欧州CL「ディナモキエフ対インテル」超雑感 モウリーニョの冒険

■モウリーニョ采配をチェック!

先日コメント欄にて「インテル対キエフでモウリーニョが冒険した」とアキラ様からありがたい通報をいただきまして、早速、試合を拝見。今期インテル戦は何度か見ておりますが、モウリーニョが冒険していたかどうかという記憶はあまりなかったので、今回はその”冒険”をメインに観戦することにしました。

■前半:「4-3-1-2」~とりあえず3人で攻めていようか?~

まず前半。インテルのメンバー&フォーメーションは以下のような感じでした。


【前半:インテル:4-3-1-2】
      GK:ジュリオ・セザール

   CB:ルシオ CB:サムエル 

SB:マイコン           SB:ギブ

        MF:カンビアッソ

   MF:サネッティ    MF:スタンコビッチ

        トップ下:スナイデル

   FW:ミリート     FW:エトー

GKセーザル、DFマイコン、ルシオ、サムエル、キブ、MFサネッティ、カンビアッソ、スタンコビッチ、トップ下スナイデル、FWミリート、エトーという今期おなじみ「4-3-1-2」。

対するキエフはシェフチェンコを右SHにした「4-4-2」だったかな。よくわからん。で、試合は、そんな”よくわからん”ホーム・キエフが、若干押し気味に展開することになります。インテルはアウェイでの戦いだからなのか、この試合が超大切だからなのか「慎重」というか「セイフティ第一」で戦っていたように感じました。攻撃は2トップ&スナイデルの3人で行うのが基本で、ほかの選手は「守備が第一のプライオリティ」みたいな感じ? 両サイドバックがあまり攻撃に絡まず、MF3人と合わせて「4-3ブロックを大切に」という感じで戦っていたように感じたんですが、正直、その姿勢というか戦略はあまり効果的でなかったと思いました。失点しないことが大切なのはわかりますが、「ボールポゼッションを放棄する」のはモウリーニョらしくないじゃないか? DFラインでの試合の主導権を握るためのボール回しはあまりやってなかったし、何より攻撃時のサイドチェンジがほとんどなかったことは驚き。これは「狙い通り」なんだろうか? で、狙い通りだとして、これで「90分戦える」んだろうか? なーんて、余計なおせっかい的に心配して観戦していたわけですが、そんな不安が見事に適中(というか的中もなにも結果知ってから見ているわけですが)。元部下であり今天敵のキエフの英雄シェフチェンコが、なんとゴール! モウリーニョ・インテルにとっては想定外のアクシデントが発生してしまいます。まぁ想定外って言ったらキエフとシェバに失礼ですかね。キエフはきちんとサイドチェンジして攻撃していたし、シェバのシュートもすばらしかったし、何よりこの試合前半のインテル守備陣のボールホルダーへの寄せが甘かったのが失点につながったと思うわけで。「想定外のアクシデント」というよりも「しかるべき失点」だったと考えるほうが公平と言える気がしております。で、この失点で尻に火がついたインテルは、サイドバックや中盤がちょい攻撃的になり同点ゴールを狙いにいくことになりますが、キエフの「4-4」ゾーンを攻略できず、前半はこのまま0-1で終了。2トップ&スナイデルの「3人の連携」は確かにすばらしいですが、相手に引かれた場合はそれ以外の要素も必要という感じでしょうか?

■後半:「4-3-3」~さて冒険を始めようじゃないか~

というわけで後半。ここからが冒険の始まりです。後半早々からモウリーニョが動きます。カンビアッソ&キブを下げて、バロテッリ&モッタの2人同時のメンバー交代。さらにサネッティをMF→サイドバック、スナイデルをトップ下→MFというポジション変更も敢行し、フォーメーションは「4-3-1-2」から「4-3-3」へ変更となります。イメージ図にするとこんな感じ?


【後半開始:インテル:4-3-3】
交代:モッタ(in)←カンビアッソ(out)、バロテッリ(in)←キブ(アウト)

          GK:ジュリオ・セザール

      CB:ルシオ CB:サムエル 

SB:マイコン           SB:サネッティ
         MF:モッタ  

  MF:スタンコビッチ   MF:スナイデル

WG:バロテッリ              WG:エトー
          FW:ミリート

さて、ここで考えてみましょう。「4-3-1-2」と「4-3-3」の大きな違いはあるのだろうか、あるとしてそれはなんだろうか?って。

■「4-3-1-2」と「4-3-3」の違いについて?

