オシム日本代表の「ファンタジスタ論」ふたたび! またはリッピとスパレッティがペロッタを使う意味

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■イタリア代表のシモーネペロッタという選手をご存知でしょうか?

「小さいころは走り続ける少年と呼ばれていたんだ。僕自身もそう思い続けてきた。いまでもそうさ。ドイツでも同じだった。走り続けることに集中していたよ。」
「だからこそ、トッティを最初から使う。中盤の組み合わせはピルロの守備への負担を少なくするために不可欠な選手を選んだ。彼の周りで堅実に守備をこなし、トッティの脇を絶えず固めることのできるデロッシとペロッタがピッチに立つ。すべての攻撃はピルロを経由することを基本とする(by元イタリア代表監督・リッピ)」
「ミランではリンギオひとりで盾の役を担った。だから必然的に、ピルロは高いレベルの守備を要求された。同時にゲームメイクもしなければならない。補佐するのはシードルフひとりだけだった。僕とデロッシは盾になりつつ、前を向いたピルロにとっての(パスの)選択肢でもあろうとした。」
ワ-ルドサッカーマガジンNo・140 アズーリ2006・23の冒険「シモーネペロッタ」より。

欧州CL特集が載っていたので「ワールドサッカーマガジン」買ったんですが、その号で面白かった連載コラムがこちら。W杯で優勝したイタリア代表から毎号1人ずつスポットを当てているコラムみたいですが、この号の主役は「シモーネペロッタ」というMFの選手でいた。それほど有名ではありませんが、みなさんご存知のことでしょう。ドイツW杯でのペロッタの前線のスペースへの動き出しとその運動量は見事だったんですが、彼は間違いなくリッピ監督にとって戦術上のキーマンだったんでしょうね。上で、そのリッピのコメントを紹介してますが、簡単に言えばペロッタは「トッティ」と「ピルロ」を機能させる中盤の潤滑油として起用されたということなんでしょう。イタリア代表が優勝できた理由はカンナバーロを中心としたその堅守にあったとは思いますが、それだけでなくデロッシやガッツーゾ、そして「走り続けることに集中していた」ペロッタの存在も大きかったのではないかと今さらながら思う次第なわけです。

■なんで今さらイタリア代表の話を持ち出したかと言いますと、それは欧州CLでのローマの戦いを見たから

さて、なんで今さらイタリア代表の話を持ち出したかと言いますと、それは欧州CLでのローマの戦いを見たからなんです。先日のシャフタール戦でローマは「トッティ、デロッシ、ペロッタ」の3人が出場してましたが、これってまんま「イタリア代表のユニット」なんですよね。まぁ厳密に言えば、デロッシの代わりにガットゥーゾが起用されていた試合が多いですし、彼らに加えて中盤の底にレジスタであるピルロというミランの2人を加えた形が完成形だったと思うのですが、今のスパレッティ監督のローマは、人は違えど、その中盤の構成はリッピのイタリア代表と一緒ピルロの変わりにピサーロというレジスタを入れて「トッティ、ペロッタ、デロッシ」で構成する今年のローマのスタイルって、まんまイタリア代表でリッピがやろうとしていたことと同じだなぁと思ったわけです。


【リッピ・イタリア代表&スパレッティ・ローマ】
                     ○ファンタジスタ「トッティ」


   ●走る人クレソール(ペロッタ)          ●走る人クレソール(デロッシ、ガットゥーゾ)

                     ○レジスタ(ピルロ)

中盤の構成は図にするとこんな感じでしょうか。まぁローマはFW使わずにトッティを前線に置いて両脇にSHというかウイングのマンシーニ&タッディというサイドプレイヤーを配しているのに対し、リッピはターゲットマンFWトニを軸とした2トップを使うちいう違いはあります。ですが、「ファンタジスタとレジスタ」という攻撃の軸を中盤に2枚置いて、それをサポートするために「走れるMF」もしくは「守備でがんばれるMF」を起用するという考え方はスパレッティのローマとリッピのイタリア代表では一緒だと言いたいわけです。この形、ミランも似ているのですが、イタリアの今のトレンド?? まぁ、それはどうでもいいのですが、このリッピとスパレッティが使う中盤の構成って、なんとなくオシム日本代表でも使えるのではないかなぁと思ったのが今回のテーマなんですが。要は私のオシム日本代表に対する妄想を、グダグダ書いてみようというのが今回の主旨です。実際にオシムがどう考えているのだろうかとか、いっさいに抜きにした個人的な主観で、「オシム日本代表はこうなるとおもしろい?」ってことを書いてみたいと思います。

■オシム日本代表の中盤を妄想:エキストラキッカーの起用を2枚まで考えている?

