親善試合「ジーコ日本代表対ドイツ代表」雑感! バランス感覚の確認とセットプレイ時の守備

■守備の安定とリスクチャレンジの「バランス感覚」が確認できた!?

ポイントはそんなところだけれど、とにかくこの試合は、日本代表にとって素晴らしい学習機会になったはずです。守備の安定とリスクチャレンジという背反するテーマに関する「バランス感覚」を確認できたという意味でも、貴重なテストマッチだったに違いない。
http://www.yuasakenji-soccer.com/yuasa/html/topics_3.folder/06_wm_10.html

湯浅氏のこの意見に賛同です。「バランス感覚」とは、たぶん緊急ミーティングで話し合ったとされる「前へ」か「後ろへ」かの守備戦術なんかもその一環であると思うのですが、W杯本戦を目前に控えたジーコ日本代表が調整しているのが、まさにこの「バランス感覚」だと思うんですよね。で、守備戦術に関連するんですが、ボランチ中田英の「守備の意識」と「攻撃の意識」のバランスというのが確認できたことが、この試合の何よりも収穫だったのかもしれません。たとえ相手がしょぼかったとしても。

ってことでドイツ戦を振り返りますが、試合詳細は上の湯浅氏のコラムを参照してもらえばわかると思うので、ゴールシーンと攻守において気がついた点をいくつか挙げたいと思います。まずはゴールシーンを中心に攻撃で目についた&気になったところから。

■プレイバック「ドイツ戦」:攻撃編:チャンスシーンとゴールシーンについて


【前半13分の中田英シュート】ハーフカウンターから福西が前線の左サイドにいた柳沢へロングフィード。これをしっかりトラップした柳沢が前を向いてドリブルで仕掛け、後方から抜群の「オフザボール」の動き&「ウェーブの動き」で攻撃参加してきた中田英にスルーパス。中田英がフリーでシュートするもレーマンに弾かれる。

先程述べた中田英の「攻撃の意識」が発揮された、すばらしいシーンでした。ボランチの位置(ハーフウェイライン)からのペナルティエリア内へ走った中田英の「オフザボールの動き」が何よりもすばらしかったんですが、この「リスクチャレンジ的な攻撃参加」を、いつどのタイミングで行うかというのが「ボランチ中田英」に期待するところであり、怖いところでもあるわけです。攻撃ばかりだと「守備陣に穴が開く」ことになりますし、逆に守備ばかりしていては「攻撃に閉塞感が出る」し「攻撃にアクセントが付かない」し、ボランチ中田英のよさが出なくなります。そのタイミングを見極めるのは非常に難しいところだと思いますが、個人的には「むちゃな攻撃参加でなきゃ、どんどんやったほうがいいのでは」と思ったりするんですよね。ただ中田英が攻撃参加する場合に要求したいのが、「自らシュートで終わるイメージを持って上がろう」ということ。自らのシュートの意識のない「オトリ役」としての上がりだったら意味ないと思うし、それだったらリスクを冒して上がる意味はないと思うんですよね。もちろん状況にもよりますが、上がる場合は[シュートを打つイメージ」を持ったオフザボールの動きをしてほしい。それが結果的に「オトリ」の動きとなったとしても、はじめからオトリとして動くのとは相手DFに与える怖さがまったく違うわけですからまぁ、こんなこと私が言うまでもなく中田英はやっているわけですが、このドイツ戦の前半13分の攻撃参加のシーンは「シュートを打つイメージがある動き」でしたので、すばらしかったと思いました。このイメージって、たぶんボルトンの中盤でプレイしたことで養われたところもあるような気がするんですが、どうなんでしょうね? あと柳沢のプレイも見事でした。柳沢が前を向いてドリブル勝負を仕掛けてボールを保持できたからこそ中田英が上がれたわけで。この柳沢のプレイはサスガであったと思う次第です。


【前半16分:カウンターから柳沢シュート】ドイツのCK崩れから、柳沢と中村が抜け出してカウンター攻撃。中村がドリブルで持ち込んで柳沢にスルーパスして、シュートを打つもレーマンがキャッチ。