いろいろあると言えるかもしれないし、あまり違いはないとも言えるかもしれませんが、個人的には違いはあると思っていて、それは大雑把で言えば「オフザボールの動きを重視して崩すか」「サイドで1対1のシチュエーションを重視して崩すか」の違いかなと考えていたりします。つまり「4-3-3=ウイングサッカー」であり、ウイングサッカーとは詰まるところ、ウイングの選手が果敢に一対一を仕掛けられるようなシチュエーション作りを基本とするサッカーであると言いたいわけです。いかにして「ウイングが勝負しやすい形でボールを預けるか」に趣を置いたサッカーみたいな感じ? もちろん、すべての4-3-3が「ウイングサッカー」ではないんだろうし、そもそも、たとえウイングがいたとしても「ウイングが起点になって攻撃するしか手がないってことは、ありえんロッベン」って言われればそうなんですが、あえて4-3-3の最大の特徴は何かと考えれば、私は「ウイングを攻撃の起点にしたスタイルにある」と声を大にして言いたいんですよね。異論はあるとは思いますけど。それに、もちろん「4-3-3ウイング」でなく「4-2-2のSH」でなくても「サイドで基点」は作れるとは思いますが、「3のウイング」のが「勝負師」なイメージがあるんで、よりそれをフィーチャーするみたいな感じと言えばわかりやすい。というか逆に何言っているのかわからんですね。すみません。

で、後半からその「ウイングサッカー」に変更したインテル・モウリーニョですが、ウイングサッカーのセオリー通り(?)サイドのバロテッリにボールを集めることになります。サイドのバロッテリにボールを預けて、そこからドリブル勝負やコンビ崩しパスやらサイドチェンジやらという感じ? で、合わせてエトーも逆サイドで同様にウイング的にワイドにポジションを取り、前半の「縦に早い→前3人で崩しちゃおうサッカー」から打って変わって、「ワイドに広がる→ウイングから仕掛けようサッカー」へと変更することになります。その結果、前半に比べて「ボールポゼッション」からの攻撃が様になりつつあるインテル。まぁFWミリートのオフザボールの動きは「4-3-1-2」のが生きる気がしますし、エトー&スナイデルの良さも前半のフォメのほうが出るのかもしれませんが、チーム全体の連動性という面から考えると後半の「4-3-3」のほうがいいのかな。なんとなく、そんなように感じました。で、これって要は「インテル中盤の攻撃時の機能性」の問題と言えるのかもしれません。要はそれほど「ゲームメイク力はない」ってこと。で、この試合に限って言えば「4-3-3」のほうが、そんな「中盤の攻撃時の物足りなさが露呈しないスタイル」だったと考えるのがベストなのかもしれません。マイナス思考かもしれませんが。もちろんスタンコビッチもサネッティもムンタリもモッタもいい選手だとは思いますが、何というか、その攻撃時の「自己主張的なもの」が物足りない気がするんですよね。まぁ、インテルの試合はあまり見てないのであくまで数試合見たイメージなんですがね。

■後半34分:「3-4-3」~3バックにして攻撃の人数増やしてみようか?~

さて、話を試合に戻しますと、後半「4-3-3」にしてインテル攻撃陣が盛り返し、何度か決定的なシーンを演出します。ですが、エトーを始め最後のフィニッシュ部分がうまくいかず、なかなか点に追いつけません。気がつけば残り10分。このままではヤバイ。次のマジックを仕掛けないと!

ということでモウリーニョはゴールを挙げるためにさらなる冒険に出ることになります。後半34分、CBサムエルを下げてムンタリ投入。最終ラインを3バック的な超攻撃的「3-4-3」という布陣。3トップというよりも、ミリート&エトーの2トップと自由人バロテッリと表現したほうが正しいのかもしれませんが、「ミリート、エトー、スナイデル」という攻撃のキーマン3人を前半同様「得意なポジション」に戻しつつ、さらにそこにバロテッリとムンタリとサネッティ、マイコンを絡める感じ?


【後半34分:インテル:3-4-3】
交代:ムンタリ(in)←サムエル(out)

GK:ジュリオ・セザール

         CB:ルシオ  
SB:マイコン           SB:サネッティ
         MF:モッタ  

  SH:スタンコビッチ       SH:ムンタリ

        トップ下:スナイデル

FW:バロテッリ           FW:エトー
         FW:ミリート   

この超攻撃スタイルが的中します。「4-3-3」時より、よりスナイデルが2トップと攻撃的に絡めるようになり、まずは「スナイデル→ミリ-ト」のホットラインで同点。オフサイ気味でしたが、さすがミリートという感じの、落ち着いたシュートがすばらしかったです。シュートはスピードでない、GKを交わす事だ。みたいな。同点となり盛り上がるインテリスタ。こうなれば押せ押せ? 対照的に、嬉しがるどころか、ますます表情が険しくなるモウリーニョ。そうです。この試合、同点が目標ではないんですよね。勢いはインテル。で、勢いそのままに、今度は左サイドで「エトー→ムンタリ」と繋いでシュート。相手GKが弾いたところを、嗅覚バリバリのミリートがすかさず詰めて再度シュート。再度、弾かれるも、これまた嗅覚バリバリのスナイデルが、さらに詰めて3度目のシュート。GKともつれながらもボールはゴールネットへ! 逆転。 スカパー!解説の後藤氏が驚いちゃうほどの逆転ゴール。歓喜のインテル11人。落胆するキエフの住民たち。土壇場でついにインテルが逆転しちゃいます。で、試合はこのままタイムアップ。モウリーニョマジックが見事に炸裂して、インテルが勝利となりました。