ちょうど今売りのサッカーマガジンか何かで「オシム日本代表のファンタジスタ論」の特集やっているみたいですが、結局は今回もそれについての個人的な主観になってしまうんですよね。確かその特集の中でおなじみ西部氏が「オシムはエキストラキッカーの起用を2枚まで考えている?」とか「今は土台作りなのでエキストラキッカーを使ってない」みたいなこと書いてました(うろ覚えです)。ということで、まずは「オシム日本代表のファンタジスタ論」から述べさせていただきますが、ちょうどスポニチのコラムで西部氏がそれについてことを書いているのでそれを昇華させていただきます。

走って、多対多の局面を作る。同時に考え、アイデアを使って打開する。
 走って、複数が絡む局面を作る意図は、選手たちにも浸透してきたと思う。ところが、問題はその先のアイデアだ。ここが平凡だった。では、今後のトレーニングによって、この部分も改善できるのだろうか。
 40メートルの距離を正確に蹴る技術がない選手は、40メートル先の状況を精緻に観察しようとはしない。左足で蹴れなければ、左足を使ったプレイをイメージできない。アイデアには技術の精度と不可分なところもある。
 サッカーで「考える」は、ボールを持ったときならば1秒あるかないか。そこでのアイデアは無制限に自由なのではなく、状況と、自らの技術に制限される。
 走れる選手を選抜して4試合、まだまだ発展途上なのは確かだ。だが、本当に伸びしろはあるのだろうか。中東の2試合を見たかぎりでは「きっと大丈夫」とは、とても言えそうにない。(西部謙司=スポーツライター)http://wsp.sponichi.co.jp/column/archives/2006/09/post_548.html

ここでおっしゃっていることは非常にわかりますし、個人的に同意なんです。「アイデアが平凡であった」「アイデアには技術の精度と不可分なところもある」とおっしゃってますが、そうだと思いますし、「きっと大丈夫とは、とても言えそうにない」とおっしゃっているように、私も今のチームの選手が急にそういうアイデアのあるプレイができるようになると思えないし、技術がつくとも思えにないわけです。

つまりオシム日本代表が発展するためには、中東遠征のメンツを使い続けてアイデアや技術を磨くよりも、海外組などから「エキストラキッカー」とか「ファンタジスタ」というようなアイデアや技術のある選手を招集して組み込んだほうがいいと思いますし、そもそも、そういう選手がいたほうが、チームが機能すると思うんですよね。

■オシム日本代表の中盤を妄想:「走れる」選手も必要ですが、彼らを「走らせる」選手というのも必要であると思う

「走る」「走れる」がクローズアップされているオシム日本代表ですが、私はそういう「走れる」選手も必要ですが、彼らを「走らせる」選手というのも必要であると思うんですよね。イタリア代表でトッティ、ピルロという「アイデアがあって技術がある選手」とペロッタやデロッシ、ガットゥーゾみたいに「走ってチャンスメイクしたり、サポートできる選手」の両方が必要なのでないかとね。

もちろん「アイデアがある選手」も走れるにこしたことはないのでしょうし、「走るのが得意な選手」にもアイデアを求める必要はあると思いますが、そんなオールラウンダーはいないわけで。それならば「走れる選手2人」と「技術のある選手2人」みたいに分けて、その4人が機能する中盤の組み合わせを考えた方がいいのではないかと言いたいわけです。

ではオシム日本代表で考えられるベストの組み合わせは、どんな感じなのでしょうか?

■オシム日本代表の中盤を妄想:ダイアモンド型とBOX型でベスト布陣を考えてみた!

