W杯「ジーコ日本代表対ブラジル代表」雑感 1つの時代の終焉と未来のための敗因分析 

■主力を欠いたブラジルですが、チーム力は遜色ない? むしろ攻撃力はレギュラーチームより上であった?

主力を欠いていた? 2軍? SBがシシーニョ、ジウベルトに、MFがジュニーニョ・ベルナンブカーノ、ジウベウトシウバに、FWがロビーニョに代わったブラジル代表ですが、実力的にはレギュラーチームと遜色ない気がします。アドリアーノはいなかったですが、攻撃力ではむしろこのチームのほうが上? 経験値&総合力という面ではレギュラーチ-ムのが一日の長があると思いますが、シシーニョやジュニーニョ・ベルカンプナーノの攻撃力はカフーやゼ・ロベルトよりも上だと思うのは私だけでしょうか?

……今日の後半の危ない時間帯で失点をしたが、これは経験の無さからくることか?
「実際あの点は要らなかった。しかし、選手の気持ちが攻めようとしてボールを奪われてしまい、あの形となった。どのような状況におかれていて、そこで何をしなければいけないかを突き詰めていこうということでトレーニングしてきたが、それが試合で出なかった。(ピッチの)全ての場所で同じプレイをしている。技術は上がっているが、勝つための試合運びを学べればいい。今日ブラジルがやったように。前半相手のメンタルをいじるようなパス回しを目指していたが、続かなかった」http://www.jsgoal.jp/news/00034000/00034507.html

「全ての場所で同じプレイをしている」「試合運び」「メンタルをいじる試合運び」。このあたりのキーワードは同意なんですが、これがブラジルに劣るならそれを踏まえたうえでの試合運びというのをしてもらいたかったなぁ。ジーコ日本代表がミスから「簡単にボールを奪われてしまったこと」は確かにだめだと思いましたが、それ以上にブラジル代表から「ボールを奪えなかった」ことのが問題であったと私は思います。つまりこの試合でのジーコ日本代表の理想は「ポゼッション」でブラジル相手に上回って主導権をもって試合を展開することであるのは間違いないんですが、それができないときにどう戦うかというプランが欠如していた気がするんですよね。というか間違っていたと。

■敗因をいくら分析してもワールドカップは負ければしょうがない? 本当にそうか坪井?

●坪井慶介選手(浦和)
「ブラジルとの差を埋めるためにどうするか? これから考えます。ロナウドとロビーニョの印象? 力強いし、ここぞというとこでやっぱりすごかった。1点を取られるまではよかった? シュートを打たれてはいたけど、踏みとどまっている感触があった。最後の失点がいけなかった。あそこで全体的にボールを振られてしまった。佑二とは下に下げられても耐えようと話していた。敗因をいくら分析してもワールドカップは負ければしょうがない」http://www.jsgoal.jp/news/00034000/00034513.html

「下に下げられても耐えよう」という考え方はわかりますが、もっと具体的に考えればどう「耐える」必要があったのでしょうか? カカ、ロナウジーニョ、ロナウドに仕事させないというのが第一の「命題」であったとは思いますが、「下がった」「引いた」状態でブラジル代表の攻撃で注意すべきは「ミドルシュート」と「サイドバックの攻撃参加」であったのは明白ではなかったんでしょうか? それに対するケアはしていたんでしょうか? ケアしていたけどやられてしまったんでしょうか? 「敗因をいくら分析してもワールドカップは負ければしょうがない」って違うでしょ。ちゃんと現実を省みましょう。チームとして分析できないまでも、個人として敗因を考えましょう。1失点目はシシーニョの攻撃参加に対応できなかったのが原因ですが、それを防ぐのは不可能であったのか? 2失点目はジュニーニョにミドルを決められたわけですが、これは防ぎようのないものであったのか? ジュニーニョ・ベルカンプナーノのミドルは想定してなかったのか? それとも想定してやられてしまったのか? チーム戦術としてのミスなのか? 個人の守備力・タスクのミスなのか? その両方なのか? ちゃんと分析してください。考えてください。今すぐでなくてもいいですから、日本に帰ってからでいいですから。これは坪井だけでなく、宮本、中澤、加地、サントス、稲本、中田英、福西、茂庭etc…ドイツに行ったすべての選手がちゃんと分析してください。あなたたちには、それをする義務があると思ってます。まずは、そこから始めてください。って話が脱線しましたが、私なりの外野から見た分析をしておきます。

■ブラジル戦の失点分析①:1失点目:シシーニョの攻撃参加に対するケアは?

