見えました。クロアチアのFW2人は確かにすばらしかったですが、それに対するDFの対応がなっちゃ無かったなぁと。所詮は親善試合と言えばそれまでですが、「2トップの1人がサイドに流れてセンタリングして、もう1人のFWがゴール」という攻撃の形自体は単純なものであり、もっとオーストリアのDFが厳しくマークしてうまく対処していればゴールにならなかったように見えたんですよね。まぁ単純な「形」でゴールしてしまうクロアチアの2トップが素晴らしいと言えば確かにそうなんですが、オーストラリア代表のDFを崩したというよりも「対応が甘かったんでゴールできた」という風に見えたと言いたいわけです。そう見えたのは私だけかもしれませんが。

■クロアチア2点目:またもや2トップの連携からですが…クラスニッチはすばらしかった!

【クロアチア2点目】これも基本的には「2トップの連携」で崩してのゴールでした。クラスニッチが「下がって引いて」ボールを受けて、バイタルエリアをうまく使い、プルショとワンツーを決めて中央突破。そのままフィジカルを生かしてオーストリアDFを押しのけて、中央突破してゴールというものでした。クラスニッチの「オフザボール」の動きと「フィジカルを生かした突破」がすばらしかったんですが、ここでもやはりオーストリア代表のDFの甘さが目につきました。W杯予選のイングランドと戦っていた時のオーストリアはもっと厳しい守備していたように見えたんですが、まぁ親善試合はこんなものかもしれません。というわけで、この試合で2ゴール決めたクラスニッチの出来は間違いなくすばらしかったとは思うんですが、それは本人プレイが良かったのはもちろん、対戦相手のオーストリアのDFが「厳しくなかった」からという面もあったと個人的には思ってます。もちろん、どんな相手でもゴールすることは素晴らしいですし、それは評価すべきかと思います。現にキリンカップで我が日本代表は1点しか取れなかったわけですから(笑)。まぁそのあたりは、クロアチア代表の監督もわかっているのかもしれません。こんなニュースを発見したので、紹介しておきます。
 

クロアチアでは現在、FWの一角はレンジャース(スコットランド)のプルソがレギュラーとして定着しており、残り1枚の枠にクラスニッチを含め、オリッチ、バラバンの3人が争う状況となっている。オーストリア戦でクラスニッチに代わって後半から出場したオリッチは、ゴールこそなかったものの、自らのスピードで相手DFに脅威を与え続けた。一方バラバンは、見事なFKを沈めるなど、攻撃のオプションとしてクラニツァール監督を満足させる結果を残している。 クラニツァール監督は、「クラスニッチは自身がトップクラスの選手であることを証明してくれた。ただ、彼かオリッチを先発にするかは分からない。実際、私にはオーストリア戦でいいプレイを披露してくれた4人のストライカーがいるからね」と語り、ここにきてのポジション争いの激化にうれしい悲鳴を上げた。http://sports.yahoo.co.jp/hl?c=worldsoccer&a=20060525-00000091-ism-spo

■前半総括:2トップはすばらしいですが、中盤の「縦のポジションチェンジ」からの攻撃は皆無!? それがいいのか悪いのか!?

さて続いて後半に行くわけですが、その前に…。前半2ゴール決めたクロアチア代表ですが、ただ2ゴールとも「2トップの連携」というか「クラスニッチの個人技」から生まれたものであったというのを確認しておきましょう。もちろん、それ以外にも何度かチャンスはあり左WBのバビッチなどは何度か積極的にチャンスメイクしていました。ですが基本的に攻撃は2トップのみでの崩し、もしくは、それにプラスしてWBバビッチとトップ下のクラニツァールの4人で仕掛けるくらいで、右WBのスルナはあまり攻撃に絡めず、ボランチの2人もパスは出すものの自ら動いてゴールに絡むことはあまりなかったのは残念というか怖くないように見えました。まぁ前半は守備的に戦っていて、わざとそうしていたのかもしれません。で、そのようなリスクを冒さないプレイ(2列目&3列目からの飛び出しからの攻撃が皆無)や、MFのミドルシュートなどが無かったのが、私の目には「すごくは感じなかった」ところであり、「隙あり=勝てると思えた」ところだったというわけです。もちろん、それをどう感じるかは人それぞれだと思いますし、違う感想を持った方々も多々いると思いますが…。

しっかりとした質実剛健サッカー・・。この形容の意味するところは、まず何といっても中盤から最終ラインにかけての守備ブロックの堅牢さです。この試合では、トゥドール(セリエのシエナ所属)とニコ・コバチ(ブンデスリーガのヘルタ・ベルリン所属)が守備的ハーフのコンビを組んだのだけれど、その機能性が、とにかく抜群でした。このコンビだったら、(ブラジルに敬意を払って安易に使わない!)ダブルボランチという表現をあてはめることさえ出来ると感じます。とにかく、相手の攻撃の芽を摘むときの効果レベルは尋常じゃないし、次の攻撃での(ゲームメイカーとしての)リーダーシップも素晴らしい。
 もちろんそれは、忠実でダイナミックな(全力ダッシュのオンパレード!)チェイス&チェックを基盤にした守備の起点作りが効果的だからに他なりません。そのことで、相手のオーストリア攻撃陣の「仕掛けアイデア」がまったく広がりをみせられないのですよ。アイデアが抑制されているオーストリア攻撃陣・・だから、中央突破ばかりに傾注していく(中央を仕掛けていかざるを得なくさせられている!)・・だからクロアチア最終ラインの「読みディフェンス」も存分に機能する・・ってな具合。
http://www.yuasakenji-soccer.com/yuasa/html/topics_3.folder/06_wm_4.html

■後半:バビッチのゴールはすばらしかった&クロアチアの「4-4-2」は「3-5-2」の変形?