鈴木については、大きな問題があったとは思わない。相手のいいところをつぶすというプレイを忠実にやっていた。彼は日本のマケレレだ。それは、マケレレをほめているという意味でだ(笑)。ただ鈴木は、ボールを持って攻めるときに、力をもっと発揮できる選手だと思う。それは私が発見したことではなく、すでに皆さんご存じのことだと思うが。http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/japan/kaiken/200609/at00010519.html

オシムの発言から想像するに、現状では中盤の底に「マケレレ的な守備重視の選手」を起用する可能性が高い気がしてます。すると中盤を4枚とすると1つは確定? あと、よくルマンの松井という発言もしているので彼もレギュラーに組み込むと、残りは2人。「走る人」を2人か、「走る人が1人+ファンタジスタ1人」という組合せ?


【ダイアモンド型:ファンタジスタ1人バージョン】
                    ○松井(ファンタジスタ)


        ●羽生(走る人)            ●佐藤寿人(走る人)


                     ○鈴木啓太(ボランチ)
【BOX型:ファンタジスタ2人バージョン】
        ○松井(ファンタジスタ)              ○中村俊輔(ファンタジスタ)


                      
                 ○鈴木啓太     ●羽生(走る人)

ダイアモンド型と、BOX型で2パターン考えてみました。上のダイアモンド型はファンタジスタ1人だけ置いているのですが、イメージ的にはレジスタなしのイタリア代表という感じです。下のBOX型ではファンタジスタを2人トップ下に並べてみました。松井をウイングと考えると、この布陣は今のセルティックに近いかもしれません。ただこの布陣だと「走る人」が少ないようにも感じます。羽生の負担がめちゃめちゃ多き気がするんですよね。まぁこのほかにも何通りも組み合わせがあるんでしょうが、「走る人」をうまく組み込むという視点から考えると、やっぱリッピのイタリア代表がしっくりくる気がするんですよね。で、それをオシム日本代表で想定して当てはめてみますと、こんな感じ??


【リッピシステム的なオシム日本代表】
           
                      ○松井・中村・小笠原・小林大悟・山瀬(ファンタジスタ)

●羽生・今野・伊野波(走る人)            ●佐藤寿人・鈴木啓太(走る人)


                      ○長谷部・阿部・小野・稲本・中田浩二(レジスタ)

どうでしょうかね。バランス的にはいい気がしますが、これで考えると1つのポジションに対して選手が重複しているのがわかりますね。まぁ実際には「走る選手」「走れる選手」がもっといるのかもしれませんが、海外組の雄である松井と中村で1つのポジションを争うことになるんですよね。

■オシム日本代表の中盤を妄想:冒頭のリッピの言葉を日本代表の選手で置き換えて書いてみた!

このリッピ・イタリア代表の布陣のポイントはトップ下とレジスタを使うところなんですが、それと同時にペロッタみたいな「走れる選手」を機能させようとしているところにもあるわけで、オシムが言うところの「走るサッカー」を機能させるのにもピッタリな気がするんですが、みなさんどう思われますか? 冒頭のリッピの言葉を日本代表の選手で置き換えて書いてみます。

「だからこそ、中村(松井)を最初から使う。中盤の組み合わせは長谷部の守備への負担を少なくするために不可欠な選手を選んだ。彼の周りで堅実に守備をこなし、中村(松井)の脇を絶えず固めることのできる佐藤寿人と羽生がピッチに立つ。すべての攻撃は長谷部を経由することを基本とする」

■オシム日本代表の中盤を妄想:中田英が現役だったら、オシムはレジスタとして使っていたのか?

さて、ちなみに松井と中村俊輔を同居させるために、トップ下に松井、レジスタに中村俊輔を置くバージョンもちょっと考えてみました。が、これは無理な気がしますね。中村を中盤の底へコンバートするにはリスクが高すぎるし、そういう博打はオシムはやらないと思ったんでね。えっ、中田英寿が現役だったら、レジスタとして使ったかって? どうなんでしょうかね? まぁジーコは最終的にはうまく使いこなせなかった感がある中田英ですが、オシムだったら使いこなせていたかもしれませんね。それこそリッピのような中盤の構成でね。ちなみに、今回は中盤の4人だけしか考えてませんので、11人で考えればもっといい組み合わせが見つかる可能性も大ですね。

どうでもいいこと書いていて、週末のチェルシー戦について書けませんでした。チェルシーはまだ調子でてませんが、リーグ戦でこれ以上勝ち点を落とすわけには行かないので、リバプールにはぜひ負けないでほしいですね。そういえばアーセナル対ユナイテッドもあるんでしたっけ? 日曜日だけは、がんばれアーセナル!ってことで。
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