■まとめ的な

というわけでモウリーニョの冒険についてですが、個人的には彼の「人とフォーメーションを変える采配」は好きです。なぜなら、闇雲に攻撃的にしたり、システムを変えたりしているわけではないから。そうではなくて、ちゃんと相手チームと自分達のチームのストロングポイントやウィークポイントを考えて、それを加味した極上のバランスで采配を駆使しているから、すごいと思うわけです。まぁマンチーニの4トップとかも、それはそれでおもしろいと言えばそうなんですが、モウリーニョの場合は、もっとオランダ的な「システム対システム」的な奥の深さが垣間見られるところが好きだなぁと。で,もっと言うと、モウリーニョの場合はフォーメーションを変えてストロングポイントがよりフィーチャーされるだけでなく、それによって生ずる欠陥は「選手のがんばりによって補完」できる感じのところもすばらしい。たとえば4バック→3バックにしたとします。もちろんDFは1人減ることで手薄になり、リスキーになるんだけど、誰かMFのがんばり屋さんが「中盤とDFを兼務」して運動量を増やして2人分仕事すれば、そこは補完できるみたいな感じになっているところがいいんですよね。で、チェルシー時代のエシエン、グジョンセン、今のインテルでのサネッティ、スナイデルといった「ユーティリティプレイヤー」を、そういうがんばり屋さんとして重宝しうまく活用しているところが、すごいと思うわけで。たとえば、よくある「交代するほどチームが機能しなくなる」采配ではなく、逆に「交代によって選手がよりがんばれる」みたいな感じはすばらしいなぁと。褒めすぎですか?

確かに褒めすぎと言われればそうかもしれません。だって、そもそも、このキエフ戦だって、後半に「マジック」を駆使しないで勝てるならそれに越したことはないわえkですからね。前半もっとちゃんと「主導権」を握って戦っていたら、楽に勝てた気もしますし、それは問題と言えばそうかなと。で、それと似たような事を「サッカーの面白い分析を心がけます」さまの、こちらで指摘されていたりするので紹介しておきましょう。

モウリーニョが采配でひっくり返した試合と表現するのはおかしさ満点。というか、モウリーニョって前半は意図的にメンバーを落として、後半から全力で!みたいな采配が多いような気がする。ま、色々な理由でメンバーを落とすしかないのだろうけど、今回だったらローテーションだし。バルサ対インテルは補正能力が働かなければ切ない試合になるかもしれない。http://www.plus-blog.sportsnavi.com/josepgualdiola/article/752

これはローマ戦についての意見ですが「前半は意図的にメンバーを落として、後半から全力で!みたいな采配」という観察はおもしろいなぁと。まぁ、このキエフ戦も含め後半逆転する展開は確かに多い気もするし、結果から見ればそうなのかもしれませんが、ただ「意図的」とするのは、ちょっと勘ぐり過ぎな気もします。まぁローテーションの問題をどう考えるかというところはありますが、「すべて勝ちたいモウリーニョ」が“前半捨てて後半勝負”ってやり方を好むことは、あまりない気がするんです。少なくともチェルシーで監督されているときはそのように感じました。今はわかりませんがね。
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「スポンサーのことを選手はどれくらい意識すべきなんだろうね」
「え? ああサポティスタで取り上げられていた話ね」
「表彰式でガムでなく、ナビスコのチップスターとか食べていれば逆に好感もたれたんだけどな。おしい」
「おしくないよ。それに好感ももたれねぇ。何だろうが表彰式で菓子食うのは失礼に当たる」
「いや、きっとスポンサ-様の商品なら怒られなかったと思うよ。うまくいけば、ナビスコからCM出演の依頼が来ていたかもしれんし」
「ないない」
「というか、大会のスポンサーと自分の関わる会社がライバル的な感じだったらどうすんだろな?」
「ないない。って、あるか(笑) ハトがつく会社?」
「というかスポンサーの利益よりも、自分の所属するPR会社の利益を守ることのが重要だな」
「だな」
David Bowie's "Space Oddity"