欧州CL「ミラン対セルティック」第2戦雑感  ストラカン監督は中村俊輔に何を期待していた?

■「4-2-3-1」とはどういうシステムなのか?

確か2002年日韓W杯後くらいだったでしょうか、ご存知クライフが「4-2-3-1」システムの欠点について何かの雑誌で言っていたのは? 欠点というわけでもないのかもしれませんが、確かクライフは「4-2-3-1」システムだと、ボランチから下の「4-2」部分が守備専門、その前の「3-1」部分が攻撃専門という感じに選手たちの役割・仕事が分断され、中盤の選手のダイナミズムを生かした分厚い攻撃できないような主旨のことをおっしゃっていたように記憶してます。うろ覚えなので、違っていたらごめんなさいです。まぁ、これ「4-2-3-1」のすべてのチームがそうなっているというわけでないのでしょうけど、たとえば「1」のワントップに「電柱」置いて、「2」のボランチのところに「守備専門な選手(パスワークはそれほどでもないし、攻撃時に積極的に前に飛び出すオフザボールの動きもない)」を置くと、必然的に2列目の「3」の選手はポジションというか仕事が限定されることになるのは確かなんですよね。で、さらに言えば「3」の両サイドの選手は、ウインガー的でドリブルで仕掛けることができる選手でないと機能しないシステム。それが「4-2-3-1」であるというのは言い過ぎでしょうか?

まぁバルセロナでのロナウジーニョみたいに、それほどドリブルが得意でなくても「サイドで基点」となるような戦術なら「4-2-3-1」の「3」のサイドに中村みたいな選手を置いても攻撃は機能するのかもしれません。ただそれを行うためには、チームとしてある程度ボールをポッゼッションできることが求められると思うし、チームとして「サイド(ロナウジーニョのところ)を基点にしよう」というコンセンサスも必要となると思うんですけど、果たしてCL対ミラン戦セカンドレグのセルティックにそういった考えはあったのでしょうかねぇ??

■ストラカンはこの試合で中村俊輔に何を期待していた!?

というわけで、CLミラン対セルティックのセカンドレグについてですが、何はともあれセルティックの「4-2-3-1」システムと、中村俊輔選手の使い方が気になってしまいました。ストラカン監督の狙いは何だったのでしょうか? まぁ守備を意識した高いだったのはわかりますが、ストラカンはこの試合で中村俊輔に何を期待していたんでしょうかね。同じくマクギーディーやヤロシクに何を期待していたのでしょうか?? 前からの守備力? ボールキープ力? カウンターの仕事? ミラン相手に「守備を意識する」ってのはわかるし、それは正しい戦い方だと思うんですが、別にいつもどおりの「4-4-2」でよかった気がするんですよね。レノンとスノの守備専ボランチ2人の起用はわかるんで彼らを中盤に置くのはいいとしても、思い切って「2トップ」にした方がいい戦いをしたのではないかと。まぁ今となっては結果論ですが、少なくとも中村の使い方は間違っていた気がします。「4-2-3-1」の2列目の「3」のサイドと、「4-2-2-2」の2列目の「2」のサイドではプレイスタイルは違うと思うんですよね。で大げさに言えば、中村俊輔が生きるのは「4-2-2-2」の方であり、「4-2-3-1」の「3のサイド」だと消えてしまうのは必然だったのではないかと。

■もちろんミランが強かった&中村俊輔が力不足だったのはその通りだと思います

もちろんミランが強かった&中村俊輔が力不足だったのはその通りだと思いますが、中村が生きなかったのはそれだけではなかった気がするんですよね。自らのフォーメーション&システムの犠牲にもなっていたのではないかと。まぁ、ストラカンをそうさせたのがミランの強さなのかもしれませんが、ちょっと自らの長所を消しすぎてしまったんではないですかね。たとえば同じ「4-2-3-1」でも、下で引用しているようなコ・アドリアーンセ監督時のAZみたいなスタイルならまだ中村は「3のサイド」で生きると思いますが、付け焼刃でそんな芸当ができるわけがないわけで。

■前後で分断し、さらに「3-1」のところで流動的な動きもなく固定されるならプレイスタイル的に厳しいなぁ

AZのサッカーの特徴は激しいポジションチェンジ。右サイドバックのクロンカンプが左ウイングのようなプレーで最近もゴールを決めているが、中でも右ウイング・メールディンク、トップ下・ファン・ハーレン、左ウイング・ペレス、センターFWネリセ(ハウセヘムス)のポジションチェンジは自由自在だ。
 この始まりはアドリアーンセがAZの監督の座についたとき、3人のトップ下タイプの選手、エルカタビ、ファン・ハーレン、ペレスをどうしたら有効に起用できるかを考えたことだった。もしかしたら3人を一度に使えるのではないか、という発想からアドリアーンセは右からエルカタビ、ファン・ハーレン、ペレスと並べる基本陣形を作った。3人ともトップ下でプレーしたい希望を持っていたが、これにより「3人が試合中、30%ずつトップ下のポジションでプレーできるようになった」(アドリアーンセ監督)。
 このシステムはさらに進化し、センターFWも巻き込んだ渦巻きのような前線でのポジションチェンジを生んだのだ。http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/eusoccer/holland/column/200503/at00004276.html