見事なカウンター攻撃でした。柳沢の前線での守備=インターセプトは素晴らしかったし、中村のドリブルもよかったです。ただゴールとならなかったのは、やはり課題か。中村のプレイですが、あそこでパスという選択も間違いではないと思います。ですが、もう少し長くドリブルして相手を引きつけてもよかった気もしました。難しいプレイだと思いますが、そうすれば柳沢ももっといい体制でシュートが打てたと思うんで。まぁ何はともあれシュートで終わったのはよかったです。この試合何度かカウンターを見せてましたが、フィニッシュで終えることは重要であると思いますのでね。


【後半11分:高原ゴール】ドイツCK崩れからのカウンター。CKのクリアボールを柳沢→中村と繋いで、中村が「ドイツDFをひきつけて」キープし、前線へ上がった柳沢へ再びパス。ハーフウェイライン付近でボールを受けた柳沢が逆サイドでフリーで上がってきた高原へ絶妙の浮きパスを通し、そのままドリブルで持ち込んでゴ-ル。

これもCK崩れのカウンターからでしたが、今度は高原がきっちりと決めます。高原の「落ち着き」がすばらしかった。冷静なドリブルコース取りに、正確なシュート。まるで別人のようでしたが、ぜひ本戦でもこのようなプレイをしてもらいたいです。まぁドイツDFがお粗末なところがあったと思いますが、GKとの1対1を決めるのは簡単なYouで難しいわけで。きちんと決めた高原を褒めたいです。あと中村のプレイですが、先程と違って「相手DFを引きつけた」ところが素晴らしかった。もちろん状況が違うので比べるのは変かもしれませんが、このシーンで中村がボールをロストしなかったこと相手をひきつけたことがゴールを生んだ1つの要因であると思う次第です。柳沢のパスもすばらしかったし、何よりも決めた高原が一番素晴らしいですが。


【後半20分:高原ゴール(2点目)】右サイドからの攻撃で中田英がペナルティエリア横でキープして、中村へバックパス。中村が右サイド高い位置にいる駒野へはたく。パスを受けた駒野がゴール中央へスルーパス。高原が受けてDF2人を抜いてシュート。ゴール左隅に決める。

これも高原が素晴らしかった。何よりも「勝負した」ことを褒めたい。ここ最近の高原の言動からはこういう「チャレンジ」する意識が感じられなかったのですが、見事な仕掛け&シュートでした。今後ももっとこのようなゴール前での仕掛けをしてほしいです。あと駒野ですね。加地が怪我して急遽ピッチに入りましたが、高い位置で基点となるプレイはすばらしかったと思いました。このサイドを「高く位置する」か「低く抑える」かもバランス感覚だと思うのですが、この試合の駒野のプレイ判断はよかったと思います。まぁもっと加地みたいに「中に切れ込んだり」「個の勝負をしたり」する仕掛けをしてもいいと思いますが。


【後半38分、後半40分:大黒シュート】まず中田英が左サイドにてフリーでボールを持ち、ゴール前に上がる大黒へドンピシャのスルーパス。大黒がシュートするも決められず。続いて40分。中盤で繋いで右サイドを中村が抜け出しセンタリング。中田英が折り返して大黒が詰めるもゴールならず。

どちらも中田英が絡んでます。フリーだったりします。なぜか? ドイツDFのマークが甘かったところもあったと思いますが、それだけでなく普通に「ボランチ」をマークするのって難しかったりするものなんですよね。いわゆる「2列目」「3列目」からの攻撃参加ですが、それを捕まえるためには前線の選手が戻って守備することが必要だったりするわけです。この試合ドイツにその意識は皆無でした。ただクロアチアやオーストラリアはこのあたり(中田英のマーク)もう少ししてくるでしょうから、この試合のようにフリーで仕事するようなシ-ンは減るとは思います。なので、これほど効果的に攻撃に絡めないかもしれませんが、逆に言えば「中田英がフリーとなるような状況」をチームで演出できたら、ジーコ日本代表のゴールチャンスは生まれる可能性大と言えるわけです。

■対ドイツ戦の攻撃総括:2トップはすばらしかった&中盤のポジションチェンジの重要性

以上、攻撃について。この試合の総論としては、まず「2トップの出来が良かった」ことが挙げられるでしょう。ゴール決めた高原のパフォーマンスはもちろん、柳沢の動きもすばらしかったと思いました。バイタルエリアでのクサビのプレイもすばらしかった。これによって中盤の押上を可能にし、中田英や中村のパスが生きたと思うので。2トップのコンビで崩すシーンもあり、この試合の2トップの動きは評価できるでしょう。まぁ高原以外のFWには、もっとシュートに精度をという話はありますが。中田英、中村もよかった。福西を含めた「3人でのポジションチェンジ」はよかったと思いますし、この中盤のポジションンチェンジは今後のポイントになるかと。

