ユーロ準決勝「スペイン対ロシア」 アルシャーフィンが戦艦ヤマトになった日

■完敗でした

ロシアの完敗でした。グループリーグでの対戦同様に、まったくいいところがありませんでした。特に攻撃は酷かった。シュートを打つどころかボールをつなぐことに四苦八苦していたという感じで、救世主アルシャーフィンは画面に登場することすらあまりなかったという感じでした。スペインの守備がよかったということもあるんでしょうが、それよりも自滅という感じがしました。いったいアルシャーフィンに何が起こったのでしょうか?

ギリシャ戦までは完全に大会のわき役だったロシアは、しかしスウェーデン戦での勝利から注目を浴び始め、アルシャービンとパブリュチェンコは、オランダ戦での劇的な勝利で大会の主役のような扱いを受けるようになった。そんな中、ベルギーの新聞は「静けさをなくしたことが、ロシアに影響を与えるかもしれない」と警告。一方、スペインの選手たちは、これぐらいの報道には慣れている。http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/euro/08/text/200806270001-spnavi_2.html

確かにアルシャーフィンとヒディンクは試合前に騒がれすぎという感じでしたが、その「静けさをなくしたこと」がこのスペイン戦のパフォーマンスに影響を与えたんでしょうか? 今思えばアルシャーフィンの「バルセロナでプレーしたい」発言は軽率だったと思いました。まぁ本人が本当にそう言ったのかは知りませんけど、あの一連の移籍報道がプレイに影響を与えた可能性は少なからずあった気がするんですよね。手を抜いたとは言いませんけど、グループリーグでの対スウェーデン戦みたいなメンタル状態でなかったのは確かだと思う次第です。これはアルシャーフィンに限らずロシアの選手すべてに言えるのかもしれませんけど、試合前にすでにメンタル面でスペインに負けていたように見えました。まぁ完敗しかから、そう見えただけなんでしょうけど。

■戦略は?

「今日何が起こったかって? 簡単なことだ。われわれは敗れた。素晴らしいチームを相手に、60分まではフィジカル面でも精神面でも互角のレベルを維持することができた。それだけだ。われわれを疲れさせ、終盤に勝負を決めるというのは、相手の計画通りだった。引き気味の布陣からカウンターを仕掛けるという、相手の戦い方にやられてしまった。中盤をある程度、放棄する形となってしまったことが響いた。特に試合の終盤には、スペインが能力を存分に発揮し、よく動いてひんぱんにポジションを入れ替えていた。こちらにとっては非常に厳しい試合となった。スペインは勝利にふさわしいチームだったし、決勝でも頑張ってほしいと思う」http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/eusoccer/headlines/20080627-00000019-spnavi-socc.html

ヒディンクのコメントから。「引き気味の布陣からカウンターを仕掛けるという、相手の戦い方にやられてしまった」とおっしゃっていますが、はたしてヒディンクはスペインがそういう戦い方をしてくることを想定できなかったんでしょうか? それとも「想定していたけど、やられてしまった」ということなんでしょうか? このあたりは非常に知りたいところですが、さすがにそれについては言わないですかね。というか、そもそも、ヒディンクはこのスペイン戦をどう戦うつもりだったんでしょうか。どういうプランだったのか? そのプランどおりに戦えたのか? 戦えなかったのか? プランどおりに戦ったけど失敗したのか? これについて、勝手に想像してみることにしました。

■想像しよう!

まず、前半の戦い方から想像するに「この試合はともかく守備に重点を置いていた」ことは間違いないでしょう。深夜に適当にテレビで見ていたので間違っているかもしれませんが、たぶんヒディンクは「ともかく失点しない」戦いを第一に考えていた気がするんですよね。つまり「基本はスペインの攻撃封じ」で、自分たちがスェーデン戦から演じてきた「ミラクル・ロシアの封印」がこの試合ヒディンクの戦略だったのではないかと。まぁ実際のところはわかりませんけど、テレビで見ていて勝手に想像するにそんなプランで試合を進めていたように感じました。

■アクシデント発生!

で、そんなヒディンクの受身プランを変更させるアクシデントが発生します。天敵、ビジャの負傷交代がそれです。ヒディンクはもちろんロシアの選手たちは、まさか天敵ビジャが交代するとは思ってなかったト思うわけで、その交代にちょっと戸惑ったと思うんです。「これはもしかしたら神様のプレゼント? プラン変更しちゃいますか?」「いやいやビジャがいなくてもセスクは曲者。守備重視プランは続行」みたいな感じで、戦い方を変えるか変えまいか迷ったと思うんです。たぶん。セスク投入は「想定の範囲内」だけど、ビジャがいなくなるのは「想定の範囲外」みたいな感じで。さぁどうしよう。リスクを冒して攻めに出るべきか、それともじっと我慢するか?

■シフトチェンジ!

ヒディンクは行けると踏んだんでしょう。後半頭から攻撃的な戦いにシフトしました。もしかしたらビジャが交代しなくても当初からそういうプランだったのかもしれませんが、ともかく後半頭から動きます。攻撃的にすれば、前半調子のでなかったアルシャーフィンとパブリュチェンコがよくなると信じたんでしょう。高い位置でプレッシングしてハーフカウンターができれば、流れを引き寄せることができると踏んだでしょう。というか、それができることに賭けたのでしょう。信じたんでしょう。

■失敗!

その結果はご覧の通り。見事に失敗となります。アルシャーフィンはマークされ機能しないし、プレッシングも交わされて高い位置でボールも奪えません。で逆に守備はマークが甘くなり、ゴール前にぽっかりと空いたスペースをシャビに突かれてスペインに先制されてしまいます。

■結果論

結果論ですが、私はリスクを冒すのが早かったんだと思っています。後半15分か20分くらいまでは待つべきでした。戦い方を変えずに守備重視でいくべきでした。もちろん、それでもやられてしたかもしれませんが、焦る必要はなかったと思うんですよね。スペインからすると、「リスクを冒してくれる」ほうが戦いやすかったと思うし、アルシャーフィンが攻撃的にきてくれるほうが戦いやすかったんじゃないですかね。だってロシアが攻撃的にきてくれればそれだけロシアの中盤の守備が甘くなるんですから。スペースができるんですから。

■さらば地球よ

まぁ要はスペインの守備が固く、アルシャーフィンも本調子でなかったのに、リスクを冒したロシアは「特攻隊」もしくは「リメンバー・パールハーバー」状態であったということが言いたいわけですよ。まぁ、たぶんヒディンク的には受身ではいつかはやられてしまうから、アルシャーフィンがたとえ「戦艦ヤマト」であってもそれに賭けるしかなかったのかもしれませんけど。まぁ冗談はさておき、ロシアはこれまで通りサイドを丹念に突く攻撃ができなかったのが悔やまれますね。まぁそれをするにはボールポゼッションして基点をサイドに作らないと始まらないわけですが、ロシアにその余裕がなかったのは「スペイン守備陣」の影響か、それとも「メディアの報道」の影響なのかは神のみぞ知るという感じで。
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