プレミアリーグ第24節「チェルシー対ポーツマス戦」雑感  4人のウインガーの共存とダフのSB!

日本のプロ野球の話。野村監督がヤクルト監督時代に、よくこんな采配をしたことがありました。投手交代時にふつうなら「投手→投手」で交代するわけですが「投手→ファーストの選手」で交代し、「交代の投手」をベンチに下げないでファーストを守らせます。で、新たなピッチャーをワンポイントだけ投げさせたあとに、再び投手交代。今度は「ファースト→投手」で交代し、ファーストを守っていた投手を再びマウンドに戻します。要は、先発投手をベンチに下げないでワンポイントだけ「リリーフ」させるという「頭脳的な投手継投策(?)」なわけですが、モウリーニョの選手交代にこれと似たような「頭脳的なもの」を感じてしまいました。

前置きが長くなりましたが、プレミアリーグ「チェルシー対ポーツマス戦」の話。野球のたとえ話はわかりにくいかったとは思いますが、この試合のモウリーニョの選手交代などの采配は見事であり興味深かったということですまずはその点から見て行きたいと思います。

■スタメン:主力が一部休みの「4-2-3-1」でスタート! ウインガーが3人先発でした

まず先発メンバーですが、ミッドウィークのCLバルサ戦の疲労などを考慮してか変更点がありました。GKチェフ、DFフェレイラ、フート、テリー、デルオルノ、MFランパード、エシエン、ジョーコール、FW、SWP、ドログバ、ロッベンという4-2-3-1(4-3-3?)。カルバーリョ、マケレレ、グジョンセンが休みでジョーコールが中盤に入るという布陣。ジョーコールのポジションをどう捉えるかによると思いますが、個人的には以下の図のような4-2-3-1であったと思いました。


【ポーツマス戦開始時:チェルシーのメンバー&フォーメーション(4-2-3-1)】
                         ○チェフ

              ○フェレイラ ○フート ○テリ- ○デルオルノ

                    ○エシエン  ○ランパード   
         
            ○SWP      ○ジョーコール    ○ロッベン
 
                       ○ドログバ
ジョーコールを中盤とした、いつもの4-3-3という気もしましたが、まぁ兎も角「SWP、ロッベン、ジョーコール」というチェルシー自慢のウインガーを先発で3人起用したということです。この布陣が「対CLカンプノウ戦」を想定したものかどうかわかりませんが、「攻撃的モード」であったのは間違いないでしょう。まぁ相手が格下ポーツマスであり単に「守備より攻撃重視」であったためかもしれませんし、マケレレ、グジョンセンを休ませたいための苦肉のフォーメーションであったのかもしれませんが…。あと気になった点はCLで途中退場となってしまったデルオルノは先発でした。個人的にはモウリーニョがデルオルノの心理状態を考えて「あえて先発で起用した」と思っているのですが、まぁふつうにレギュラーなので先発したと言えばその通りかもしれません。

■システム変更①「4-2-3-1」:前半30分にデルオルノに代えてダフ投入!

という感じで「攻撃的モード」でポーツマス戦をスタートしたチェルシーでしたが、前半30分過ぎに早くもモウリーニョが動きます。なんとSBデルオルノに変えて、本来ならウインガーのダフをSBに投入。この交代の狙いは? 試合後のスティーブクラークのコメントから察するに「より攻撃的にするため」ということなんでしょうが、このダフのSBでの起用法はもしかしたら「対CLカンプノウ戦」をシミュレイトしたものなんでしょうかね!? デルオルノに代わってSBにはギャラス復帰が噂される「対CLカンプノウ戦」ですが、状況によってはウインガーのダフをSBに投入して「超攻撃的システム」で臨むことも、モウリーニョ的に考えているのか否か? まぁそのあたりの「狙い」はわかりませんが、ハーフタイムを迎える前にSBをWGに代えるというのはかなり意外な交代であったのは確か。まぁ攻撃力は確かにダフのほうが断然上でと思っているのですが、本来ならその「攻撃力が売り」のハズのデルオルノがもしも「攻撃重視のため」に交代させられたとすると、それはちょっと寂しいというか厳しいというか残念というか。まぁたぶん、この交代は「対カンプノウ戦」を考えてのものであると思うんですが…、はたして!? って、わけで前半31分にチェルシーのシステムはこうなりました。