まずシシーニョの攻撃参加に対するケアですが、これはチーム戦術としてできてなかった気がしました。ブラジルのサイドバックの攻撃参加に対しては、小笠原、中村の2列目がマンマーク気味に対応するやり方をすべきであったと思ってます。これは「引いてゾーンで守る」ならでは話です。もちろん状況によってはサイドバックのサントスがケアしなくてはならない場合もでてくるんでしょうけど。こちらのニフティ動画で失点シーンを見直すと、小笠原がシシーニョをケアしてないのがわかります。「チームとしての決まり」がなかったのか、「小笠原のミス」なのか? サントスのポジションミスとは私は思いません。サントスにサイドバックの攻撃参加のケアまでさせるのは酷だと思います。まぁロナウジーニョにパスを出させてしまった中村の守備対応のまずさというのもあるのかもしれませんが、それよりもシシーニョをフリーにしたことが原因であったと私は分析します。「引いて守る」というやり方ならば、そこが問題であると。

■ブラジル戦の失点分析②:2失点目:ジニューニョ・ベルカンプナーノのミドルに対するケアは?

2失点目について。これはジニューニョ・ベルカンプナーノのシュートが見事であったと言えばそれまでですが、やっぱフリーでシュートを打たれてしまったことを反省すべきだと思う次第です。稲本の対応が遅れてますが、それよりも守備全体のゾーンが低くなってしまっているところが問題であったと私は思ってます。引いて守る場合のゾーンを張る位置は、「最終ラインがペナルティライン」というのが基本だと思ってますが、このシーンでの最終ラインは「ペナルティエリア」の真ん中あたりでした。ブラジルがサイドでキープしている時に、最終DFラインはペナルティラインまで押し上げないと。なぜにペナルティラインかと言いますと、その位置なら「最終ラインの背後のスペース」が使われにくいからです(GKの守備範囲になるとでも言いますか)。「引いたプレス」だって、ただ引けばいいわけでなく、少しでも押し上げることが重要なのです。この意識はあったんでしょうか? チームとして決まりごとがなかったんでしょうか? あったけどできなかったんでしょうか? それとも、そもそもペナルティラインまで、最終ラインを上げる必要はないということなのでしょうか? このあたりの理由を知りたいですね。まぁ、仮に最終ラインがプッシュしていてもジュニーニョのミドルは防げなかったかもしれませんが、全体的にプシュッして中田英がシュートブロックに入るが吉であったと思う次第です。ゴール前にロナウドとカカしかいないのに、人数かけて守り過ぎです。

■ブラジル戦の失点分析③:その他の失点:前がかりなんでしょうがない&ブタが見事!

3失点目。加地が完全に振り切られてますね。小笠原のプレスも利いてませんでした。最終ラインの高さも中途半端でした。まぁ状況的に「前がかり」だったのは仕方ないです。SBジウベウトのシュートが見事であったと言っておきましょう。

4失点目。ロナウドが見事でした。中央でクサビパスを通させない守備をしたいところでしたが、まぁブラジルのパスワークが見事でしたかね。オーストラリア戦でのアドリアーノのゴールもそうですが、マークされていてもシュートを打って決める「決定力」はさすがです。ロナウドは2ゴールで復調? いくら動けないとはいえ、その決定力はさすが。まだまだワールドクラスなのは間違いないでしょう。