●福西崇史選手(磐田)
「相手のプレッシャーが厳しかったけど、自分たちのリズムでやれる時間があった。いい攻撃ができた。課題はセットプレーの守り方。ヒデとのバランスに関しては意識してやっていた。片方がスペースを埋めて片方が飛び出す形もできた。中村が引いてくる場面が多かった? 厳しいマークにあって引いてきた時も自分かヒデのどっちかが飛び出す形ができれば、厚みも持てる。もっといい攻めができると思う」http://www.jsgoal.jp/news/00033000/00033744.html

福西のコメントにもそんなニュアンスが出てます。あと特筆すべきは中田英と中村の「サイドチェンジパス」。これが非常に効果的でした。これによって両WBを高い位置に押し上げ「サイドで基点と作る」ことに成功していたんで、このあたりもW杯本戦でのポイントとなりそうです。オーストラリア、クロアチアあたりはたぶん「中田英」を徹底的に潰しに来ると思うので、それをどう掻い潜るかがポイントになることでしょう。そのためにも「中田英、中村、福西」のポジションチェンジが重要になると思うのですが、いかに!?

■対ドイツ戦の守備総括:セットプレイの守備とマンマーク対応について

守備について。まずはやはりこれでしょう。

ジーココメント:それと2失点は相手の高さにやられた形。流れの中で点を取れなければ、サイドからのFKが有効となる。そこで余計なファウルを犯してリスタートを与えないようなプレイをしなければならない。自分がピッチのどこでプレイしているかをもう一度確認する必要がある。http://www.jsgoal.jp/news/00033000/00033745.html

2失点ともセットプレイからでしたが、ここをいかに修正できるかは大きなポイントでしょう。ジーコが言うようにファウルしないのは心がけるべきでしょうね。1失点目を生んだファウルは高原のプレイが起因してますが、あそこでファウルする必要はなかったと思います。ファウルしても止めるシーンはもちろんあるとおもいますし、それはすべきだと思いますが、無用のファウルについては注意が必要かと。あと、それ以上に気になったのが「壁の作り方」と「相手に簡単にFKを蹴らしていたところ」でしょうか。これは以前にも書いたんですが、FK時にはもっと「相手が嫌がる対応」をすべきだと思うんです。例えば、壁の位置をズルズル前にするとか、FKを蹴るボールに向かって特攻する選手を配するとか(笑)。もちろん、こういうプレイをやってイエローとかもらうのはアホみたいと思われる方もいると思いますが、1失点するよりは全然ましな場合だってあるわけですよ。この試合の2失点目。中田英と中村の2人で壁作ってました。まず2枚でOKだったのか? あとこの2人、壁作りながらなにやら話しこんでました。戦術確認? まぁ親善試合なんでそれでOKかもしれませんが、これがW杯本戦なら私はその2人の姿勢に文句言いたいですね。何のための壁かと。もっと相手のフリーキッカーにプレッシャーをかけろと。審判見てないうちにジリジリ間合いを詰めろと。とにかく何でもいいから、相手に楽にキック蹴らすなよって。これって案外重要なことだと思いますし、壁にいても集中力を切らすべきでないと思うんですよね。そういう何気ないプレイでも、失点を防げたりするわけですから(たぶん)。それで失点防げるなら、そうすべきだと思いませんか? このあたりの「ボールのないところでのプレイ」にも気を使ってほしいです。これはゴール前での競り合いでもいっしょ? ゴール前の「高さ」で勝てないなら、それ以外でできることは何でもすべきだと。まぁユニフォームを破るのは、やりすぎな気もしますが(笑)。