【前半31分:チェルシーのメンバー&フォーメーション(4-2-3-1)】
                       ○チェフ

          ○フェレイラ   ○フート ○テリ-    ●ダフ

                  ○エシエン  ○ランパード   
         
           ○SWP     ○ジョーコール     ○ロッベン
 
                       ○ドログバ

ピッチ上に「ロッベン、ダフ、ジョーコ-ル、SWP」の4人のウインガーが同居してまいす「ウインガー」はチェルシー攻撃陣の最大の売りなわけで、それを最大限に生かしたシステムがこれであると思うのですが、このシステムが「対CLカンプノウ」戦を想定したものであるのかは微妙です。で、試合は後半へ。

■システム変更②「3-3-4」:後半60分にマケレレとグジョンセンを一挙に投入して3バックへ! ダフのポジションは!?

何度か決定的なチャンスを作るものの、決定力に欠け攻めあぐねてゴールできないチェルシー。そこで後半60分にモウリーニョがふたたび動きます。ジョーコールに変えてマケレレ、SWPに代えてグジョンセンの2人を一挙に投入。グジョンセンがピッチに入るとき「2本指」を出してましたが、これはたぶん2トップへの変更の指示? この交代によってチェルシーのシステムは以下の図のように変更します。


【後半60分:チェルシーのメンバー&フォーメーション(3-3-4)】
                      ○チェフ

             ○フート     ○テリ-  ○フェレイラ

                       ●マケレレ

                   ○エシエン  ○ランパード   
         
            ●ダフ                   ○ロッベン
                     ●グジョンセン 
                            ○ドログバ

まずDFはおなじみの「3バック」に変更します。フェレイラが左に移っているように見えましたが、これはテリーを真ん中に置くためでしょうか。で、マケレレがいつもの中盤の底に入り、エシエンがちょっと前目に入ります。そして、ここがポイントですが、前半途中からSBに入っていたダフが「本来のウイング」に入るんですよね。この「左SB→右WG」というモウリーニョのポジションチェンジ策に野村監督の匂いを感じたわけですが(笑)、まぁふつうあまりないですよね、こういうポジションチェンジは(笑)。で、グジョンセンがFWの位置に入りドログバと2トップを組むという「超攻撃的な布陣」。まぁこれはさすがに「対CLカンプノウ戦」ではしないと思いますが、この選手変更&システム変更が功を奏してついにポーツマスからゴールを奪うことに成功します。

■チェルシーが先制点! ドログバ&グジョンセンの崩しから、ランパードがミドルシュート! 

【チェルシー1点目ゴールシーン:後半65分】中盤でエシエンからパスを受けたマケレレが、前線ドログバへクサビの縦パス。パスを受けたドログバがグジョンセンとパス交換して、ドリブルでペナルティエリア付近まで持ち込み中央へパス。ゴール中央でグジョンセンがそのパスをスリーし、後方から攻めあがってきたランパードがミドルシュート。これがゴール左隅に決まってチェルシー先制。



                ○グジョンセン  (ミドルシュート)
          ○ドログバ →(スルー)→→    ↑
         (中央へパス)   ↑       ○ランパ-ド
           ↑        ↑          ↑
          (パスを受けドリブル)
           ↑
           ↑
          ○マケレレ(クサビパス)

ゴールを決めたランパードのシュートや攻撃参加は見事でした。上がるタイミングとシュートの狙いどころ(コーズ)がすばらしいんですよね。このランパードの決定力は「対CLカンプノウ戦」でも期待したいわけですが、そのランパードの決定力を生かせる「形」ができるかどうかがポイントなわけです。このシーンでもドログバがドリブルで持ち込んでグジョンセンがスルーしたことで、ゴール中央にランパードが使える「スペースメイク」できたことがポイントだったと思うわけです。この試合ではよく守備していたポーツマスですが、これだけチェルシー2トップにゴール前を崩されてしますと、ランパードの攻撃参加をケアするのが難しくなってしまうわけですよ。この試合でゴールできなかったドログバですが、このシーンのアシストはすばらしかったですし、グジョンセンのスルーの動きも見事でした。あと、マケレレの「クサビのパス」も評価したいです。守備の人というイメージが強いマケレレですが、実はそれだけでなく「ゲームメイク」の能力もすばらしいものを持っているんですよね。中盤の底からサイドチェンジパスやタテパスを繰り出して「攻撃の起点」となっているんですが、特にその「タテパス=クサビのパス」はすばらしくチェルシーで1~2を争うくらいうまいのではないでしょうか?