■ブラジル戦の守備総括:中途半端な「引いたプレス(ゾーン)守備」をしてしまったのが敗因

以上、4失点を振り返ってみました。これ以外にもブラジルの攻撃で決定的なシーンはかなりありました。4失点したとはいえ、川口がよく防いでいたと思います。ブラジルの攻撃力がすごかったと言えば、その通りですし、それまでなんですが、あえて4失点の原因を上げるならブラジル相手に中途半端な「引いたプレス(ゾーン)守備」をしてしまったところだと私は思ってます。「引いたプレス」をするなら、もっとサイドバックの攻撃参加とミドルシュートをケアする対応をすべきだと思いました。サイドバックの攻撃参加には小笠原、中村がマンマークで対応し、ミドルシュートに対しては「ペナルティラインまでの押し上げ」と「トリニダード・トバゴみたいな体を張った守備ブロック」が必要であったと。まぁただ、そういうサッカーではブラジル相手に「2点差勝ち」は難しいと思いますし、「2点差勝ち」目指すならもっと最終ラインを高く設定して、前からプレスするべきであったと思うんですけどね。ブラジルには「ブタという前線のフタ」がいたんですが、日本が引き過ぎたことでそれが「フタ」にならず「基点」となってしまったと思ったのは私だけでしょうか? まぁブラジル相手に「引くな」というのは難しいとは思いますが、なんか率先して「引いて」いたように見えたのは残念でしたし、引いた状態でも「数メートルの押し上げ」が必要だと思うのはチェルシーファンならでは見解か? まぁブラジルは特殊なんですよね。チェルシーだってバルセロナ相手には「戦術」や「守り方」を変えて臨まないといけないわけですが、ブラジルに対する守り方って、この「対バルセロナへの守備」と同じだと思ってたりします。(

1)ワンボランチにプレスをかける(これはトップ下の役目)、(2)ボールをもらいに下がる中盤の選手を追いかける(これは中盤の選手の役目)、(3)2トップには必ず快足の選手を選び、うち1人はサイドバックに貼りつく。3トップでプレイし、ワンボランチにプレスをかけるのはその1人にやらせるオプションもあるだろう。
 で、問題の味方の最終ラインの位置だが、上げるのであればアトレティコ・サラゴサ式の撃ち合いプラン、下げる場合はチェルシー式のカウンタープランになる。いずれもバルセロナの運動量を上回ることが不可欠だ。前にスペースがあるチェルシー式では前線の選手がかなり走り回らなければ、スムーズな球出しを妨害することができないし、アトレティコ・サラゴサ式ではチームが前掛かりにならざるを得ないので、バルセロナにボールを支配された場合は、簡単に失点する恐れがあるからだ。http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/eusoccer/0506/spain/column/200602/at00007660.html

スポナビの木村浩嗣のこちらのコラムに「対バルセロナ」対策が書かれてますが、日本代表はここで書かれている「アトレティコ・サラゴサ式」で戦うべきだったと思うんですよね。2点差つけての勝利を目指すなら。まぁ、いきなりそのような守備しろといって出来れるわけないかもしれませんが。

■ブラジル戦の攻撃総括:玉田のゴールはすばらしかった!

日本のゴールシーンは見事でした。稲本のサイドチェンジはすばらしかったですし、サントスの中に絞るプレイ&パスもよかったですし、玉田の動きと狙いとシュートはすばらしかったです。特に玉田のシュートまでのイメージはよかったですね。前を向くのが早かったですし、ゴールをしっかり見てシュートを打っているのもすばらしい。これを糧に、今後もいいプレイを続けてもらいたいですね。あと攻撃でよかったのは加地ですね。クロアチア戦に続き、この試合でもいい動きをしてました。いい欧州クラブのスカウトの皆さんからの、いいオファーお待ちしてます(笑)。あと気がついた点では中村は消極的に見えたし、中田英は焦りすぎに見えました。巻はがんばっていたと思いましたが、もう少し「基点」になれればよかったかなぁ。全体的な話で言いますと中盤の構成力はブラジルに負けないものがあったと思いますが、汎ミスの多さと最後の崩しのところのイメージの欠如が「ブラジルとの差」なんでしょうね。

■最後に:中村の涙と中田英の涙について…

4年間の総括はまたの機会で行いたいと思いますが、日本代表の「1つの時代」が終わったのかなぁって、ブラジル戦後にピッチに横たわる中田英の姿を見て思ってしまいました。中村の涙と中田英の涙は違うものに見えましたが、私の心境は中田英の涙に近いように勝手に思ってます。まぁ、また時が来れば「始まる」んでしょうが、今はただ「終わり」を実感したいですね。
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