たとえ「4-2」と「3-1」の前後が分断していても、「3-1」のところが流動的なら「トップ下的な選手の3サイドでの起用」もまだ中村は仕事ができたと思うんです。けど、前後で分断し、さらに「3-1」のところで流動的な動きもなく固定されるならプレイスタイル的に厳しいなぁと。しかも相手は強豪ミランなわけで、そりゃ活躍できるわけがないなぁと。まぁ、ミラン相手に何をしても変わらないし、「4-4-2」で戦っていたらコテンパンにやられていたかもしれませんが、どうせ歯が立たないなら「セルティックの得意なスタイル」「これまで戦ってきたスタイル」で臨んでもらいたかったんですけどね。そういうスタイルの選択は、ストラカン的には自殺行為に思えたというところでしょうか。多少でも勝機があるのなら「自分たちのスタイル」を捨てても、中村を犠牲にしても、そうすべきだと。なんとなく邪推するに、ストラカン監督は中村にFKのみを期待していて、そもそも中村を基点にして攻撃することはあまり考えてなかったんじゃないですかね。中村が機能しなくてもOKだけど、何よりもともかく中盤の人数を増やしてミランの中盤からの攻撃を防ぐのが先決だって感じで。

■トップ下に中村の「4-4-1-1」はいかが?

ただ、もしそうだとするなら、むしろ中村をサイドに置かないほうが良かった気もするんですよね。たとえば中村をトップ下に置く方がよかった気がするんですが、それは機能しないと思ったのか、それともそこまで「対ミラン戦術としてフォーメーションを変える」勇気はなかったということなんでしょうか。前半からセードルフ、カカ、ヤンクロフスキに右サイドから攻撃を許していたセルティックでしたが、そこには少なからず「中村の守備の弱さ」の影響は出ていたと思います。まぁもともとミランが左からの攻撃が得意だったのかもしれませんが、特に前半は中村&テルファーのところから何度も崩されてましたし、GKボルツの攻守やポストの加護がなければ前半で勝負ありという展開でしたからね。なので、もし守備から対ミラン戦のシステムを構築するなら4バック&ボランチはそのままで、「中盤の両サイドにグラベセン、ヤロシク」にして、トップ下に中村の「4-4-1-1」とかでもよかったのではないかと思うんです。このほうが守備が固いのではないかと。まぁ所詮は素人の発想ですが、いいたいことは、ここまで中村俊輔中心のサッカーで勝ちあがってきた感じのするストラカン監督が、このミランとのセカンドレグでそれをしなかった。もしくはできなかった。もしくは中途半端だったことが興味深かったし、残念であったということなんです。スコットランドリーグでできるポゼッションサッカーが対ミラン相手ではできないってことが前提としてあるのはわかるんですが、それでも負けを覚悟で「いつものスタイル」で「中村中心のスタイル」で戦ってほしかったんですよね。

ちなみにグラベセンはどこか怪我していたんでしたっけ? 後半トップ下の位置に入ってからけっこう機能していたように感じたんですが、初めから使っていればおもしろかったのにと思って見てました。まぁ単に彼がトップ下に入ったことよりも、それまでトップ下だったマクギーディーがいつものサイドにポジションを移した影響のほうが大きかったのかもしれませんが。

■中村俊輔は、来シーズンどうする?

結局のところ、どのシステムにしようとも、ストラカン監督というかセルティック的には、対CLミラン戦は「おまけ」的なものであり、その割にはよく戦ったということなのかもしれません。1月にドリブラー・マロニーをアストンビラに取られて、ハーツからCL出場資格のないプレスリー&ハートリーを獲得したのは偶然だったのかもしれませんが、対CLミラン戦に向けて特に補強せず逆にチーム力はマイナスとなったのは事実なわけで。その割には、よく戦ったと言うことなんですかね。というわけで中村俊輔ですが、来シーズンどうするんですかね? 正直、セルティックのままだと、今シーズンのCLで今期以上の成績(決勝トーナメント進出)を収めることはかなり厳しいと思うんです。だってチームの目標はそこにないし、そのためにお金を掛けられないわけですから。ストラカンがNumberインタビューで言うように「CLの目標は、とにかく出場して1試合でも多く戦って資金を得ること」が当面の目標であり、重要なのはリーグ戦で勝って「CL出場権を毎年得ること」なわけです。だから今期のプレスリーとハートリーの補強だったわけですが、そのあたりを本人はどう感じているんでしょうか。まぁ他のクラブで、今のストラカン&セルティックくらい中村を中心選手として扱ってくれるところはない気がしますんで、個人的には中村にもう1年はここでがんばってもらいたいとは思うんですが…。
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