さて後半。監督の指示なのか、それとも選手が自主的に変えたのかわかりませんが、「4バック気味」にシステムを変更している時間帯がけっこうありました(後半ずっと?)。図にするとこんな感じ?



【クロアチア代表の4-4-2】
     ○シミッチ ←    ○R・コバチ    ○トマス     ●バビッチ
     (CB→SB)                         (WB→SB)  
                                       ↑
             ○トゥドール    ○N・コバチ 

      ○スルナ                       ○クラニツァール 
      (WB→SH)           
             
               ○プルショ     ○オリッチ

3バックが右にずれてCBシミッチが右SBの位置に入り、WBのバビッチが下がって左SBとなる変形4バックという感じに見えました。左SBのバビッチが攻撃的で右SBシミッチが守備的という感じ? で、そのSB(WB)バビッチが後半に攻撃参加から、見事なゴールを決めてます。カウンターから生まれたゴールでした。右サイドで奪ったボールをつないで逆サイドに展開。そこにタイミングよくオーバーラップしていたバビッチがボールを受けてサイドを突破し、中に切れ込んで、そのままシュートしてゴール。カウンターアタックからのすばらしいゴールでした。ボールを奪ったあとのバビッチの「思い切ったオーバーラップ」は見事でしたし、ミドルシュートを狙ったアイデアもよかったですし、シュートもすばらしかった。このバビッチの「攻撃参加」と「ミドルシュート」は、間違いなく要注意でしょう。特にカウンター時のバビッチの攻撃参加は判断力もよく、スピードがあるので気をつけたいところですが、このような「カウンターサッカー」というか「リアクションサッカー」がクロアチア代表の真骨頂であり、ジーコ日本代表が特に気をつけなければならない点であると思う次第です。

■後半というか総括:クロアチア代表の真骨頂は「カウンターサッカー」!? リアクションサッカー!?

コレについては、以前Numberのインタビューで中村俊輔が指摘していました。クロアチア代表のサッカーって基本的には「リアクションサッカー」であると。つまり相手にボールを持たせて、その出方を伺いながら網を張ってボールを奪って、手数を掛けずにカウンターを仕掛けるサッカーであると。これはアルゼンチンとの親善試合を受けてのコメントだと思うんですが、当初、私は「リアクション」が基本だけど「アクションサッカー=ポゼッションサッカー」も同じようにできるんだろうって思っていたんです。アルゼンチンやブラジルなどの強豪に対しては「カウンター」で臨み、弱いチームには「ポゼッション」から崩して戦いチームであると。ですが、どうやらそれは過大評価だったかもしれません。このオーストリア戦を見た限り、クロアチアの攻撃でボールを保持して相手DFを揺さぶって、相手DFをこじ開けてゴールを演出するような形はあまり見られませんでした。「2トップでの崩し」はすばらしかったですが、トップ下やボランチがリスクを冒して攻撃するような、中盤がうまく絡んだ崩しはほとんど見られなかったんですよね。

まぁトップ下のクラニツァールが後半ペナルティエリアに入ってドリブルで仕掛けたシーンは光ってましたし、こういうプレイがもっともっと出てくると「変わる」のかもしれません。ペナルティエリア内で「ドリブルで仕掛ける」ような個人技や、ボランチの位置から「縦のポジションチェンジ」を仕掛けて攻撃参加し、ミドルシュートを打つようなプレイが出てくればクロアチア代表は「変わる」と思うのですが、それは高望みし過ぎというヤツなんでしょうか?? 後半出てきたFWオリッチなんかは積極的にドリブル突破を仕掛けてましたし、これまた後半出てきてミドルを決めたバラバンや、新鋭MFモドリッチといった「個人技」を持った攻撃的な控え選手の方が日本代表的には要注意な選手なのかもしれません。もちろん、プルソ&クラスニッチの「2トップ」の決定力には気をつける必要はありますし、WBバビッチの攻撃参加も同様。もっと言えば、今のクロアチア代表の「リアクションサッカー」だってすばらしいと思いますし、簡単には勝てないとは思いますが…、8年前のクロアチア代表と比べれば充分に勝機ありだと思っている私は、W杯を甘く考えすぎている楽観論者でしょうか?

Numberインタビューで中村が言っていた、「リアクション」には「リアクション」というやり方。充分ありだと思います。
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