そんな立派なサッカーを展開していた日本だけれど、前半21分には、バラックに決定的チャンスを与えてしまう・・このシーンでは、中村俊輔がマークに付き切れなかった・・また、左からの高いクロスボールを競り合ったクローゼと中沢だったけれど、最後はクローゼが「アタマ一つ」勝ってしまう・・そのシーンには、まさに鳥肌が立った・・これこそが世界の高さなのだ・・そして41分、右サイドで、シュナイダーとクローゼ(だったと思うけれど)による単純ワンツーで、アレックスが置き去りにされて決定的ピンチを迎えるといったシーンもあった・・腹が立った・・でも、それによってアレックスは学習し、もう二度と「ぬるま湯マーク」はしなくなった(後半での彼のマーキングは何倍も忠実でダイナミックなモノになった!)・・また前半ロスタイムには、坪井のマークが甘く、ドリブルで突っかけるシュバインシュタイガーから、クローゼ(ポドルスキーだったかも)への決定的タテパスを通され、シュートまで行かれてしまう・・http://www.yuasakenji-soccer.com/yuasa/html/topics_3.folder/06_wm_10.html

続いては「マーク」。湯浅氏が言及してますが、どんな守備戦術であれ最後のところは「人を見る」ってことがポイントなんですよね。2列目からの攻撃参加、サイドバックの上がり…、これらに対してきちんと「マンマークで守備」すれば、かなりの数のピンチを防げるというのが、この試合であらためてわかったところであると思います。もちろん単なるマンマークがすべてでなく、ゾーンディフェンスであったりプレッシングであったり、局面によって有効な守備の仕方があるわけですが、最後のところは「1対1の守備」であると。まず前線からのプレスにはじまって、そこを掻い潜られたらゾーンを敷いてスペースを消し、さらにゾーンを破られたらマンマークで対応という感じ?

この試合の前半44分にこんなシ-ンがありました。ドイツが左サイドでボールを持ってゴール前にクサビノパスを入れます。トップ下のバラックが「バイタルエリア」に入ってポストプレイをするんですが、その時、のジーコ日本代表の対応はこんな感じでした。



【バイタルエリアのケア】

            (坪井)  ○宮本     ○中澤
               ↓    ●クローゼ   ●ポドルスキ
                ↓ 
                ○坪井 ●バラック←
○駒野                           ○サントス
            ○福西          ○中田 

3バックの右の坪井が「斜め前に出て」、バラックをマークしていたんですよね。その坪井の対応でバラックはパスを受けたものの、前を向くことは出来ませんでした。これは「バラックは坪井が見る」と決まっていたのか、それともバイタルエリアに入られたら誰かが対応するという感じだったのかわかりませんが、どちらにせよ「人に対応した」素晴らしい守備組織であったと思いました。他のシーンでは宮本が前に出て「人に対応して守備していたシーン」もありましたが、この状況によって「ゾーンをケア」したり「人に対応」したり「カバーリング」したりする判断が重要であると思うんです。当たり前のことかもしれませんが、この3つを忠実にこなすことができれば大崩れすることはないと思うんですよね。あと、中田英、中村をはじめ柳沢、高原も2トップも素晴らしい守備をしていたと思いました。もちろん攻撃陣が守備ばかりしていたら本末転倒だと思いますが、このような前線からの守備はやはり重要であると思うので、がんばってほしいですね。あと最後にWBの裏ですが、この試合でドイツもオドンコールを右サイドに入れてサントスのところを突いてきました。ここは当然、オーストラリアやクロアチアにも狙われるでしょう。兎も角サントスにはがんばって対応してもらうしかないんですが、その攻撃力をもって攻めることで「守備の負担を軽く出来る」ならそれに越した事はないわけですが、まぁ粘り強く対応するのが基本となるのでしょう。がんばってもらいたいです。あと加地選手の怪我ですが、心配です。大きな怪我でないことを祈ります。

■最後にドイツ代表について:コンディションのピークは決勝トーナメント!?

最後にドイツ代表について。コンディションの問題もあったんでしょうが、寂しい内容でした。日本の守備対応が良かったので苦戦したところもあると思うんですが、攻撃は淡白に感じました。シュバインシュタイガーとかもっとドリブル突破できる選手だと思うんですが、そうでもありませんでしたっけ? まぁ4年前も似た感じだったにも関わらず最終的にはファイナルまで進んだわけで、今後の調整次第でもっとチームがまとまることあるのでしょう。ホスト国ですし、グループリーグは超楽なわけです。コンディションのピークは決勝トーナメントってことなんでしょうが、この試合を見る限りですとDFはかなりヤバイのではないでしょうかね。まぁ対戦相手にもよるのでしょうが。
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