■システム変更③「4-3-3」:ゴール後の後半66分にシステム修正! ダフを再びSBへ!

ってわけで、モウリーニョのグジョンセン&マケレレ投入策が見事に当たるわけですが、ゴールしてすぐにフォーメーションをまたまた変更します。ダフをふたたびSBに下げた4-3-3への変更。


【前半65分:チェルシー得点後のメンバー&フォーメーション(4-3-3)】 
                       ○チェフ

          ○フェレイラ   ○フート ○テリ-    ●ダフ

                       ●マケレレ

                    ○エシエン  ○ランパード   
         
            ●グジョンセン               ○ロッベン
 
                       ○ドログバ

グジョンセンが右サイドのウイングの位置に入りますが、まぁかなり流動的ではありました。こんな具合にリスクを冒して攻撃的な「3バック」布陣にしてゴールを決め、ゴール後にすぐに「4バック」に戻すのは今シーズンお馴染みの変更なワケですが、前日のボロ戦では失敗しましたがこの日はものの見事に作戦成功! このゴールでチェルシーが有利に試合を展開することになります。この「3バック」でのゴール決定率って相当高いと思うのですが、「対CLカンプノウ戦」でも試みることになるのかは注目ですね。なにせ「高いリスク」が伴う布陣ですから、一歩間違えれば失点する可能性は高いわけですから。そして迎えた後半78分にチェルシーに追加点が入ります。

■チェルシーの2点目! グジョンセンのスルーパスからロッベンがゴール!

【チェルシー2点目ゴールシーン:後半78分】相手のクリアミスをハーフウェイライン右側でドログバがボールを持って、中央へサイドチェンジパス。このパスをポーツマスのMFが頭で弾き返そうとしますが、クリアミスして前線のグジョンセンのもとへ。グジョンセンが絶妙なトラップからゴール前のスペースへ浮きダマのパス。オフサイドラインを潜り抜けたロッベンがGKとの1対1の状況から見事に決めて、チェルシーが2点目をゲット。


【チェルシー2点目の図】
                        ●GK

                        ○ロッベン
                       ↑
        ●ポーツマスDF  ↑
              ○ロッベン     ●ポーツマスDF
           (中央のスペースへ走りこみ)
                         ↑
                         ○グジョンセン(ゴール前に浮きダマパス)

非常にラッキーなゴールでしたが、グジョンセンのトラップのうまさ、パスの技術はすばらしかったですし、ロッベンの動き&シュートも見事でした。この2人にはぜひとも「対CLカンプノウ戦」でもがんばってもらいたいですが、特にロッベンにはこのような「ゴール中央へのオフザボールの動き」をもっとしてもらいたいですね。ドリブル突破だけでなく、こういう「スペースを突く動き」もすばらしいものを持っているのですから、ぜひとも「対CLカンプノウ戦」でもこのうのような動きをしてもらってゴールを決めてもらいたいですね。

■総括:「対CLカンプノウ戦」対策!? それともポーツマス戦限定の采配!? ダフのSB起用は!?

試合はこのまま終了。チェルシーが前節のボロ戦からのいやな流れを断ち切っての勝利となりました。苦しみながらも2ゴールを上げて勝利したチェルシーですが、この試合での「攻撃的な戦術」が「対CLカンプノウ戦」を想定してのものなのでしょうのか? 上の文中でも述べたとおり、正直、そのあたりの「狙い」はわからないのですが、状況によってはこのような「リスクを冒して攻める」ことも十分にありえる気がしてます。まぁその状況がどんな状況なのかというのはわかりませんが、この試合のように「後半の勝負どころ」であるのは間違いないところでしょう。さすがに一試合ずべて通して「3バック」は無理。この試合、SBで起用されたダフはよくやってましたが、それでも後半に2~3回、ポーツマスのスピード系SHのルートリッジ(途中交代出場)にやられてました。もちろんルートリッジはいい選手であると思いますが、メッシーはそれ以上の「強敵」なわけで。それを考えると、ダフをカンプノウでSBとして使うのはやはりリスクが高すぎるかなぁと思う次第です。まぁモウリーニョもそのあたりは十分に考えて「対カンプノウ対策」をしていると思うのですが、ウインガー4人を同時期用するという「オプション」はおもしろいかもと思って次第です。

■ポーツマスの残留争いと、サッカー選手である前に人間であるということ

最後にポーツマスについて。残留争いの真っ只中という感じのポーツマスですが、この試合を見る限りは「思ったよりはチームとしてまとまっていた」と思いました。注目のダレッサンドロは出ませんでしたが、冬に取ったベンジャミン、メンデスはチームとして機能していたように見えました。まぁちょっと攻撃陣が寂しい気もしますが、この日見せたような「組織的な守備」が今後もできるなら、十分に「残留」できる可能性はあると思うんですがね。ちなみにこの試合のポーツマスFWのルアルアですが、先日のアフリカ選手権に出場していたときにこんな悲しい事件があったんですよね。

DRコンゴサッカー協会は、アフリカ選手権に出場していたロマーナ・ルアルアの1歳半の息子の死を彼に隠していたようだ。ロンドンの『デイリー・ミラー』紙の報じた内容によれば、サッカー協会の幹部らはルアルアを動揺させたくないという考えから、この冷酷な選択を行ったらしい。1月20日に息子が亡くなったことがルアルアに知らされたのは先週金曜日になってからだった。従って、彼は2週間の間まったく何も知らなかったということだ。さらに皮肉なことに、ルアルアは1月26日に行われたインタビューの中で、3人の子供たちの父親であることを誇りに思うと話していた。http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/eusoccer/headlines/20060207-00000007-spnavi-spo.html

前から気になっていたニュースで、どこかで取り上げようと思っていたのですが、2週間も知らせないというのは考えられないくらいヒドイ話であると思いました。サッカー選手である前に、1人の人間であると言うのは「甘い考え」なんでしょうか? 同様にこういうニュースも聞くとちょっと気がめいりますね。

26日のサラゴサ対バルセロナ戦で、一部のサポーターから人種差別的な野次を受け、試合中にロッカールームへ引き揚げようとしたバルサのFWサミュエル・エトーの問題について、バルサのチームメイトなどがそれぞれコメントした。バルサの主将プジョールは「(サラゴサのホームである)このスタジアムで人種差別の野次が起きたのは、これが初めてじゃない。エトーには試合が中断したときに『あんなことを叫んでいる奴たちのことは気にするな。とにかくプレーを続けるんだ』と説得した」と話した。またロナウジーニョとマルケスは口をそろえて「もし、あのときエトーがプレー続行を拒否してそのままロッカールームに下がっていったら、僕らも彼と一緒にプレーを放棄するつもりだった。あのときはとにかく彼の決断に任せて、彼と行動を共にしようと決めていた」と、チームとして試合を放棄する覚悟があったことも明かした。一方、サラゴサのビクトル・ムニョス監督は「残念ながら、あのような野次はほとんどどのスタジアムでも聞くことができる。それは(バルサのホームである)カンプノウでも同じこと。しかもあのような罵声を浴びせるのはいつでも観客の少数派だ」と、事件に重大性を持たせぬよう配慮したコメント。また、サラゴサの主将カニは「彼の行為は間違っていなかった」とエトーに対する理解を示した。http://sports.livedoor.com/football/world/topics/detail?id=3336362

別に野次ることは問題ないと思いますし、そういうのを含めてサッカーであると思ってます。でもね、やはり限度ってものがあると思うんですよ。キレイ事と言われればそれまでかもしれませんが個人的には人種差別とかは嫌いなもので、それをサッカー場に持ち込まれるとちょっと残念なんですよね。まぁ例のW杯プレイオフでのトルコの時もそうでしたが、結局のところサッカーと言え「国家とか民族とか人種」とか抜きにしては語れないところもあるんでしょうけど、やっぱ私的にはこういう「野次」は賛同しませんね。
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